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SCORE9:ツイン・ナーガ Ⅰ

 これに「転生」だの「現代科学チート」だの「ハーレム」だの、まして「誰も死なないハッピーエンド」・・・そう言った期待は手遅れになる前に即刻捨て去るべきである。


 なぜなら、この物語にある魔法「ソル」は、現代科学を凌ぎ、そしてその「ソル」でさえ制限ががんじがらめの代物だ。加えて、主人公が多くの女性から「モテる」ヴィジョンも見えてこない。


 確かに「王都」や「奴隷」も出てくる。・・・しかし、それは「アークへシス対ノクタリス」の本筋から外れることをなしえない。


 長文失礼、ではどうぞ。・・・と言おうと思ったが、忘れかけていたキャラクター・ノート。

アークへシス

・ヒロノア・フレデリック外務相(かなりごつごつした風格の外務相。五〇代で、尚且つ文官であるのが疑わしいくらいに筋骨隆々な人物。しかしながら性格は温厚でまさに本物の紳士を彷彿とさせる。

(※どういう意味で「本物じゃない紳士」と言うキーワードが出てくるのか、だって?それは・・・多分カールのせい。)〈アルセーナ〉出身。)

・シュー・レイアン(徐霊安)科学技術相(〈ディー・ドング〉出身の科学官僚。自分の命より探究心を大事にする、生粋の科学者。)


ネメシス・クルバノフ王国陣営

・マクラーナ(アルミナの母。元ソルジャーでアータルタの師匠。元々クルバノフ近郊の国で軍人をやっていたが、祖国が帝国の進行によって消滅し、クルバノフでソルジャーとして生計を立てていた。

 その後同じソルジャーである夫と結婚するが、一〇年近く前にクルバノフと帝国の国境地帯での戦役により、夫は死亡。その直後、狂戦士のように執拗に敵を追い詰め、敵の血・体液を活用したソルの戦法により多くの損害を与え、「伝説」となる。しかし、それ以降どこかの戦場で姿を見せることは無い。)


ネメシス・ジルカン帝国陣営

・コバッティ・ジルカン(第三代皇帝、諸悪の根源。人の業。弱者淘汰論の提唱者であった。エルバディーの一〇〇年近く前に毒殺。その時の毒素は不明。無類の女好き。子が二〇人もいた。)

・パライト・ジルカン(第六代皇帝。エルバディーの母にして女帝。貧者救済制度を確立した。夫である第五代皇帝が戦死し、皇位に就かざるを得なくなった。

 過労で急死するまでの12年間、ソルの使えない人々との共生を夢見ていた。それは、後にエルバディーの「全ての人民が恩恵を受けられる魔道的統一国家」を掲げる温床となる。)

・メグリー・ヴァンディ(名立たるメイジを生み出した、ヴァンディ家の双子の妹。発火に長ける。)

・タングスト・ヴァンディ(メグリ―と同じくヴァンディ家の双子の兄。リオの弟子。気体操作に長ける。)

・ルーブ・ムスタ(帝国空軍最高司令官。大将。)

 基地残留部隊はすぐに応戦した。ミサイルが作動し、彼らに向かう。だが、撃墜されるのは想像に難くなかった。現に数百メートル前で撃墜された。だが、数秒の時間稼ぎにはなったはずだ。


「バーバラとリンは出撃して!機体に対して小柄だから敵は敢えて肉薄してくる!距離は保って応戦して!」

 カン司令官代理は滑走路でスタンバイしているバーバラたちに対し、すぐに出撃するよう命令を出した。いや、出さざるを得ない、だろうか。オトリ役でもなんでもあるだけあったほうが良い。

「了解!逃げながら殺せばいいんですね!」リンは手慣れた口調で聞いた。

「そう!早く行って!第一中隊がシャトルを使って王都に行く時間を稼ぐのよ!!」

「「了解!」」そして、二人はすぐに帝国空軍部隊一五〇〇人の迎撃へと向かうのだった。




 一分後、バーバラ・リン両名は赤い尾びれのローブを着けた敵兵に遭遇する。こちらの方が若干早いくらいか。だが、文明の利器たるS4に「若干」とつくほど速いメイジ・ランサーを、まるで童話に出てくる魔法使いが箒に乗って飛ぶようにまたいで乗っていた。それも高速で。今までなら信じられなかったが、この間の戦闘を見る限りどうも誤魔化しではなかった。

 そして、これは決して一六世紀からスペイン・ポルトガルがラテンアメリカにて火器を持って進行して、植民地に出来たような圧倒的な文明の「差」と云うものの定義自体が完全に崩れ去った瞬間であった。


