SCORE5:ザ・バンビッツ・ウォークライ Ⅳ
これを読んでくれている人には申し訳ない。
チート、ハーレム、・・・そんな感じの、要は「なろうの中で起こりうるもの」は、・・・ない。ぶっちゃけ「カールのパイロットの技量は、あれは何なんだよ」と言われるのかもしれない。だが、実際の所、カールが特別技術が優れているっていうだけで、人間の範疇を超えることはない。
おそらく、これは万人受けしないであろう小説だ。文の良しあしに関わらず、多くの人は恐らく小説に「癒し」や「感動」・・・いや、この場ですべての感情をいう事になるからここでとどめておく。が、自分の小説は最終的に負の感情の方を色濃く感じるかもしれないことを、覚悟して欲しい。
最初の小説でここまで言える自信があるのもおこがましい気がしなくはない。だが、ここで言っておかないと、多くの人が、いや、第一自分が公開する羽目になる。
今はまだコミカルで良い。だが、その先は、そのまた更に先も同様な雰囲気でいられる、という訳ではない。今現段階では、誰が、とは言えないことだが、死人は出てくる。当然、味方の方だって。つまり、「味方の誰かを絶対に殺す」と、今、ここで確約しているだけに過ぎない。
当然、重い。自分だって、最初キャラ作り最中の時、「こんなに気に入っているキャラを、人形遊び感覚で殺したくない」という感じなのがあった。だが、それでは戦争というものはあまりにも薄っぺらい。戦争は、両者の覚悟がぶつかることで起きるものだから。そして、最後にカーテンコールを書くつもりもない。
だが、これだけは言える。「絶対に中途半端ではこの作品を書き終えるつもりは無い」という事だ。最後まで書く。例え講談社の公募に落ちたとしても。どんなに完結が長くかかろうとも。そして、読んでくれる人がいなくなろうと。それでも、「ここには『カルロス・パルマ』とか言う皮肉屋が主人公を張っている小説があるんだぜ」、と胸を張って言えるように、書くだけだ。
長文失礼。では、どうぞ。
出会う数分前。
「ところで。その『ブラスター』?はどんな物なの?・・・別にあなたを疑ってる訳じゃないけど、それって私が撃たれた奴じゃない!」アータルタが言った。少し怯えているようだった。
「・・・別に凶悪な破壊兵器、と言う程でもない。なんなら、適当な的とかで試してみる?」
「おいおい、大丈夫なのか?先程まで動けなかっただろうが。」クリプトンはカールの健康状態を案じ、休むことを提案したが、カールは「もう大丈夫」と一言、キースに連れられ、射撃場に行った。ギャラリーが付いて来る。例の子どもも付いて来る。・・・好奇心の強い子どもだ。
「では、アータルタさん。撃たれた弾の種類は?実弾?線?・・・違った?」
「違う。半分木の表面がえぐれていたわ。」どこにも行きようのない不満を抱えていたのは確かだった。焦げた前髪を気にしていたのか、何回も触って確かめていたのだから。
「・・・じゃあ、皆一回離れて。危ないから。」そして、皆が離れた後、エレキ・ショットに設定し、的に向けて撃った。的を支える木製の支柱が傾いただけだった。
「・・・これが、さっき撃たれた物の正体。」カールは言った。
「嘘!さっきのは・・・。」
「いや、言いたいことも分からなくはない。実を言うと、この武器は調節できる。本来は、相手を気絶させる程の威力しかない。」そう弁明したが、やはり不満気だった。・・・絶対にレベッカに会わせてはいけない、と決心した。
そして、コール達がやって来た時を境に、一気に空気が変わった。皆は武器を手に取る。が、カールは両方を静止した。
「待て、待て。味方、味方。」それを聞いたキースたちは、武器を元の位置に戻した。
「話してくる。翻訳は結構な範囲でされるから、君たちにも分かるはず。裏切らないから大丈夫。攻撃させないように何とかする。」
そう言って、ゆっくりコール達の元へと歩いて行った。
「よお、コール。半日ぶりじゃあないか。」走り出した全員が止まった。コール達は、呑気なカールに今度ばかりは殺意が湧いた。現地人がレベッカに何の内訳もなく攻撃したことよりも、その時はカールに一発殴らなきゃ気が済まなかった。
「カァァーーールゥゥ!生ィーーーーきてたのかァァア!!」
ここ数年のパイロットの勘が、カール自身に危険を感知させたが、遅かった。コールはカールの首を腕で締め、カールは苦しがっていた。キースやアータルタたちは唖然と見ていた。現地民そっちのけでカールに向かって攻撃したのだから。
