◾︎第7話 作戦会議
俺が女の子になった次の日、今日も柚希家に来ていた。
柚希が家に来ていると言っても、ただ俺とゲームをするために来ていた。柚希とは最近発売されたレースゲームをやっていて、今のところは俺がすべて勝っていた。
「ほっ。おっ。よし、俺の勝ち~!」
「え~。もう一回、もう一回だけだから!」
柚希はそう言いながら、顔の前で手を合わせている。
これを聞くのは何回目か...。5回?いや、10回?いや、手で数え切れないくらい聞いているかもしれない。
「ねぇ、希。早くやろうよ~!」
柚希が俺を下から覗きながら話しかけてくる。
え?ラブコメでよく見るシーンだって?俺らはそういう関係じゃないぞ?可愛いと思ったことがない訳では無いが。
「そうだな。次も手加減しないぞ。」
「え~!少しぐらいは手加減してよ~。」
「はいはい。手加減しますよ。」
俺は軽く流す。
結局、10回戦って柚希が勝ち、ゲームが終了した。
「明日から学校だけど大丈夫?」
「あぁ、名前は笹見 あおい。一人称は私にすればいいんだろ?」
「そうそう。しっかりやれるか心配だなぁ」
「そんなに心配すんなって、なんとかなるさ。」
俺を希だと気づく人は居ないと思うし。もしバレたら大変なことになるから気をつけなきゃ...。
「ていうか、一人称変えない?"俺"だと違和感すごいよ?」
それもそうか。こんな美少女から"俺"だなんて...。いや、まてよ?ボクっ娘もありなのでは!?
いや、ないな。それはない。
「確かにそれもそうだな。この姿のときは"私"っていうようにするよ。」
柚希は嬉しそうに、
「よしよし。いよいよ明日は学校だね!!!」
「そんなに嬉しそうに言われても...。」
「希は楽しみじゃないの?私は楽しみ~!!だって、希と同じクラスだし!」
ん?今なんて?うちの学校はクラスがA組からD組まで4つあって、俺はA組で柚希はD組だった。しかもD組は頭のいい人、かわいい・かっこいい人が集まっているクラスだぞ...!!
そんな中で俺はやっていけるのか...?
「ちょっと待った。確かD組って頭のいい人、かわいい・かっこいい人が集まっているクラスだよな?俺なんかが行っても行っても?」
「じゃあ希は私と同じクラスになりたくないって訳?」
「いや、そういうことじゃないんだけど...」
正直、同じクラスで良かったと思ったところはある。なんせこの体で1人でクラスに居たらほとんどの人に話しかけられそうだしな。そういうときに柚希がいるととても頼りになる。
柚希は立ち上がって、
「じゃあ、いいじゃん!これからの生活、全力で楽しも!」
「よし、これからの生活、全力で楽しむぞ!!!!」
そう言って明日の準備をするのであった。