表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/80

8月10日 一刀両断


 看護師「意識戻ってきたみたいね」

 私  「まだ話せないですけどね」


 昨日の夜から、定期的に目を覚ましていた。しかし、まだ話すことはできていない。


 看護師「もう少しでよくなるかもしれないよ」

 私  「そうだといいんですけどね」


 昔、お母さんも亡くなっているからあんまり医者の話は信用していなかった。


 看護師「心配なの?」

 私  「はい。早く戻ってほしいですし」


 私の表情から何かを察したようだ。


 看護師「他にあるの?」

 私  「私、お父さんいなくなったら終わりなんで」  


 素直に話してみよう。この看護師に。


 看護師「どういうこと?」

 私  「私、お母さんいなくて」


 この看護師は微動だにしなかった。


 看護師「そうなんだ。一緒だね」

 私  「ワカさんもいないんですか?」


 意外とシングルの家って多いのかな?


 看護師「うん。いないというか早く離婚してね」

 私  「そうだったんですね」


 離婚かぁ。離婚と病気で亡くなるのとは、また別の感情なんだろうな。


 看護師「親ってなんで離婚するんだろうね?」

 私  「うーん、、、、、」


 こればかりはわからない。好きで結婚したのに、別れる。これがおかしいのかおかしくないのか。


 看護師「お父さんは、新しい人作らないの?」

 私  「そんな余裕ないんじゃないですか?」


 お父さんが新しい彼女を作るイメージなんて1ミリもわかなかった。けど、お父さんも寂しいんだろうな。


 看護師「大切にされてるんだ」

 私  「それは知らないですけど」  


 自分が大切にされてるか?そんなのは言われなくても一番よくわかっていた。一人娘にあんなに尽くしてくれる親はいない。


 看護師「大事にしなよ、親も自分もいついなくなるかなんてわからないから」

 私  「はい」


 ゆっくり頷いた。


 看護師「早いよね、人生なんて」

 私  「私は長く感じますけど」


 ワカさんの考えには賛同できなかった。


 看護師「それは、ちゃんと集中してないからでしょ」

 私  「集中?」

 看護師「もっと目の前のことに集中してたら変わるよ?」


 首を捻りながら考えた。


 看護師「何かに熱中してないでしょ?」

 私  「まぁ、そうですね」

 看護師「もったいないからやめな」


 私の考えを一刀両断した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