現地民は開いた口がふさがらなかった。大丈夫、と言った割には本人自身が大丈夫じゃないではないか。
「おい、止めとけよ。病み上がりなんだぜ、それにこいつの仲間なんだろう?!」キースは言ったが聞く気になれなかった。いくら翻訳されているとはいえ、当の本人に聞く意思が無ければそれは通じていないのと同じなのだから。
「馬鹿野郎!お前のせいでどれだけ面倒なことになったか!どれだけ、どれだけ・・・!レベッカや、まして皆は心配してたんだぞこのスカタン野郎!!」コールはカールだけに聞こえるようにぼそっと言ったが、アータルタには聞こえていた。
「分かった、分かったからっ、離せ!」カールは声を荒げた。彼に自殺願望は無かったようだ。
「・・・フン!」憂さ晴らしをしたコールはもう邪気が無かった。少し満足げだったのは気のせいだろうか。
「帰りませんか?もうここには用は無いのでは。」第一小隊の一人は言った。
「まあ、この星の情報はカールが結構仕入れて来たのだし、あとはこの『クリプトン』っていう人に一度、『戦闘目的じゃない』ってことを伝え、カールを回収する位だろうな。もっとも、今のカールが置かれている状況が『捕虜』みたいな感じだったらなあ・・・。」
コールは答えて、結局どうしようか、と迷った。武装しているとはいえ別に危害を加えようというつもりは無さそう。自分達だって銃をポケットの中に入れたり、エネルギーライフルを肩にかけたりしてているのだから。
「いやあ、俺は別に良いんだけどねえ、こっちもいろいろ情報を得たんだし。クリプトンさんが何て言うかで話は変わってくるんだけど。」やはりトップの許可を得ないとダメ、か。
その時、アータルタの様子がおかしくなっていた。彼女は、あの時の焦げた前髪の炭素が焼ける臭いを覚えていた。レベッカの顔を見たら尚更。
「『レベッカ』ねえ。ふぅん。レベッカ。あの時の・・・アハハ・・・レベッカァ!」アータルタは己の前髪の仇の名を再度確認し、「怒り」という名のエキスを抑えきれず、忍耐力というコップから洪水のように外へと流れ出て行った。
彼女は、自分の前髪の恨みを晴らすべくレベッカに襲い掛かった。彼女のローブのポケットの中に入っていた、油分で保存された赤い粉末の瓶を飛ばし、勢いよくレベッカの手前で割れる。避けるレベッカ。そして、炎がたちまち沸き起こるではないか。
「おい、ばか、止めろ、アータルタ?!」キースはパニックになっていた。レベッカとは違う何かが彼女にはあった。彼女は短気なのだ、レベッカより。
「誰が馬鹿よ!あいつが撃った奴のせいで私の前髪が焦げたのよ!」これを一言で言い表すなら「ヒステリー」が相応しいのだろうか。いや、髪は女性にとって大事なものだ。当然の反応なのだろう。どちらも過剰防衛だった気もするが。
「なあ、レベッカ。あの時、もしかして最大レベルでやったのか?」後ずさりするレベッカに話しかけたカールだった。カールもまた、己が巻き込まれないようレベッカから離れていたが。
「木に当てるつもりでやったんだけど・・・。」木に付いた残り火の粉がそうなるとは思っていなかった。いくら人が死なないエレキ・ショットとはいえ、レベルを最大にしたら量子の結合とスピードが強まり、「スタンガン」ではなく「ショットガン」のレベルに達していた。これが事の顛末である。
「大分危険だな。」カールは呑気だった。他人事は笑って過ごす。
「許さないわよぉ!」だが、ショットガンがすれすれに当たりそうだった彼女は「マジ」だった。レベッカとは違い、この赤髪は導火線が火薬だった。そしてその火薬に火を灯すように火球を三つ作り出してレベッカに飛ばした。
「おいおい!やめろ!」キースは言ったが聞く気が無く、レベッカに執拗にホーミングし続けていた。
「オラオラオラァ!視界に入れさえいればいくらでも操れるのよぉ!アハハ!私と同じ髪型になるのよ!」
「パーマは嫌だ!パーマは!」レベッカは悲鳴を上げながら逃げ回っていた。正確には、円を描くようにアータルタの周りを逃げまといながらその円の半径を徐々に近づけ、アータルタに一矢報いようとした。
一回は一回だ。向こうがやってきたのだから。
丁度その時。キースが、アータルタが作り出した火のサークルの中に入り込み、そして、アータルタの唇を強引に奪ったのだ。
「!!」アータルタはよりパニックになった。少なくとも、怒りそっちのけで今起こっていることを理解しようとしたが、その前に、あまりの出来事に失神してしまった。頭は蒸気が立っていた。そこに痺れる憧れる・・・?
