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SCORE8:コンフリクト・イン・クルバノフ Ⅳ

ああ・・・しんどい。これまで貯めていた戦闘描写を、整合性を保つために一からやらざるを得なくなった。ああぁぁぁ

てなわけで、八章のラスト、どうぞ。

 惑星ネメシス、アークへシス軍の駐留する砂漠の基地から西へ一〇〇キロ離れた台地の中で。


「では、我々はここで二手に分かれ、我ら禁軍は王都上空へ、あなた方空軍は砂漠方面の基地へ、お互いに頑張りましょう。」

「ああ、うまく行くといいな。我々の装備も万全。あの『光の線』の対策も、我々には容易いものだ。」

「ええ。それでは、お互いここで落ち合いましょう!」

「ああ!王の身柄を頼んだぞ!」その二人は、互いの手を取って、力強く握手した。

 そして。

「「希望は我らが忠誠を誓う者に!!」」

「「勝利は我らが忠誠を誓う者に!!」」

「「全ては我らが忠誠を誓う者に!!」」

 三千を超える大勢の兵が、地下にある空洞のドームで歓声を上げた。


「準備急げ!!『奴ら』に勘づかれるな!」

「『フライングメイジ・ランサー』分隊、定位置に着いた模様!!」

「緊急予備の『ソル・パック』、補給物資、問題ありません!」


 その後、帝国禁軍司令、リオ・ウルツワイツ中将は公式的に命令を発した。

「全部隊出撃する!!生きて、そして勝つんだ!皇帝陛下や愛する家族や親友、恋人の為に!!」

 彼らは再び高揚感に満たされた。そして、台地から掘られた隠し通路からぞろぞろと出て来た。高速仕様の移動用メイジ・ランサーで。そして、それはクルバノフの首都、「カルナブルク」に突き刺す鋭いナイフとなった。


 これは、カールがノクタリスとの戦線に復帰する前、惑星「ネメシス」で死闘を繰り広げる物語。




 半径八キロの円形の城塞の割には、カールたちは三分で着いた。ギルド本部が王城、つまり行政本部に近いという事もあるのだろうが。そして、すんなりと入城できた。前もって国王から通達を受けていることは分かっていた。だが、ここまで警戒されない様子を見てむしろ違和感すら覚えた。罠ではないか、それともまた別の思惑があるのではないか。


 カールは疑心暗鬼になっていたが、それでもひどく疑り深く周りを観察する、と言う程でもなかった。しかし安心も出来ないのが彼の心中だった。


 ただ、リューベリック軍曹やフレデリック外務相は別のことを考えていた。この城のことである。豪華な建築物であるのは間違いない。金銀の装飾がけばけばしい程ではないが、多少存在していた。

 これぐらいが丁度いいのだ。成金思考でもなく、貧相でもなく。ただ、荘厳で美しい、と言わんばかりに。彼らの魔法の力は土木工事にも向いているのだろうか。それとも、地球人(空の民と勝手ながらに呼ばれているが)と同様、長い年月をかけたのか。いずれにせよ、美しいことに変わりなかった。


 そして一同は謁見の間へと向かった。玉座には小柄な王様が居た。突然、キースやアータルタ、クリプトンの三人は膝を付く。それにつられてカールたちもまた、同じくらいのタイミングで軽くお辞儀する。実に小柄だ。玉座の三分の一を余らせている。女性だろうか。だが、髪の毛は耳ぐらいのショートヘア。アータルタの話からは、「女性は髪の毛が大事」という文化がエルナシアの民にも存在している。しかし、性別がどっちなのかで詮索するのは失礼に値するのだろうか。


「よくぞ来た。クリプトン、キース、アータルタ。そなたらの活躍、大儀であった。」やはり子供っぽい声を隠し切れないでいた。しかし、だからと言って精神年齢も幼いままだという認識自体は捨てざるを得なかった。ここまで「威厳」にあふれた子供はそう居ない。中身が大人であるのなら話は別だが。


「顔を上げよ。そして『空の民』よ。我らが大切な民を守ってくれて、礼を言う。我には幾らかの借りがある。そなたらは何が望みか。国益を損なわぬ限り取り計らうぞ。」

 意外だった。ここまで温厚だとは思いもよらなかった。

「陛下。それはいささか・・・」

「黙らぬか、テネフ。」

「はっ。」幼い王の発言によって、宰相格の男が黙った。


「・・・では、我々が提示しますのは・・・」フレデリック外務相が言おうとした直後、何故か通信が来た。ローゼンバーグ大佐の端末(ホワイトスクエア)からだった。事もあろうにそれは「第一級警戒通達」システムによる代物であった。

「おっと、失礼。・・・どうした?」多くの人たちの冷たい視線を感じ取りながら、ローゼンバーグは小声で話を終えて切ろうと思ったが・・・。

「大佐、切らないでください!衛星画像から帝国軍が!」大佐自身はこの通話を今すぐ切り上げたいであろうと認識したスズキ中佐が、事を簡潔に、そしてわざと音量を上げて伝えたのだ。そして、それは謁見の間に居た人々を委縮させるには十分だった。


