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7月28日 大掃除

 私たちは、本来夏休みだから学校にいないはずだったが、みんなが部活動等でできていなかった大掃除をさせられていたのだ。クラスのほとんどが、部活動に所属しており、帰宅部の私たちは、手伝うようにキツく言われていたのだった。クラスに来ていた8人ほどの生徒で掃除をしているという状態だ。


 楓 「わざわざ、学校なんて」  

 私 「ホントだよね」


 手を動かすというより、口を動かすことのほうが多かった。


 楓 「夏休みになんで来ないといけないのか」

 私 「わかる、わかる」


 楓の意見には賛同だ。


 楓 「もう、本当にめんどくさい」  


 私より怒っているんじゃないか、楓は?


 私 「それより、見つかったの?」

 楓 「何が?」


 聞いてよかったのかわからないけど、私の衝動は抑えられなかった。


 私 「那奈の居場所」

 楓 「さぁ。東京って言ってるけど、どうだろう?」 


 東京という言葉だけでは納得いかないみたいだった。


 私 「まだ、連絡取れてないの?」

 楓 「全然だね。というか、向こうが取る気ないと思うし」

 私 「そうなの?」


 向こうが取る気ないって、どういうことだろうか?私は、楓を見つめた。


 楓 「まぁ、もういいんだけど」  

 私 「なんで?」


 諦めている。こんな楓を見るとは思わなかった。


 楓 「たぶん、帰ってこないと思うんだよね」

 私 「えっ、そうなの?」


 何をもって、そう思っているのか。私にはわからなかった。


 楓 「なんか、待ってると疲れるしね」  

 私 「そんなことないでしょ。頑張って待ったらいいじゃない」


 頑張って待てば、なんかあるんじゃないか。私は、勝手にそういう希望を抱いていた。


 楓 「そんな簡単に言わないでよ」

 私 「そうだけど」


 少しムキになっていた。今は、楓とケンカするつもりはない。無理に言い返すことはしなかった。


 楓 「待っても待っても帰ってこないとさ、神経すり減ってしまうんだよね」  

 私 「そっかぁ」


 楓の話にゆっくり頷いた。


 楓 「うん」

 私 「いつ、出会えるんだろうね」

 楓 「さぁね?もうわかんないや」  


 ちりとりを取り、ゴミを入れていく。


 私 「なるようにしかならないさ」

 楓 「うん。私もそう思う」


 私たちは、お互いの顔を見合わせながら笑顔を浮かべていた。

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