こうして、レベッカの戦闘活劇は終わってしまった。
「なあ、カール。今俺らは何を見せられているんだ?」コールはすっとぼけながら言った。
「分からない。多分昼ドラだろう。今時こんなのが見られるなんて宇宙は広いものだ。」
「今の時間で言ったら夕方だぜ。こんな奴らに構っていないでさっさと帰ろう。」
「聞こえているぞ。」眠り姫を抱えながらキースは言った。
「でもよ、キース、決して逃げるわけじゃない。すぐにここに来るかもしれない。初めてこの星に来て会った最初の人間だからな。宇宙人がいるとは思ってもいなかったが。」カールは言い訳した。
「ああ、全くだ。お前も宇宙人だがな。ということは、上にいる連中もその情報を知っているだろう、と?」
「今頃パニックだろうよ。」カールは品性を描くような笑みを浮かべ、今宇宙で面白いことになっている所を見ることができず少し勿体ない気分にもなった。大方マーシャル6の艦長のことだろうが。
そして、肝心の彼らはレポートを書くことで必死だった。
「カールの大馬鹿野郎!生きてるのなら最初から言え全く!それに魔法を使える宇宙人と遭遇しただあ?!嘘も大概にしてもらいたい!」やはりカールの予想通りに悪態を吐き出すスズキ艦長だった。
「嘘じゃないから問題なのでしょう?」
「分かった、分かった!勘弁してくれ!」副官にして副艦長のリリアーナ少佐の返答がもっともで、耐えきれなくなった彼は仕事に集中しようとしても中々身に入らなかった。
「仕方ありませんよ、チェルカトーレ本部の命令とはいえここでしばらく待機せざるを得ないですから。」フィン少佐、彼の意見ももっともだった。
「一体誰の命令なのでしょうねえ、全く!あのぼんぼん司令官がここの支部の実権を握っている以上まともな判断ができるとでも?!せいぜいできると言ったら顎に出来た贅肉の厚さを数えるぐらいだろうが・・・!親父殿の苦労もよく分かる・・・あんな奴の命令を聞かなきゃならないなんて!」
睡眠不足で少々切れやすい艦長だった。カールが降下する五時間前には起きており、その時間は午前の二時。そして今現在は午後五時。休憩なし。尚且つ、艦の運営などで睡眠時間が削られていた。ローゼンバーグからしてみれば、まだまだ未熟な様だった。・・・ローゼンバーグ准将が完成された艦長だったか、という点では話が別な気もするが。
「おや、君の父親のことをデブだと言うのか?」ローゼンバーグの言った本当の意味を飲み込むまでに五秒かかった。頭の回転の速い彼らにしては遅い方だった。
「え、つまり、あれ?!・・・親父が?!」当然の反応だった。
「ついでに少将に昇進だそうです。」フィン少佐はそのことを前もって知っていたようで、妙な笑い方で・・・それともスズキ自身の被害妄想なのか。
マーシャル6の艦長と副艦長は顔を見合わせた。どちらも困惑した表情だった。 マーシャル6の艦長と副艦長は顔を見合わせた。どちらも困惑した表情だった。少なくとも、スズキ艦長がその暴言を理由に軍法会議にかけられることは無かった、という事だった。
そう、スズキ准将は少将になって、司令官に就任したのだ。前任のマクシミリアン少将を蹴落として。実際は、法的な手段で真っ当に得た立場でもあったが。
ミッチと彼の談合がばれ、色々な悪事が表立った。そして、スズキ准将が揺さぶりをかけたのだ。あのビデオを元に。
「もし私の責任にするというのなら、これをリークします。ですが、貴方の司令官としての役職を外れ、軍から除籍してもらうなら、責任はミッチ・ハーグレイブただ一人のピエロによる犯行と報告し、貴方は彼に弱みを握られた、とでも弁護して差し上げましょう。」
救いの手とも言うべきなのだろうか。