「どういう状況だ?」

「はい!それは・・・」それは、遡ること三分前に及ぶ・・・。




 マーシャル6の艦長、スズキ中佐がコーヒーを飲みながらボーっとしている時のこと。衛星画像監視員の叫び声のせいでコーヒーを飲み込む際に少しむせた。

「ゴホッ・・・何だ?!」

「駐留基地の西一〇〇キロ地点の礫台地から、およそ三〇〇〇の『人』が二手に分かれて基地に!!」

「何!!」

 それは、驚きと焦りが入り混じっていた。赤、白、黒の軍服を身にまとい、魔法の杖のような槍を股に挟んで空を飛ぶ様は、絵本だけの世界にして欲しかった、と、後にスズキ中佐は語る。

 二手に分かれて、一方は基地へ、そしてもう一方は・・・


「角度的にどこだ?!」中佐は声を荒げた。

「お・・・王都カルナブルク!カルナブルク方面に一直線です!!」それは、何と言うタイミング。そしてなんという皮肉。そこには、同胞(アークへシス兵)がいる場所。

「基地に通達しろ!敵機接近の報をうて!!大佐からは私が直接説明する!!」

「あの台地にミサイル発射の許可を!!」

「駄目だ!現地人の話によると何人ものクルバノフ国民が拉致られていると聞く。人質がいるかもしれない!!今王都に進行中の奴らを叩け!!」

 ひとしきりのパニックの後、スズキ中佐はローゼンバーグ大佐に通達するのだった。

 



「・・・という訳で、今宇宙からミサイル空爆を進行中の敵一五〇〇に撃ったのですが。」

「無傷だったわけか。」

「ええ。急いでください。そちらはまだ時間があります。あと三〇分ですが、それでも我々の駐留基地と比べたらまだましでしょう。」ローゼンバーグは理解していた。カールたちが遭った山賊たちの映像を見ていたのだから。S4のミサイルが来る前にただの石ころを投石器もなく高速で投げて爆発させたあの映像を。

「・・・という訳です、王様。どうなさるおつもりで?」ローゼンバーグは言った。

 その幼い王様は、返答に決めかねていたが、やがてこう答えた。

「・・・そなたらは帰るのだ。安全な所へ。我は・・・王として最後まで国民を守る!」

 そしてその幼い王は命令を出した。

「早く民に地下シェルターに行くよう通達しろ!」

「ハッ!!」クルバノフの衛兵らしきその男はすぐさま謁見の間から退出した。


「時間的にどの位だ?」ローゼンバーグはスズキ中佐に再び聞いた。

「一〇分です。」

「・・・短いな。」ローゼンバーグはそう言ったが、窓を見ていたオグラ中佐は一転、すぐにここから離れるように言った。

「どうした!オグラ中佐!」ローゼンバーグは怒りを露わにした。

「伏兵です!裏山には既に何十人もいる、恐らく精鋭!!」


「『赤砂蓋のるつぼ(マージ・ブリスツ)』・・・!!」テネフは言った。

「知っているのか?!」カールは言った。

「知っているも何も、彼らは王侯貴族の身柄を強制的に確保して領土を広げている立役者だからだ!」

「つまり黒幕・・・。」フレデリックは言った。だが、それによって戦争を終わらせたいという帝国の意志を映し出しているように見えた。一般市民の影響を最小限にして。


「急いで逃げましょう、陛下!」

「どこに逃げるというのだ!我々に帝国から逃げる場所などありはしない!」

「ここで諦めて、帝国軍の傘下に入って、そして一〇〇年前の悲劇を繰り返そうというのですか、第一彼らはどうするのです、このまま見殺しにするのですか、陛下ァ!!」


 その時、振動が城の、いやカルナブルク全体を覆った。

「・・・分かった。テネフ、其方の言うとおりだ。付いて来るのだ、裏道がある。」幼い王がそう言った。そして、旗の裏にあった扉を開き、フレデリックや他の官僚たちが次々と入って行く最中、窓ガラスが割れた。そして続々と帝国軍が入って行くのだった。オグラ中佐が見つけたまでのその間、二〇秒とかからなかった。

 カールやレベッカはブラスター、オグラ中佐達陸戦部隊が肩にかけていた光線モードのライフルを撃ち放ったが、当たらなかった。

「な・・・!!水蒸気か!」カールは言った。

「ご名答。では、ここで灰と化すことだ!」帝国軍の精鋭の一人は言った。そして、白銀に光ったマグネシウムリボンのような鞭を使ってブラスターを叩き落とし、カールにナイフを持って接近してきた。


 だが、それは悪手だったと言えるだろう。キースが彼の首を突いたのだ。「マージ・ブリスツ」の反応速度に耐えきれない程やわでもなかった。まして、彼はクルバノフを代表する「ソルジャー」なのだから。

「ば・・・か・・・な・・・。」鞭使いの彼はそう言ったつもりだったろう。他の人間には、血のせいで溺れ人の叫びにしか聞こえなかった。そして、マグネシウムリボンは白い輝きを無くし、後に残ったのは黒く変色した硬化した金属の欠片だけだった。


「これで、貸しは一つ返せたな。」キースは少しだけカールに微笑んだ。

「ああ。」そしてカールは、周りの陸戦部隊が応戦しているように、帝国軍に向かって、ショットガンモードで撃ちだした。

 帝国軍はショットガンモードの対策はしておらず、一時的な後退を強いられた。


「今よ!」アータルタの声で、応戦していた一同は王様が向かった隠し通路へと向かう。

 そして、死闘は始まる。

第9章、12/20になります。(一回間話を挟みます)

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