7月13日 アルバム
昨日、お父さんから捨てるように言われた紙袋は、開かなかったらよかった。心残りしかない。結局、捨てることができず押し入れにしまいこんだ。さすがに、ここに入れておけば、バレないだろうと思った。
紙袋の中には、お母さんたちの大量の写真が入っていた。中には、私が入っているものも。古い写真から最近の写真までいろいろ入っていてた。私は、リビングから部屋に戻り、誰もいない家の中で、再びアルバムを見ることにした。
このアルバムは、誰が作ったのだろうか?ただ、アルバムに入れた物ではなく、手作りの物だった。私は、アルバムを紙袋から取り出した。A4の画用紙4枚を4等分にカットされている。とても綺麗な切り方だ。そして、そこに、まとめて片側だけ穴あけパンチで2つの穴が開けられている。こんなに上手いのをお父さんが作れるだろうか。一番上の画用紙には、黒ペンで枠線が描かれている。
こんな上手に枠を描けるのはお母さんか他の人に違いない。表紙の型紙を上に乗せて、クリップみたいなもので固定されているみたいだ。そして、上からシャーペンでデザインをなぞり下の紙に写しているみたいで、うっすらその後が残っていた。おそらく、その後、型紙を外し、表紙に映ったデザインを黒いペンでなぞっているのだろう。最後に、穴を開けた2箇所にピンクのリボンを結んで完成になるんじゃないかと思った。
このアルバムは、ポケット式みたいで、大量の写真が入っている。一番初めには、生まれたての私の写真を持ったお父さんとお母さんが立っていた。二人とも、若かった。そして、次のページをめくると、3歳頃の私が。この家は、おばあちゃんの家だ。最近、全然行っていない。おばあちゃんの家は、大阪でここからだとだいぶ時間がかかるのだ。
そして、その写真の横には、私がよく遊んでいた公園での写真がある。あの公園を見たのは、とても久しぶりだ。小学生以来、行っていないあの公園は、今でも残っているのだろうか?それとも、潰れて別の何かに変わってしまっているのだろうか?写真を見れば見るほど、なぜ、このアルバムを捨てようとしていたのか余計わからなくなってしまっていた。気持ちを理解できなくはないけど、このアルバムの写真を捨ててしまうということは、お母さんも一緒にいなくなるということだ。それだけは、したくなかった。お父さんも同じ気持ちだということはわかる。ただ、何か捨てる理由があったのだろう。