その数時間後、マクシミリアン少将は退職届を本部にワープ・ファイバーで通した。そして十数日が経ち、丁度カールたちが惑星に辿り着く頃、就任したという。戦時中であるために、その交代はす僅か三日とすぐに行われたという。
だがしかし、情報伝達にラグが生じていたのかは分からない。「ウェンディエゴ」の方の基盤の情報が何故かシャットアウトされており、カールたちに行きつくことは無かった。死亡者〇の結果と共に、その情報が届いていないことが発覚していた。なお、それを隠し通そうとした人物はキツネが捜査中だが、まだ見つかっていない。
だが、確かなことは、ミッチは軍艦至上主義者以外の誰かと繋がっているという事だ。
しかし、軍艦至上主義者は少なくとも「戦争に勝ちたい」だけであり、その方向性の違いから、現在主流となっているS4派と対立していただけだった。決して、カールを殺そうなどと最初から考える程頭のねじが緩んではいなかった。犯人は別にいる。もしや、別の目的を持った人間が。スパイの破壊工作か、クーデターの下準備なのか。今は憶測でしか語れなかった。
そして本当のところ、スズキ自身は別にチェルカトーレの司令官に自ら志願したわけじゃない。だが、軍部内のS4派閥達からの強い要望があり、就任したという。軍艦至上主義の面々はミッチ・ハーグレイブの失態が公に出ないようにしたかったが、メディアはそれを嗅ぎつけていたという。どこからかリークされたのかは分からない。だが、軍の情報局も別に防ぐ義理も無かったという。事が事だ。隠蔽するよりも公開浄化していた方がいいという結論に達したのだろう。
「アデレイドめ、押し付けやがったな。」その噂を副官のナターシャ中佐から聞いたスズキ准将は、笑いながら言ったという。そして、どうもパッとしないまま少将の位を受け取り、司令官の座に就いた。
これはスズキ少将の余談だが、どっかの誰かさんのせいで大きく形がずれ、汗のような酢酸のような、きつい臭いがこびりついた司令官室の椅子を初日にして早々に取り換えたという。決して大っぴらに語られることのない与太話だが。
「さて、こちらはそろそろ帰りますので。」コールが第一小隊の面々を連れて言った。
「ええ、こちらこそ。カール少年からはある程度情報は聞き出せたので。君たちがどういう種族で、どういった歴史や文化があるか。大分大雑把だった気もしますが。」
ギルド・コマンダー(支部長みたいなもの)であるクリプトンの放った一言に、レベッカは少したじろいだ。一体どこまで話したのだろうか。最悪全部話していたら軍法会議物だろう。
「・・・あれ?どこ?ここ・・・。」アータルタは正気を取り戻していた。気を失った後、動かさない方がいいとの事で、草むらのベッドに毛布一枚という状態だった。
「大丈夫か、アータルタ?」それを発したキースの顔に、一発殴ってやりたくなった。人前で、人前であんな事を!どうしてそんな恥じらいもなくできるのか!彼女はそう思っていた。意外と彼女は乙女なのかもしれない。戦闘の時とは裏腹に。
殺気を感じ取るキース。だが、拳の方が早く、顔面に痛そうに食い込んだ。
「すまん!すまん!・・・悪かった。お前を止めるためにはこうするしかなかった・・・。」
「次やったら二回やってやるから!」顔を赤らめ、息を荒げ、また頭が動転しようとしたとき。
盛大な吹貝のような、雄叫びが一斉に響いた。同時に、コールのホワイトスクエアに待機組からの連絡が入った。
「賊だ!山賊だ!」槍を持った村の門番の一人が言った。
バーバラは退屈だった。待機して二時間。面白いことは特に無く、只々森の木々を見つめるだけだった。
「ねえ、リン。何か面白いことは無い?」
「こっちが聞きたい。ああ、ピエロが居たら。いつものようにさ。」
「・・・どの大尉?」
「人聞きが悪いな、バーバラ。」
