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8月17日 結婚


 私  「やっぱり、結婚って大変なんですね」

 看護師「まぁ、大変なことも含めて結婚だからね」

 私  「なるほど」


 ワカさんは、たしか27歳くらいだった気がする。そう考えると、今が1番結婚適齢期なんだろうな。


 看護師「結婚願望ないの?」

 私  「ないというかわかんないですね。まだ、付き合ったこともないですし」


 正直、恋愛がどういうものなのか想像することができない。


 看護師「そっかぁ。誰かテキトウに探しな」

 私  「ハハハハ。テキトウにって」


 思わず吹き出しそうになっていた。


 看護師「人生なんて、なんとなく過ごしたらそれで終わるよ」

 私  「うん、、、、、、、、、」


 どこか痛いところをつかれたような気がしていた。


 看護師「もし、今悩んでるなら、思ったことは全てした方がいい」

 私  「思ったこと?」


 思ったことかぁ、、、、、、。


 看護師「そうそう。違うと思ったら言った方がいいし、やりたいと思ったらやった方がいい。今いることは当たり前じゃないからね」

 私  「わかったよ」


 言われてみたらそうだ。周りとの温度差ばかり感じ、誰かのせいにして生きていた。でも、それはワカさんの言っていることとは違う。


 看護師「それが私に伝えたい最後のことだよ」

 私  「ありがとうございます」


 思わず、、、、胸がはち切れそうになってしまっていた。


 看護師「これ、私の連絡先」

 私  「えっ?」


 ワカさんの手には、白いメモ用紙があった。


 看護師「困ったら、いつでも連絡してきて」

 私  「ありがとうございます」


 メモ用紙には、ボールペンで書かれた連絡先があった。


 看護師「本来、こういうのしたらダメなんだけどね。ハハハハハ」

 私  「そうなんですね?」


 してはいけないことをしてもらえた、それだけでなんだか嬉しかった。


 看護師「バレたら、確実に怒られるやつだよ。まぁ、今日で終わりだから怖いものはないんだけどねー」

 私  「ハハハ。そうなんですね」


 ワカさんからもらったこの手紙が、これからの私たちを繋ぐもののようだった。


 看護師「あとで、連絡してきて」

 私  「毎日連絡してもいいですか?」

 看護師「毎日?ハハハハハ」


 正直、今まで信頼できる人なんていなかった。けど、この人なら信頼できる。私は、そう思えた。

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