◾︎第2話 女の子になった原因
「ぐすっ...ぐすっ...うぅ...」
俺はあまりの驚きに再びベットに戻ってうずくまっていた。
「なんでぇ...俺はどこにでもでもいる平凡な陰キャ男子高校生だったのにぃ...これからまだまだやりたいことあったのにぃ...」
...これ、自分で言ってて悲しくなるやつだ。やめよう。
ていうか、どうして急に女の子になったんだろう...?
本当に分からない。
とりあえずインターネットで原因を調べてみることにした。
15分後───
「はぁ、ダメだ....何も手がかりがない....」
流石のインターネットでも突然女の子になることに関する記事はないらしい。
当たり前といえば当たり前か。
「...ん?そういえば、昨日幼馴染の木宮 柚希に変な薬を飲まされたような...?」
昨日の放課後に遡る───
◆
「はい、希。この薬を飲んでね」
怪しげな白い薬(そこそこ大きい)を渡された。
「えぇ....なんでだよ....」
さすがに怖い。俺を殺す気じゃないだろうな?
「だって希は科学部の被験者でしょ?」
俺は科学部という部活動に所属している。色んな事情があっての事だが....
どう考えても部活動でやる活動じゃないだろ...
「被験者って言うな!大事な部員だろ!!ていうか、なんで部員が俺と柚希しかいないんだよ!」
「あぁ....」
柚希は気まずそうに目線を逸らしながらこう言った。
「みんな怖くて逃げ出しちゃった的な?」
柚希は舌を出してテヘペロをしていた。...これ、他の男が見たら1発で恋に落ちるんじゃないか?そこそこ可愛いし。俺は落ちないが。
そこで俺はすかさずこう突っ込んだ。
「テヘペロじゃねぇよ!!」
どうやらこの科学部には俺と柚希しか居ないらしい。ちなみに、既にこのやり取りは何回もやっている。
「でも、ここの部活を辞めたらアニメ見れなくなっちゃうよ?」
「うぐっ....それは....」
そう、ウチの学校は必ず部活動に入らなければいけないという校則があるのだ。生徒を部活動で青春させたいとかなんとか...。
「つべこべ言わずに!はいはい、飲んだ飲んだ!」
俺は渋々薬を飲む
ゴックン───
「ん、飲んだぞ。これでいいのか?」
俺は薬の入っていた袋を手渡す。それにしても全然苦味とかなかったな。さすが柚希だ。
「はーい、今日はこれで終わり!帰った帰った!」
「被験者への扱い雑じゃない?」
◆
「そうだった....柚希に変な薬を飲まされたんだった...」
あの野郎...どうしてくれるんだ...
「とりあえず柚希に電話してみるか」
プルルル、プルルル───
ガチャッ───
「あ、希?起きた?」
「起きたよ!!!そんなことより、なんで女の子になってるんだよ!!!」
俺は少し怒りながら柚希と話す。
「よしよし、薬の効果が出てるみたいだね。実験成功だ!やっぱり私は天才だね。」
たしかに柚希は天才だが...。なんたって毎回の定期テストで学年トップを維持しているからな。流石にすごいとしか言えない。
「やっぱり昨日飲まされた薬の効果か....どうしてくれるんだよ....!あとお前は"天才"じゃなくて"天災"の間違いだろ!」
俺はいつもどおりの反論をする。
「あー、ゴホン!」
あ、無視された。柚希は都合の悪いことには無視をするのだ。
「希には今日から女の子として暮らしてもらいます!!!」
俺は突然告げられたことを信じられず、柚希に聞き返した。
「....は?まじで?」
「うんうん。まじで」
...。俺はちょっと体験してみたかったと思ったことを心の奥底にしまったのであった。
「あ、今から希の家に行くから。」
柚希がウチに来るなんて何年ぶりだろうな。昔、柚希とはよくウチで遊んでいたよな。懐かしい。そういえば、いつから遊ばなくなったんだっけ───
「あ、遊びに行くわけじゃないから。一応健康か確認するののと今後の生活について話に行くだけだからね。」
「あ、あぁ....分かってる。」
どうやら柚希ウチに来る事になったらしい。そうだな、部屋の片付けでもしておくか───
◇
「ふぅ。緊張したぁ...」
私は久しぶりに希と電話をし終わって電話の内容を振り返っていた。おっと、毎日学校で会っているでしょ?なんで緊張するの?というツッコミは無しだ。
「何も言わずに女の子にしたこと、流石に怒ってるかなぁ...」
私は希を実験台してはいるが、嫌いな訳では無い。むしろ好きだ。
「一応初恋の相手なんだけどなぁ。希は私の好意に気づいていないみたいだし。いつか振り返らせてるんだから!」
そう意気込んで希の家に行く準備をするのであった。