「そっちこそ。」ここでは固有名詞を避けておく。どうせ音声データを確認するのだろう、あの二人は警戒心が強いから。だから、リスクを分散させておく。
これは決して独学ではない。カールの「受け売り」だ、そうリンは思った。
丁度その時。機体から警告音がけたたましく鳴った。S4がロックオンされている時のアラームではない。付近に誰かいる。侵入者警報のサイレンだった。
アークへシスのS4は、三〇メートル付近にアークへシスの軍のIPを持った人間が近づくと警告音をけたたましく鳴らす。それに危害を加える・半径5メートル以内に近づく輩が居たら自動排除システムが作動し、アームからエレキ・ショットが射出されて相手を気絶させる。これは時に索敵にも使える。
「何・・・これ・・・!」バーバラは悪寒が拭い去れなかった。地震が起きた時の反応のように心臓が大きく脈を打った。恐らく、今カールが対面している人とは違う、別の何か。明確な悪意を持った何か!
「おい!早く準備しろ!」ベンに言われ、すぐに立ち直った。何が来ようと問題ない。吹き飛ばす!リンは思った。・・・バーバラだけでも生かして・・・いや、そんなことは考えてはいけない。負けることを最初に思うのは良くない。今やることは、ただ、敵をせん滅するのみ。
この時、リンは心が鉄で満たされた。そして、ハンドルレバーを思いっきり握った。
西の森と東の森の境目に位置するこの村は現在、山賊の脅威に苛まれていた。
そのため、護衛や傭兵業に従事している彼らソルジャー・ギルドの面々は、ここの村に常駐しなくてはならなかった。山賊の足掛かりが掴めず、他に手の打ちようが無かったからだ。
近年(どうも公転周期が地球とほぼ一致しているらしい)、東の森からの山賊による被害が相次いでいるらしい。本来、西の森に山賊はおらず、人々はそこから資源を調達し、子どもたちはそこで遊ぶのだが、今回はその西の森から出没していた。なお、その森の方にカールたちは降り立っていたのである。
「まずい!敵多すぎる!」通信の中で、待機組の一人は言った。
「これは俺たちの問題だ!絶対にヘリとS4だけは死守しろ!絶対に奴らに渡すな!合図があったらすぐに村の方へと輸送しろ!」
「圧倒的に人数が多すぎます!五〇人も!」コールは絶句した。アータルタがさっきやったような火球や水球のような芸当がこの星の住人全てができると仮定するのなら・・・技術の差なんて塵芥だ。急いでヘリを動かそうにも、すぐにやられてしまう!
「俺ら陸戦部隊はすぐにそっちに向かう!徒歩で一五分だ!問題ない!ロック!リューベック!ズィブ!モディ!お前らは村に残って山賊掃討の手助けをしてやれ!後は俺に続け!!」
コールは冷静さをいち早く取り戻していた。ホワイトスクエア越しにそこにいる味方と連絡を取りながら。
「おい、カール!」キースが言った。
「いいか!俺たちは青いスカーフを腰に巻き付けている。援軍は願っても無かったが、絶対に撃つなよ!」念を押すように言いながら、敵が来るであろう位置に向かっていくのだった。
かくして、彼らの初めての文化交流は、戦闘という結果になった・・・互いに撃ち合うわけではなく、共闘だったが。この一件で深追いしなくてもよかっただろう、との追及が官僚たちからの意見もあったが、それはまた別の話である。だが、確かなのは、カールたちの武力を彼ら原住民に見せつける結果になっていたのは、変わりようのない事実であった。
そこに痺れる憧れる・・・ジョジョの奇妙な冒険第一部にて、登場人物のディオ・ブランドー(DIO)の、取り巻きの言ったセリフ。
第6章・ブラッディ・ドリーム。全話10/28日公開。
第7章・8章は未定、されど11/10までには公開予定。




