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7月21日 本屋

 夏休みまで残り5日。今日は、学校終わりに、本屋に来ていた。別に欲しい物があるというわけではなかったが、このまま家に帰ってもという気持ちが強かったため、家の近くにある本屋に行くことにした。陽の光が優しく差し込む中、私は、ゆっくりと歩いていく。室内と室外で気温差があるんだろうと想像しながら、クーラーが強くかかっていることを期待した。

 自動ドアが素早く開く。その瞬間、一気に涼しい風が吹かれているような気分になった。私が見たかったのは、漫画や参考書など多くの高校生が行く場所ではない。小説を読みにきたのだ。私が読むような小説は、溢れる知識と物語の進展を理解しないと面白くない。私は、那奈と楓の影響で本を読むようになった。最初は、那奈がよく読んでいた小山という著者の本から入り始めた。私は、那奈ほどこの本が面白いと思ったことはなかったけど、本を読んでいる時間は好きだった。

 本を読むことがこんなにも自分を没頭させてくれるなんてありがたかった。学校で嫌な時も本を読んでいる時は、忘れることができていた。高校2年生の頃から本を読み始めて、もう50冊くらいになる。空き時間は、スマホか読書かという感じに変わってきた。私は、右に曲がり小説コーナーに入った。たくさんの小説が置かれている。しかし、これはどれも新しい本だ。私が読みたいものは、もっと昔のもの。今の時代に合ったものが読みたいというわけではない。今の時代と違っていてもいいから、もっと独特のメッセージを発信しているものがいいのだ。

 私が好きそうな本の場所についた。床には木目が浮かび上がって、手触りがよさそうだ。本屋に入ってから、私の体も少しずつ冷えてきた。私の目線の先には、若林直生の『ドクロ』という本が置いてあったのだ。この本が書かれたのは今から、30年前だ。こんな昔の本がよくここに置かれているな。感心せざるを得なかった。

 書棚にびっしりと並ぶ本たちの中でも一番目立って私に訴えてくるように感じた『ドクロ』の本を手に取り、ページをめくっていく。どうやら、この小説は、当時の不登校の少女に関する内容みたいだった。最後の方には、何度も犯罪の文字が出てきており、そういったシーンも描かれるのだろうか?手に取った本を直し、再び戸棚に目を向けた。一冊一冊の本が、どこか自己主張しているように存在しているように感じて、私は溢れんばかりの好奇心が芽生えたのだった。

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