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SCORE7:マジック・エンパイア Ⅰ

これは、講談社の公募に出したやつのエピローグになったやつです。

そして、新しい(正確に言えば、アルミナは5章にもいたのだが。)キャラクター・ノートを。

アークへシス

・ランス・ファードック(第二中隊・第一小隊所属。一等兵。射撃がうまく、勲章を1回もらっている)

・へリック・ジョンソン大尉(降下部隊・憲兵隊長。まじめな人柄で、人柄も良い。カールとしては頭が上がらないが、同時にスズキ中佐と同じくらい見つかったら嫌な相手(特に飲酒中においては)。)


アルファ

・リオ・ウルツワイツ(禁軍・軍師。将軍の地位にある。今回は「視察」の面でも行くことになった。「黒竜団」を廃棄処理するついでに国境近くの村(、それもキースやアルミナが住んでいるところ)を潰そうとしたが予期せぬ援軍のせいで潰せなかった。何かしらのガスを扱い人々を眠らせる、局所的だが効果的な技を持つ。)

・ジンクス(禁軍・「マージ・ブリスツ」の一人。リオ将軍の護衛。ナイフ使い。)


・アルミナ(キースたちの住む村の住人。シーディアに憧れている。)


え?前に出て来た、襲撃時にキースが手こずっていたあの二人のメイジ・ランサー野郎は誰かだって?あれは・・・また今度。ちゃんと出てくるからお楽しみに。

 カールたちは、起きてすぐに呼び出された。昨日の不始末の報告も兼ねて。カールとの喧嘩はカール自身が「おちょくった成り行きだった」と陳謝した。

 大男の惨殺のことについては、そうするしか無かった、という事で不問に付された。実際、両足を撃たれてなお動き回っていたのだから。正確には、地べたで痛がっていただけだったが。


 実を言うと、早朝にバーバラが訪ねて来て、オグラ中佐に弁明したのだ。彼女曰く、レベッカ隊長は人買いに対して強いトラウマを持っているのではないか、と。

 防衛戦ばかり行っていたレベッカにとって、経験が浅いものだったのかもしれない。だから、カール大尉は彼女のメンタルを平常に戻すための粗治療として銘打っていたのだと。結局、憲兵が絡む事態になったのだが。


 そして、コールも司令官室に入って来て、本題に入った。

「そう・・・、それで、今呼んだのは他でもない。彼ら現地民のことについて。本当はちゃんとした外交使節団とかを期待しているんだけど、情報も言語も色々不十分な準備だったら政府高官は動きたくないはず。そこで、我々が一足先に交流してしまおう、という訳。」未知の言語が翻訳できるとはいえ、まだ不十分であるという事を彼女は知っていた。


「つまり、あらかじめパイプを繋いだうえで話しやすくする、というのが中佐の考えている今回の目的なのですね。」レベッカは先日のヒストリーとは裏腹に、冷静になっていた。

「大体当たっている。でも、これは私の独断ではなく、軍部からの勅令だから。今頃上は大慌てだろうね。文官が来るにはまだ時間はかかる、との情報もあるし。」呑気に言うオグラ中佐だった。

 その笑みは、人当たりの良さそうな笑みだとカールとレベッカは思ったが、その真意を知っているコールは青ざめていた。


 そんな訳で、カールたちは再びあの村へと向かうのだった。場所は西に約二〇〇キロ。一応、前回のことも踏まえ、S4はカール、レベッカの二人が乗ることになった。バーバラとリンは基地に待機。行くのは第二中隊の第一小隊三〇名と、顔も知れているという理由から、本来来なくていいはずのコール大尉もついていくことになった。オグラ中佐の命令で。


