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7月22日 思い出

 先生から配られた夏休みの宿題。まだ、4日あるのに配られたということは、早くやっていいという証拠だろう。「皆さん、夏休みの宿題です。今から、配っていきますので時間ある時にやってください」。先生の声はどこか優しいように感じた。私は、みんなの様子を見ていた。生徒たちは驚きの表情を浮かべているようだ。まぁ、私たち3年生にとって、夏休みの宿題は、宿題のようなものではなく、参考書のようなものだ。私たちは、受験にさえ受かればいいのだから。私は、配られた英語の長文プリントに目を通したのだった。なんだ?これは?

 私が困惑していたのは、量の多さ。これは少なくとも30枚はあるだろう。一日1枚しても30日かかる。こんなにいらないだろ。だんだん興奮してきてしまっていた。さっきも言った通り夏休みの宿題なんて参考書なんだ。大学に受かるのなら使うけどそうじゃないなら使わない。それだけだろうが。だんだん、自分の中で怒りが湧いてきた。最近、こういう感じのことが多い気がしてきた。この前も、なんとなく学校に行きたくなくて、お父さんにも反抗してしまった。別に周りの人がどうこうとかじゃない。ただ、自分の中で納得できないものがあると、なんだか許せない自分が出てきてしまうのだ。ただ、許せないだけならまだいいけど、その気持ちが態度に出てしまうのをなんとかしないといけなかった。

 私は、前の生徒から渡された厚い英語の長文プリントを机の中にしまうことにした。今見ても、なんとなく嫌な気持ちにしかならない気がしていた。残り時間が自習となった私は、英語の教科書に書いてある単語とにらめっこすることにした。みんなは、黙々と夏休みの宿題に取り組んでいたが、私はとてもじゃないけどできる余裕がなかった。残り4日となった夏休み。私は、夏休みに入ったら、何をすればいいのだろうか?とても疑問だった。本来であれば、受験生だから受験勉強なのだろう。お父さんからは、お母さんに会いに行くことはいつでも許可されていた。と言っても、お母さんは関西にいる。そんな簡単に行ける距離ではなかった。

 まぁ、お母さんに会ったとしても何も話すこともないし、話したいとすら思わないのだけど。私は、英語の教科書を持つことすら疲れて、英語の教科書を閉じてしまった。何か夏休みにしないと。それだけは、思った。今のまま生活してたら、本当に高校生活が、くだらないもので終わってしまう気がした。高校生活に思い出なんていらないけど、なんかは残したいと思っている自分がいたのだった。

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