厳正なる審査
体調が悪くいつの間にか寝ていました。
37.6度で6月はきついですね。
皆様も体調管理に気をつけてください。
私が何故公爵領に来たのか、それは私がかっこいい冥土さんになりたかったからである。
まず、最初にかっこいい冥土さんとはなにかを考えて、共通点を見つけた。その一つとしてご主人様ガチ勢という点がある。よく漫画とかで男主人公に仕えるものがある。だがしかし!私個人としてはやはり小さい男の子とか女の子がいい。は?ロリショタコン?うるさいですね。殺しましょうか?
失礼。取り乱しました。まあ要するに推せる人が欲しいわけです。
公爵邸に着いた私は建物を一瞥する。公爵邸というだけあってなかなかの大きさだ。しかし、潮風を防ぐために壁際に植えられている木が伸び放題で閉鎖的な印象を与えている。
扉は閉まっていたのでジャンプで壁を飛び越える。中に入ると木に隠れていた建物が見えてきた。街の家と同じで白を基調とした外壁に紺色の屋根だ。そして予想はできていたが、今まで仕えていた庭師などはクビにされたのだろう。草花が生い茂っている。
音を立てずに、しかし堂々と正面入口から入っていく。意外にも汚れてはいない。というか何もない。大方めぼしいものは新しい領主とやらが王都に持っていったのだろう。
一階を一通り見て回り二階へ進む。廊下を歩いていると話し声が聞こえてくる。どうやら部屋の中からのようだ。こういうときは、
「闇魔法 影」
小さく呟くと同時に、手に黒い薔薇と茨の装飾がある一本のナイフが生成される。
さっきの壁を越える要領でジャンプをし、天井にぶつかる前に素早く斬る。天井裏への侵入完了だ。
天井裏からナイフを突き刺し、視界の確保をする。他の部屋と比べるとソファや豪華なベッドが置いてある。
「おい、今日もあいつに適当でいいから飯だしとけ。死なれたら金が無くなって困っちまう」
「えーあなたが出してよ。あんな気味の悪いやつに出したくないわよ」
どうやら夫婦の使用人のようだ。そして、なるほど流れが掴めてきた。
「チッ、しょうがねえな」
舌打ちをし心底嫌そうに言うと男の使用人は部屋を出ていった。私も音を頼りに男の使用人についていく。
するとガチャっと二回音がした。おそらく鍵をかけていたのだろう。
「ほらっ!今日の飯だ、さっさと食え!」
天井裏に穴を開けてみると中は薄暗い部屋だった。窓は締め切っており、防寒用の毛布らしき布切れと壊れた用具が乱雑に置かれていた。ゴミ捨て場というよりかは牢屋なのだろう。中に一人の少女が倒れていた。おそらく私の求めていたものだ。
男の使用人が去ったのを確認し、天井を人一人分通れるように切断する。そして部屋の中に飛び降りた。
いい感じの主を求めてここまできたわけだが、即断即決というわけにもいかない。私が推せなければ次に行くまでである。これは私のポリシーというかプライドのようなもの。例えその人の境遇がどんなに哀れで惨めだったとしても気に入らなければ仕える気はないのだ。容姿という小さなものではない。それは精神性、もっと言うのなら魂レベルの話だろう。
フフン、私の審査を突破できるかな。つよつよ冥土は安い女ではない。ザクとは違うのだよ。ザクとは。
自分でも静かに降りたつもりだったが、物音に敏感なのだろう。すぐにこちらを振り向くと、話しかけてくる。
「お姉…ちゃん、だぁれ?」
「合格!!」