 それに加えてオグラ中佐も来ることになった。基地司令官は、代理として第三中隊長、カン・アユン大尉が執り行うことになった。

 こんなエピソードがある。それは、オグラ中佐がヘリに乗った後、館内放送にてアユン大尉が言ったことが失笑の的になっていたことである。その内容曰く。


「初めまして!この度、この度、わたくし、基地司令官に就任することになりました、カン・アユン、カン・アユンと申します・・・って、カール!これあなたが私のファイルに勝手に入れたやつじゃない!」なお、オンエア状態で。それ以降、彼女は「選挙立候補者」と仰々しいあだ名で、第三中隊以外の面々の裏でささやかれることになるが、そのことは今現在当の本人に、まして司令官にも知る由の無いものだった。




「どうした、カール?」S4のレバーを引きながら、レベッカが言った。やけに珍しく、カールが黙り込んでいるのだった。いつも戦闘前はうるさくてたまらないあのカールが。


「いや、どうも分からない。キースたちは、『帝国』だのなんだの僕のことを好き勝手言ってた。もしかしたら、彼らは何か対外的な問題を持っているのではないか、そう考えてしまうんだ。」

「まあ、不思議なことは多いわよね・・・。あの緑の光と言い、魔法と言い・・・。」


「あの緑の奴は『ワープ』って聞こえた。本当だ。魔法は分からない。だが、こっちだってワープのことは知っているつもりなんだけどね。」そんな感じで言うカールだった。

 多くの人間は未知の出来事については興味よりも忌避感が勝る。だが、今のカールは、恐怖よりも恐怖心の方が勝っている、何とも救われがたい気分だ。だが、それでも懸念が無いわけでもない。


 果たして、この星は、旧アメリカ時代の「フロンティア」になりうるか。それとも、「パンドラ・ボックス」になりうるか。そんなことは、分からない。結局は、それ自体は未来の人間が決めることだ。自分ではなく、未来の。


「まあ、こっちだって戦争してるんだ。向こうも同じような感じだろうさ。」いつものカールに戻っていた。

「『早くこの星から出て行って欲しい』とか?」

「いや、意外と『帝国』のやつがキーピースになるのかもしれない。」そして、二人の機体は加速をし、ヘリよりも一回り先に村へ来るのであった。




 しばらくの時間が経過して、カールたちは村に辿り着いた。流石にS4の飛ぶ音で気づかれていたようだ。下に見える住民は、当然と言っていいのか分からないが、驚いていた。

 キースは上を見てこう叫んだ。

「どうしてまた来たんだー?」

「命令だから仕方ないだろー!」カールがウィンドシールドをスライドして、村の外れの森の開けたスペースにS4を下降させていた。


「・・・よお。」カールは地に降り立つと、キースに、そして周りの皆にも挨拶をした。

「よお。」何故だか、気まずい。キースは、別にカールたちのことが嫌いだとは思っていない。むしろ感謝こそしていた。けれども、なぜ、この星に来たのか、それ自体が理解ができなかった。向こうも、こちらと同様に分からない。


 だからこそ、カールたちは話し合いをしようと持ち掛けたのだった。


「ま、平和的に話し合いをしようと。」

「例の光る杖は持ってきているんだろ?」

「こっちのブラスターの命中率をお前は知らないだろう。酷いぞ。」カールとキースの二人は、お互いに失笑した。

 初めの一歩は、今、ここで進んだ。


 二五二〇年、四月八日。この日、初めて正式的な会談が行われた。アークへシス軍駐留するその星の臨時基地司令官と、同じく地方部隊の司令官が、であったが。この日が「ファーストコンタクト」と歴史的に称されることになった。


 そして同日、アークへシス宇宙連邦国は、「鉱物資源が豊富なアステロイド」と称し、学術会議などで限定的に公開する。そして、正式名称がアルファから、「ネメシス」に代わり公開されるまで、およそ一年を有する。そしてその時、カールの「人生の休暇」も終わるのだった。


 時代は再び戦乱を叫び、希望と平和の夢を見る。人類の目指すその先へ。そして、序章が終わり、オープニングが流れ出す。これは、永久の平和を夢見ても、決して叶う事のない、儚い、カールの物語。

水曜日公開!

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