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間話7:過去と未来とゴキブリと

えーっと・・・諸事情で更新できなかったのですが、ここからしばらく先は再開と言う形で・・・。


カール「・・・大分読んでくれなくなったな・・・。」

僕「仕方ないだろ、忙しかったんだから。」

カ「グダグダ言ってないでとっとと書いたらどうだ。今この文読んでくれてるだけでもありがたいってもんだろ。」

僕「で、未来には僕の小説はうまい具合に読まれているか?」

カ「・・・」

 てなわけで、(間話ですが)スタートです。今回はパロディ多め。では、どうぞ。

 第二中隊は一度、基地に戻ることになった。正確に言えば交代で半数ずつだった。当の本人たちからしたら、どちらの方が休暇なのだろうかとでも思っているのだろうか。

 基地に戻ればオグラのスパルタ。村に戻れば休めても、戦闘のリスクはゼロではない。そして何より風呂が使えない。長期間レベルだと、ボディーシートでどうにかできるレベルでもない。


 かなりの戦闘地域ではないとはいえ、だからと言って川の水からポータブルシャワーを利用することもままならない。彼らの農業や生活にも影響がないわけでもなく、そして何より「寄生虫」のリスクが付いた。まだ情報が無いのだ。この星の生態系に関する情報が。


 なお、山賊騒ぎの前後(カールが昏睡状態に陥っていた時に点滴に繋がっていた。起きる直前に外したらしい)にカールが飲んだ水は、地下水であったと後にアルミナから伝えられ、そしてその井戸の水を検査したところカンピロバクターが。しかしカールの体には無反応。その時にカールはこう質問したらしい。

「魔法を使ったのかい?」しかしアルミナはこう答えた。

「・・・分からない。でも、何かが浮いていて、それをこぼしただけなのは確か。」WHOもびっくりの回答であった。安全かどうか分からなかったが、少なくともカールたちで下痢や嘔吐の被害に遭っていた人は一人もいなかった。


 そして、まさかこの村の住人に対して「風呂貸して」などとも言えない。これは安全かどうかのレベルでは無く、「モラル」の点においてである。彼らの風呂文化がどういったものであるかはまだリサーチ不足であった。まだ、「文化」と「生態」に関しては不十分である。


 まず、レベッカがカールの一日前に基地に戻り、代わりにリンが村に村に来ることになった。当初、リンは嫌々そうな顔をしていた。

「これなら基地待機の方が良かった・・・。ああ、畜生。」

「・・・バーバラがいないと機嫌悪くなるな、リンは。」このカールの発言は、流石に擁護できるものではなかった、卑怯な言い回しだったからである。


「大尉!卑怯ではありませんか!俺は・・・」

「知らないねえ!僕は『あぶれ者』だからねぇ!!」こうして、数日前にも見た光景を、階級は違えどカールとリンで再現するのだった。カールが逃げて、リンが追う。S4でなかっただけマシであろうか。今度は五〇秒持っていた。だが、結果は同じ事だった。




 そんなバカ騒ぎもあり、リサーチもあり、その翌日にカールは基地に戻るのだった。そして約1週間ぶりにお湯の出るシャワーを浴びて、数時間寝て、そして起きてすぐにオグラ中佐に呼び出された。

「確か二日前に、『魔法』のことについて色々聞き出したと思うけれど、得られたものは一応あったのね。」

「ええ、確かに。」カールは、村で作ったレポートの数々をオグラ中佐に手渡した。


 それは、「魔法(ソル)」についてのことであった。

「魔法・・・彼らはそれを『ソル』と呼んでいる。何の目的だろうか、語源はどうであろうかは今だ分からないが、それでも能力は幾つか判明している。特筆すべきは『念力』に近いものが使える点である。このからくりを説明するには時間がかかりそうであるが、多少のことは判明している。まず、『時間』と『距離』、そして『重さ』に比例することである。同じ物質であっても、距離が離れていれば同じ高さに持ち上げるのに必要な力も大きくなる。

 この時点で圧倒的に我々人類(そう定義してしまうと同じDNAを持つ彼らに失礼な気がしないでもないが)を超えているのだが、実態はそこまで強くはない。むしろ、強力な動作をすること自体が珍しいものであった。

 大抵『メイジ・ランサー』などとAIで翻訳された道具などを使い、ソルの精度・制御をしている。道具が無ければソル自体はそこまで恐ろしくない。一般感覚では『数学の試験中にペンを地面に落としても手軽に拾える』位でしか使えず、兵器として使うならば道具が無ければ成り立たない。この『道具』は今だ調査段階にあるのだが、この点はまだいい。問題はそこからである。

 彼らは実際には『分子』を操っているのではないか、という点だ。これもまだ調査段階ではあるものの、数日前に村の住人である女性の一人が私に『錆び落とし』なる芸当を見せた。錆び切った鉄の槍を触れただけで還元させたのだ。何も手にクエン酸と重曹を塗りたくっていたような、そんな手品ではない。実際、付近で観察していた際にオゾンの匂いがしていたのだ。

 それだけではない。その後に水の電気分解のメカニズムを教えると、実際にやってのけていた。彼女は大分疲れていたが、それでも水素と酸素を分離させることができていた。これは化学の、いや量子力学の全ての常識をひっくり返すことのできる代物である。

