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7月24日 微風

 今日は、いつにも増して暑かった。青々とした公園ということもあり、微風が吹いていた。一緒にいた真紀と楓は木陰に身を寄せて、夏の日差しから体を守っていた。真紀は、友だち関係に迷っている。楓は、那奈が戻ってこないことに困っている。そして、私は、、、、、。私はというと、、、、、、、、、、。自分でも上手く言葉に言い表すことができないでいた。でも、自分が悩んでいることなんてたかが知れている。真紀みたいに友だち関係に悩んでるわけでもないし、楓みたいに誰かの帰りを待ち望んでいるわけでもない。ずっと、心の中にある汚れた何かを綺麗にしようと必死だった。

 けど、私の心は、なかなか綺麗にならない。磨いても磨いても。何が汚れとなっているかわからないなかで磨いてた仕方がないのだ。私は、その汚れをいつしか取ることをやめた。そんな感覚なんだろうな。

 ブランコに座りながら、いろいろ考え事をしていた。そばでは、風でもう一つのブランコがゆったりと流れていた。まぶしい光が照らしてくる。まるでダイヤモンドみたいだ。横からは、蝉の鳴き声が聞こえてくる。まぶしい光と蝉の鳴き声を聞き続けていた私は、一瞬、時が止まったかのように感じてしまったのだ。

 夏休みまで残り2日。夏休みの期間どうするか考えていた。すると、ある一つの案が浮かんだのだった。たぶん、お父さんに言ったらなんて思われるだろうか?それでも、家にいるよりずっといい気がしていた。学校に行かないと言った日から、お父さんとはあまり話をしていない。話したくないとかはなかったけど、お父さんからも話しかけてくることはなかったのだ。もう、18歳の女子高校生。お父さんとたくさん話すなんていう年齢ではなかった。

 今日、この後帰っても、まだお父さんは帰っていないと思う。いつも帰ってくるのは、21時を過ぎている。クタクタになって疲れているはずなのに、そんな姿は、私が生きてから見たことがない。ああいう大人がみんなから理想なんだろうなとは思っていた。でも、なんであんなに強いんだろうか。お母さんがいた頃からずっとそうだった。娘の私としては、たまには弱った姿も見してほしいものだ。このままだと、お父さんがいつか倒れてしまうんじゃないかという不安は常にある。お母さんもいなくて、お母さんもいない。そんな人生に私はどれだけ我慢できるのだろうか。楓の掛け声とともに、私は家に帰ることにしたのだった。

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