「早いぜ、気を付けろ!」

「そっちこそ!」二人は若干言い合っていたが、右翼はバーバラ、左翼はリンが屠るという結論に至った。だが、帝国軍とて甘くはなかった。悠長にしている間に、火球や鉄製の矢尻を高速で飛ばして来たのだ。幸い当たることは無かったが、降伏勧告を言うまでもなく攻められたのだ。

「ビーム砲で何人か削る!三、二、一!」

「オーケー、バーバラ!」二人のタイミングは完璧だった。だが、思ったほどの成果は出せなかった。数人は分子に還元できたが、他は服を黒く焦がす程のみであり、結果的に隊の数パーセントしか削れなかった。


「バーバラ!こいつら相対的に横移動が速い!正攻法じゃ無理だ!」

「分かってるから!アームを全開にして回転しながら攻撃するのは?!反応させないようにすればいいんでしょ!」

「おい、後ろ附かれてるぞ!」レールガンが火の代わりに円盤状の金属を発出する。バーバラにストーキングしていた彼の後頭部が吹き飛び、体は地面と一体になった。ここの高度は大体一〇〇メートル。完全に礫砂漠の大地とハグするには数秒の時間がかかる。


「畜生・・・埒が明かない。」リンはぼやいた。AIの攻撃予報さえも無いのに、撃てばすぐ避けられるこの面倒な敵を目の当たりにしたからだった。そして、さらに面倒な事態に発展する。

 赤いローブを身にまとった兵士は、魔法で火とかを出さなかった代わりと言ってはおかしいかもしれないが、ポケットの中から瓶を取り出すと、何故か入っていたものを下に落下させた。


 よく見ると、ゲームとかに出てくる金属のモンスターみたいな色合いの液体金属・・・恐らく水銀だろう。だが、これを見た二人は阿鼻叫喚だった。このS4の機体材料にはチタンと「アルミニウム」合金がそれなりに使われている。アルミニウムは水銀と合わさったら脆く壊れる。つまり、飛べなくなる。詰む。


 そして、その水銀らしき液体金属が矢のように細長く形が整えられ、こちらへ向かってくるではないか。まったく、彼らも悪質な攻撃方法を取ってくるものだ!

「バーバラ!退け!マジで引け!水銀でミサイルみたいに攻撃するつもりだ!」

「嘘!どうしてそこまで用意周到なの!!」逃げる二人。追う六〇〇人。

「これで後にも退けなくなったな・・・!」残る九〇〇人は当初の目的・・・基地の占領・及び破壊作業に取り掛かるべく向かって行った。


「させるか!」逃げながら、バーバラは基地へと向かう別動隊を後ろから攻撃した。今回は数十人を消せた。だが、一気にこちらへと向かって来る。

「上だ!一度上に逃げて、そしてまた急降下するんだ!多分こいつらを操っている連中がお前の背後を付いている!それを狙うんだ!」


「そしたら水銀が凍って余計に彼らの攻撃の精度が上がるよ?!それに八〇〇〇メートルまで上がる時間はあるの?!」

「心配ない!その時は俺が後ろから、お前を水銀で遊ぶ卑怯者を撃つまでだ!!」言われるがままに、バーバラは機体を急上昇させた。

 後ろからはやはり敵は来る。水銀の固さが液体のそれではなくなりつつあり、突出してくる。高度四〇〇〇、五〇〇〇、その間はリンがほぼ全軍を押さえている。リンも水銀に追われてるというのに!速く、速く行かねば!リンを殺したくない!見殺しになんかしたくない!

・・・八五〇〇!完全に硬化した!


「今だ!鋭角四五度で高度を落とせ!」急降下した。水銀の矢が襲う。襲うが、空気抵抗のせいで、そしていきなり温度が変化したこともあり、雨水と同様の挙動になった。

 賭けに勝った。そしてリンが手を出すまでもなく、バーバラはレーザーガンを撃ち、彼らは少し引いた。アームを動かしながら、鞭のようにビームがしなる。水蒸気によって若干位置はずれるが、それがショットガンの様に働いた。


 水銀が蒸発し、辺りを覆う。しかしバーバラは体勢を立て直し、水銀がかからないよう退避した。他の面々はガスマスクを着けていたため、中毒になるようなヘマを犯すわけでは無かったが。それでも、今で二〇人は減らせたのか。

「ミサイルが使えないのは大きいね・・・。」バーバラもぼやかずにはいられなかった。




「これで出発できるぜ、カン代理!」ジャックは急かす様にアユン大尉に言った。

「・・・分かった!今すぐ行って!」

「了解!発信する!」そう言って、一二〇名の落下傘部隊を載せたシャトルは発射された。もちろん、大気圏内を航行する。装備はふんだんにある。王都に行った連中の分のパワードスーツもある。・・・彼らも着けていたらどうなのか。その時は、現地民の戦闘員にも渡すつもりでいた。


