表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/80

7月19日 進学

 信号が変わり、私は進み出した。この自転車は、電動じゃないから進みにくい。家に電動の自転車はあるんだけど、盗難防止のため、学校からは乗らしてくれない。そんな手動の自転車を漕ぎながら、帰ってきていた。大体、自転車に乗っている時は、一日のふりかえりをしている。あんなこともあったな、こんなこともあったな。私は、いろんなことを考えてしまうから、この時間があんまり好きではなかった。

 久しぶりの学校は、やっぱり退屈だった。くだらない。それが結論だった。これまでは、大学進学を前提に進路を考えていたけど、こんなことなら、就職でもいいかなと思うようになっている自分がいた。私は、そんなことを考えながら、自宅に帰ろうとしていた。今日は、真紀や楓とは帰りたくなかった。

 なんとなく、みんなと同じ。そう流されないためには、一緒にいないことに限った。学校に行けば、みんな進路の話。当たり前なんだけど、私にとっては、そんなに重要ではなかった。これから、みんなは当たり前のように勉強して本番の試験に向かうんだろうな。そんな時間、私には到底準備できない。何が楽しくて受験勉強なんてするんだろうか?勉強することは、重要だと100歩譲ったとしよう。けど、みんな同じように大学に行くのは譲れない。なんで、進学前提でみんな話が進んでいくのだろうか?私には、よくわからない。みんな進学するなら、みんなと同じ。それだけしか残らないんじゃないか。

 私は、カバンを見つめながらそう考えてしまっていた。みんなと同じ、、、、、、、。私は、それが嫌なのだろうか?それとも、勉強が嫌なのだろうか?それとも別の理由だろうか?これから、私はどうしていこうか。真紀や楓が毎日勉強する中、私は黙って二人を見ておけばいいのか?それとも、自分は、自分の道を進んだらいいのか?もう間もなく到着しそうだった。

 そもそも、自分の道ってなんだろうか?どの程度、一緒ならダメなのだろうか?私は、よくわからず自問自答を繰り返していた。この角を右に曲がれば自分が住んでいるマンションが見えてくる。自分の考えに答えが出ずにウヤムヤになっていた。私は、ゆっくりと自転車の向きを変え乗り出した。自転車から降りると、このマンション専用の駐車場にとめる。そして、鍵をとり、私が住む4階まで上がるため、エレベーターのボタンを押したのだった。もし、大学に進学したら、おそらく家から通えなくなるんだろうな。そんなことが頭をよぎったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