君に届け
私は今、小説を書きたいと思っている。
それは失ってしまった彼女へと向けたものだ。
「失ってしまった」と言っても、決して死んでしまったわけではない。
ただ、単純にそこら辺のカップルと同じよう、付き合って、楽しい日々を送って、気づいたら彼女が冷めていて、僕の過ちで、僕を好きでなくさせてしまって、その結果失ってしまったのだ。
もう、1ヶ月以上彼女と会っていない。
昨年度までの、大学生の頃はほとんど毎日のように会っていた。
就職にあたり、引っ越した先でもともと夜職の黒服もしていたこともあり、ガールズバーなどに抵抗がなく酒の勢いでほんの興味本意で行ったことがバレてしまった。
「嫌だって言ったよね?」と君は言った。
違う。「嫌だけど、別にいいよ」と君は言ったのだ。
けど行った僕が悪いことに変わりは無い。
いつものような些細な喧嘩をして、いつもように仲直りできると思っていたのに、君の気持ちは冷める一方だった。
僕は本当に君が好きだった。けど、女癖が悪く、女の子好きで、どうしようもない僕だった。
君が僕を信じてくれるよう努力したつもりだった。
友達と飲みに行く時もメンバーを名前を出して伝えたり、出かける日もなにをしてたとも話した。電話も毎日した。してくれた。本当に君が好きだった。
これからも君と生きていくつもりだった。
結婚したい。子供も欲しい。なんて夢も持っていた。夢なのか、望みなのか、希望なのか僕にもわからない。ただ、本当にそう思っていた。
それでも付き合い方も、その少し後も、本当にどうしようも無い僕だった。
僕が悪い、なんてわかっている。
けど未だに君を求めている。
今、新しい人と会おう、出かけよう、付き合おう、と思っていても君を思い出してしまう。
何を考えていても、記憶のどこかに君がいる。
君が戻ってきてくれるなら全てを捨てられる。
狂おしいほどに君を愛している。