 目標は、オグラ中佐、フレデリック外務相、クルバノフ王ら要人の救助、及び支援。一番戦力として安定する第二中隊はなぜか連絡が取れない。同じタイミングで攻撃を加えられている可能性がある。そして、村の方にはヘリがあっても王都からはかなりの距離があり、間に合わない。ならば、「攻撃特化型部隊」の第一中隊を行かせて、この状況を切り抜けてもらうほかない。


「行きましたね・・・。」第四中隊長にして副司令官(代理。元々第三中隊長のポスト。)のファケロフ・ポポフ中尉は言った。

「あともう少しで、敵を誘い込める。ここで戦った方が強いから・・・。」カン司令官が、今から何をしたいのかが理解できたポポフだった。

「では、いつバーバラたちを?」

「もうすぐ。もうすぐ・・・よし!今すぐ連絡を入れて!」

「「は、はい!」」声が被った。何だろう、どっちに言ったのだか。

「あのねえ、ポポフ、あなたでなくて通信兵によ!」すぐにバーバラに連絡を入れる。

「では、小官はこれから来るであろう残りの迎撃の指揮を取りに行きます!」

「お願い!」




「もう帰っていいって?!」バーバラは目を輝かせながらリンと命令を聞いた。

「いや・・・なるべく一方向から敵が来るようにしろと。その方がやりやすい。」通信兵はそう言った。これは、司令官の判断だった。


「分かりました。ところで。彼ら帝国軍は化学反応のことなどをあらかじめ知っているようです。現に我々は水銀を振りかけられるところでした。奴らが何をしでかすか分かったものではない・・・。ですので、気を付けてください。」リンは警告した。

「分かった。そう伝えておく。」そして、やっと基地へと戻れるのだった。・・・休むどころか補給すらできないが。


 ほとんど敵はまだ基地に来ていなかった。一部の分隊が来たが、ショットガンバレットの固定砲台で処理されるのだ。だが、その砲台の数は限られている。そして、S4程のレーザーガンの経口程でもない限り、ビームで処理できないのが難点だった。

 なぜなら、敵は何かしらの液体のヴェールをまとっていて、屈折するのだから。そして、屈折されたビームは徐々に熱を失い、人間の皮膚がやけどをするのみに留まっていた。その為、後半からバーバラやリンはS4の攻撃をレールガンなどの実弾に切り替えたのである。


 基地の大きさはそこまで広くはない。シャトルが大気圏内を飛ぶことができる程の滑走路ぐらいしかない。潰されたら海上に不時着させるしかないのだが。それでも、守るのはそう難くなかった。

「敵が来たら、ショットガンモードで撃つのよ!」館内放送が辺りに響いた。今、この基地には五〇〇名近く居る。第三、第四中隊と、整備兵、輸送兵、通信兵、そして様々な業務を担当し、彼らのフットワークを支える軍属。だが、たった二四〇名の人数で残りの一三〇〇人近くの敵兵に敵うのか。それは、まだ誰も分からない。なぜなら、この戦闘自体、初めて尽くしのことだったのだから。


 S4が基地を通過する。そして、その二〇秒後、彼らがやって来る。瓶を落とされたら厄介だ。彼らが火薬や火炎瓶を持っているなら、破壊だけなら可能だろう。魔法などで威力を倍増できるのなら、実に利に敵った作戦な事か。しかし、司令官は怯まなかった。


「・・・撃て!」全員は一方向から来る敵に対し、集中砲火を浴びせた。人海戦術の対空砲である。だが、「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」のと同様、ショットガンモードの暴風は凄まじいものだった。前に居た三〇〇名の帝国軍が「墜落」したのだ。もちろん、傷口が運よく浅かった者もいれば、全身が焼け焦げて誰なのか分からなくなってしまった者もいる。

 彼らには正義や家族や、そして恋人が居たのだろう。だが、そんなことを考えている余裕はカンたちには存在していなかった。地面に触れ合う直前に緑の光を放つ石を割る。逃げることに成功した者もいれば、死体になって本国に帰るものも居ることだろう。


 無関心ではいられないにせよ、向こうから攻撃を仕向けたのだ。どうだっていいだろう、こんなことにまで発展したのだ。第一、オグラ中佐の所も攻撃が加えられているのだ。正当防衛だ。真っ当な正当防衛だ。そう思わざるにはいられない司令官代理だった。

それでは、また来週(12/24)・・・。

クリスマスイブにこんな血生臭いものを出すのもあんまりな気もするが・・・まあいいや!

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