 当然、これは我々の脅威になりうる。だが、彼らのソルの原理を掴み、その力を制御できるとあらば、我々の利益にもなるのではないか。とはいえ、それは傲慢な考えかもしれない。彼らが協力する前提で行っていることであるが、今の状況でさえ危うい。デリケートだ。下手をしたら基地を撤去して我々の存在の痕跡を残さないようにする、という状況にもなるかもしれない。対応を間違えたらこうなる可能性が大きい。であるから、我々は限定的な交流のみにとどめている。願わくば、外交関係的にも穏便に済ませてもらいたい・・・。」

 これの後に、各種データが綴られていた。


「・・・中々刺激的なレポートだね。」オグラ中佐はデータの部分を若干読み飛ばして本文を読んでいた。

 そして三分近い静寂の後に、オグラ中佐は言った。

「・・・余計なものが入っているわよ。」

「何ですか?」カールは少しだけ慄いた、それはオグラ中佐が笑顔とは程遠い顔を見せていたからだ。

「何が『アークへシスの食文化はゴキブリでできている!!』ですって?!風評被害も甚だしい!」


 カールは二秒ほど思考をめぐらし、ある結論に辿り着いた。キースたちに見せる予定であったフォルダがこのレポートに混じっていたのだ。

「いやでもホントのことですよ?」

「だからっ・・・もお!!」思い出したくなかったのかまさに「苦虫を噛む」ような顔であった。


 その内容とは。

「アークへシスの食文化はゴキブリでできている!!ゴキブリと言う生物は環境適応力に優れ、どんなに少ない食料・水であっても生きていける。そして特筆すべきは繁殖力が非常に大きいことだ。宇宙空間では動物性たんぱく質が不足しがちなのだが、このゴキブリを養分として様々な動物を育てている。

 魚類はその最たる例である。粉末状にしたゴキブリを餌とすることでこれらは生育できる。また、豚は何でも食べるため、飼料に活用される。多くのブランド食料品は穀物で育てているが、タンパク質合成肉が主流の今現在ではむしろこの『ゴキブリ』が主流でもある。特筆すべきは今現在、アークへシスとノクタリス同士の戦争で兵士たちの非常食に・・・」であった。


 オグラ中佐は、あまりこれでいい思い出が無い。戦争もそこまで近場では起こっておらず、かつて彼女がまだ訓練兵であった頃、自然区でのキャンプ演習で非常食を食べさせられた。多くの訓練兵が食べ渋っていた中。

「このスナックバー、そんなに変な味じゃないのになんでみんな食べないの?」そう言ったときには彼女の手に持っていたバーは無く、あったのは開いた袋のゴミだけだった。

 そこからは皆渋々食べだしていたのだった・・・。


 そして、訓練後に同僚から言われた言葉で気がおかしくなりそうだった。

「ねえ、あんたが美味しそうに食べていたあのスナックバー、アレ、実はゴキブリの粉末を固めて作ったやつなのよ。」この時程叫びたかったことは無い。


「なんでこんな記事をどっかから拾って来るかなぁ?!」オグラ中佐は頭を抱えながら叫んだ。

「色々興味を持ったら止まらないもんですよ。」


「カール。あなたの両耳をパンで挟んだら・・・」

「『イギリス料理』でもできるんですか?酷いじゃないですか!二一世紀ではとっくに美味くなっているのに!」カールはスイッチが入ったようにオグラ中佐に微笑んでいた。悪魔の笑みだ。この間のお返しと言うべきか。畜生。ここまでイライラしたことは無かった。


「ジャックッ!!」オグラ中佐が叫んだ。

「ハッ!!」そして颯爽と出て来た。

「第一中隊式の訓練にこいつを連れて!」引きつった笑顔と共に言うオグラ中佐であった。

「了解!!」新たな被害者が生まれて、「ざまぁねえぜ」と言わんばかりの表情でカールを見つめたのだった・・・。




「よお、レベッカ。」コールは基地の廊下でレベッカと鉢合わせした。

「どうしたの?」

「第一中隊の訓練にカールが混じっている。」

「嘘?!」笑い半分、驚き半分。

「本当だ。まあ、死ぬことは無いが・・・。」そう言って二人は滑走路を見た。手前の滑走路の付近で、砂塵で足を掬われかねないような不安定さで、ライフルを持って走るカールだった。そして訓練用とはいえ、当たり判定しか機能が無く骨組みも出ているだけに過ぎない軽装備のパワードスーツで走るのだった。


「畜生・・・!なんだよぉ・・・!!もおぉぉ!またかよぉお!」

「自分自身の指を噛んでも解決しないぞ、カール!!」半耳イアホンから流れてくるコールの声。司令官室にいるのはコール。隣にいるのはジャック。どっちも笑っている。

「ちくしょおおおおお!」そう言って、この休暇は「休暇」ではなくなったのだった・・・。

オグラ「タグに『グルメ』とついているけど。全然グルメじゃないじゃん。ダメじゃん。」

僕「知らぬさ!!所詮人は・・・」

オ「でもラムゼイのネタじゃないの。ダメじゃん。」ド正論。


所で。どうして「馬鹿のサンドイッチ」を「イギリス料理」として捉えたかって?・・・そりゃあ、原作がイギリスにあるんだから。そういう事だ。

 とはいえ冗談だけを言っていられない。第八章、12/3水曜日公開。

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