SCORE9:ツイン・ナーガ Ⅱ
遅れてすみません。では、どうぞ・・・。(みんなが期待してるシーンまでは出来なかった、何しろ年度末は忙しいのだから。ただ、あと少しでまたしばらくは登校頻度を多くできるようになるので。)
カール達が隠し地下道で王城を脱出している最中、アルミナたちの村はやはり攻撃を受けていた。ジルカン帝国陸軍少佐・ロレン・フェリスによる指揮によって。
本来であれば彼は、そのまま国内待機のはずであった。しかし、「王弟閣下」とも評されるオランク・エルバディー陸軍大将による命令があり、進行するに至ったのだ。オランクは現皇帝に対し、
「村の中には未だ分かっていない新兵器と技術力が兼ね揃っている中で、野放しに出来る筈がありません。閣下、どうか我々にも機会をお与えください。我々陸軍が敵のスキを突き、新兵器及び脅威対象人物の『抹殺』を成し遂げましょう。」、と進言したのである。
結局、その案はエルバディーを通じ軍内部に可決されるに至った。禁軍のリオ自身、もっぱら視野に入れていなかったわけではないが、作戦には万全を期すべきという考えはもっともで反論することも無かった。それ故、反対意見こそは出なかった。周りの顔は皆重い表情だったが。
帝国禁軍司令官・リオ・ウルツワイツは後にこう語る。
「オランクは野心の塊だった。だが、皇帝に対して忠誠心が無かったわけではない。しかし、過激派だったことは否定できない。侵攻戦で一番成果を挙げたい、そう思っていたことが肌で感じ取れる程、彼の気迫というものはすさまじかった。」と。
村が攻撃を受ける二〇分前。
「ここから先は警戒区域に入る。いくら三〇〇人の精鋭でも、気を抜いたらすぐにやられる。気を付けろ。」
「問題ない、我々にも『新兵器』というのが存在するのだ。・・・決して慢心ではないがな。それよりも、『マージ・ブリスツ』から左遷されてナビゲーターに下ったお前自身の方が心配だろうに、ジンクス。」
森の中で、ジンクスと陸軍少佐・ロレンの応酬が続いていた。ジンクスはこの帝国陸軍の風土が嫌いだった。一番帝国軍の中で差別的で、「禁軍よりも我々が優れている」と信じてやまない連中だった。自分がナビゲーターになったのはお前らが方向音痴だからだ、勝手に言ってろ、とジンクスは思った。
作戦としては、基地が存在する東の基地の直接強襲・破壊に二〇〇人、村の制圧及びシーディア、そして「ブラッディ・マクラーナ」と誉高いマクラーナの無力化または殺害に一〇〇人。混戦が予想されるが、帝国陸軍はそのための訓練を受けている。早い話「民間人の虐殺」に特化した部隊と言えよう。
そして定位置への移動、ソル・パックの点検、「新兵器」とロレンが言っていたメイジ・ランサーの新型の点検を済ませ、作戦行動に入るのだった。
「畜生!数が多い!」第二中隊・第一小隊所属のランス・ファードック一等兵は愚痴を言い連ねた。まだ翻訳しきれていないためか、エラーのブザー音が鳴り響いていた。
「ごちゃごちゃ言うな、ショットガン集中砲火!!」第一小隊長のベンは叫んで命令した。
敵は短期間で塹壕を掘り、エネルギーライフルのビームモードの対策の為か熱湯を蒸発させてできた即席のカーテンを張り巡らしている。そして山賊の時と比べ圧倒的に装備が上達している。その時は彼らがボロに近い服装で、貧弱だった。
しかし、今回は正規兵。緑の迷彩色を身にまとっている。緑強めのグリーン・ベレー、といった所か。
感心している暇はない。向こうは明らかに殺しに来ている。現にパワード・スーツを着けていなかった第一小隊の中で負傷兵が三、四人出て来た。死人が出ないのがおかしい位だ。恐らくさらに増えるだろう。しかし、パワードスーツの装着に今では三分とかからないはずなのに。何をやっているのか。
「すみません、遅れました!第二・第三小隊、これより援護に入る!」第二中隊長ニール・シャルマ中尉は息を整えこう付け加えた。
「早くパワードスーツを!隊長が『近接戦』のための準備をしています!」
「本気で?!・・・分かった、いいか!!『ショットガン』でだ!!」
「ええ!」
そしてベンはパワードスーツを身に着け、コール大尉の元へと向かって行った。
「無茶だ!コール!カールやレイアン科学相の研究で、分子を動かすプロセスでものを動かせる、つまり念力を使える!白兵戦なんてやったら・・・!」
今はコールの方が階級が上であることを忘れ、昔に戻ったような口調でベンは言った。
「違う、ベン。使うのは『シルバー』ではない、『アッシュ・グレー』の方だ。」そう言って、コールはパワードスーツのアタッチメント、灰色の車輪のついた外付けのレッグ・アーマーに目をやった。
「アッシュ・・・まさか!」
「そうだ!・・・奴らは念力を使う時、エネルギー保存に従って早く動いているものを止める時にかかる力を相殺する際に『同じ位』に消費する!キースやアータルタで実践した際に、こいつを止めることはできなかった!」
「ですが一つしか、それもこれは軍本部から送られてきた試作品の虎の子ではありませんか。」ベンは冷静さを取り戻し、コールに言った。
「そう言ってられない。だが、効果は大きい・・・。俺が出る!もし死んだら、ベン、お前が第二中隊を引き継いでくれ!」
「ですが・・・!・・・分かりました。お伝えします。」
そして、ベンは再び前線に戻るのだった。何故、自分ではなく、若い者からどんどん死にに行こうとするのか。無鉄砲だ、そう思いながら。
12/26 公開!




