6月4日 山川楓
今日は、土曜日で学校が休みだった。私は、部活動に入っていないこともあり、朝から睡魔と闘っていた。布団に入りながら、今日何をしようか考えていた。同時に、那奈のことも気になっていた。
今は、那奈のことを知っていそうな5人のガサ入れを始めたところだった。定本のガサ入れは、終わったので、他の四人にどうガサ入れをするか悩んでいた。今日は、楓に会うことに決めた。早速、眠たい目をこすりながら、スマホを手にとった。そして、楓に連絡を入れた。
連絡は、入れたはいいものの、眠たすぎて、また眠ってしまっていた。
今日の15時から、ハンバーグ屋のマクドニルドで、会う約束が決まっていた。
私「楓ー、こっちこっち」
楓「ごめん、15時にしてもらって」
私「全然、大丈夫。今日は、何か予定あったの?」
楓「うん、ちょっと行くところがあって」
少し、言いにくそうな様子だった。
私「そうなんだ。それより、最近、那奈と連絡つながった?」
楓「那奈?」
直球で、質問をしてみた。
私「うん」
楓「全然、連絡とれてないの」
楓は、何も知らないかのように話をした。楓は、クラスでも常にクールで、多くを語らない。しかし、那奈のいる時は、笑顔が絶えなかった。いつもは、那奈や私たちといることが多く、那奈がいなくなるまでは、私もよく話していた。
しかし、那奈がいなくなってから、楓は、一人でいることが多くなった。
楓は、那奈と同じの八代北中学校出身だ。二人とも、中学校の時から、同じ茶道部で仲がよかったらしい。
楓「今日は、なんか用事だった?」
私「今度、那奈の家に行こうかなと思ってるんだけど一緒に行かない?」
楓「那奈?」
私「うん。やっぱり連絡とれないの心配になって」
楓「でも、家にもいない可能性あるんじゃない?」
私「そうなのかな?」
楓「これだけ学校来てないと、その可能性もあるかなぁって」
私「だよねぇ」
楓「でも、確認して見るのはいいと思う」
私「そう思う?」
楓「うん」
私「楓は、いつやったら行けるの?」
楓「今は、受験勉強で忙しくて、平日は、難しいかも」
私「そっかぁ」
楓「でも、土日だったら時間つくるよ」
私「ホント?」
楓の返答に少しビックリした。私の中で、楓はウソをつかない人だった。そのため、本当に楓と那奈の家に行けるのではないかと思った。
楓「うん」
私「いつ頃がいい?」
楓「うーん、2週間後とかだったらいけるかも」
私「じゃあ、6月の末ごろに行かへん?」
楓「いいよ、蒼井も誘う?」
私「そうだね。三人で行った方がいいかも」
楓「ホナは、那奈といつまで連絡できていた?」
楓が、心配そうに聞いてきた。
私「4月26日かな」
楓「そうなんだ」
私「那奈は?」
楓「私は、GWの時に一回だけやりとりして、そこから連絡とれんくなったの」
私「GWのいつ?」
楓「5月1日かな?」
私「その時、どんな様子だった?」
楓「うーん。その時は、GWの宿題について話したの」
私「GWの宿題?」
楓「うん。私から、GWの宿題範囲を伝えたの」
私「その時は、いつから来るとか言ってなかった?」
楓「GW明けたら、来るっていってたんだけど」
楓の話は、どこまで本当かはわからない。ただ、定本よりも深い話が聞けた。
私「じゃあ、なんで学校来てないかは話してないの?」
楓「うん。話してないよ」
私「そっかぁ」
楓「でも、文面自体は、いつもと変わらなかったよ」
ホントは、楓が他になにか知っているんじゃないかと疑ってしまった。
私「そっかぁ。病気とがじゃなかったらいいな」
楓「ホントだよね」
私「他、休む理由あるかな?」
楓「引越しとか?家族に何かあったとか?」
私「ありそう。那奈は、みんなに助けもとめたりしないから余計心配」
楓「そうなのよね。那奈は、自分の困ってる時は、何も言ってくれないの。でも、私が困ってる時はすぐ助けてくれるの。私は、何度も助けてもらってるから、何もできない自分が嫌なの‥‥」
楓が心配そうにしながら、話をしてくれた。
私「‥‥」
楓「那奈が困ってるのに、私は何やってるんだろう」
私「今度は、私たちで助けてあげようよ」
楓「‥‥。うん」
楓の目には、涙で溢れていた。私は、楓の背中をさすりながら見守っていた。これ以上、那奈のことを聞くことは諦めた。楓が、どこまで知っているかはわからなかった。でも、6月末に那奈の所に行くことが決まったのはよかった。