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7月29日 ペン

 夏休みもまた一日終わる。私は、机に向かってため息をついてしまった。毎年恒例、私は宿題の嵐に困っていた。受験生なのに、今年も山積みのような量の宿題が出ていた。真紀、助けてー!!俺とは懇願する。当たり前だが、そんなことを言っても助けてくれる人は誰もいない。自分でなんとかするしかなかった。私はノートを広げ、英語の長文、数学の課題、歴史のレポートなど、長々と書き連ねていく。約2時間くらいが経過しただろうか?気がついたら、20時を過ぎていた。さっき、職場から帰ってきたお父さんが声をかけてきた。


 私   「なに?」

 お父さん「この前、お母さんの墓参り行ってたんだろ?」

 私   「何で知ってるの?」


 まさか、、、、、、、、。知られてるとは。驚きだった。自分がそんなわかるように行動していたのだろうか?気になってしまう。


 お父さん「父さんも行ったからな」

 私   「そうなんだ」


 意外だった。お父さんは、まだお母さんの死を完全に受け入れてないのかと思っていた。というのも、昔墓参りのことを伝えると、お父さんは行かないと言い続けていたのだ。


 お父さん「お母さん気になるか?」

 私   「ううん。いつまでも気にしてられないよ」

 お父さん「そうか」


 どこか寂しそうにしていた。


 私   「お父さんは、気にするの?」

 お父さん「もちろんだ。お父さんなしの人生って簡単に受け入れれないぞ」


 真剣な目つき。これが、お父さんの本心なんだろうか。


 私   「前、行きたくないって言ってなかった?」

 お父さん「フフフフフ」


 なぜか笑っていた。どうしてだろうか?私には

わからなかった。


 私   「どうした?」

 お父さん「このまま行かないっていうのもありだけど、ホナミが行ったんだし行かないとな」


 どういうことだろうか?なぜ、私が行ったら行かないといけなくなるのか。理解できなかった。


 私   「そんなことないでしょ」

 お父さん「そんなことあるよ」

 私   「そう?」

 お父さん「もちろん」


 完全に言い切ったのか。それは、なんでだろうか。私には、わからなかった。


 私   「まぁ、いいや」

 お父さん「気にするなよ」

 私   「うん。お父さんも早く風呂入ってきたら?」

 お父さん「ああ、そうだな」


 そう言って、お父さんは歩き始めた。その姿を見ながら、再びシャーペンを動かし始めた。

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