7月3日 かき氷
私は、アイスを食べながら、考えていた。もう夏かぁ、、、、。この季節は、やっぱりお母さんのことを思い出す。お母さんが作ってくれるかき氷は、いつも甘かった。キンキンに冷えた氷の上に大量の苺味のシロップがかけられていた。お母さんには、言えなかったが、甘すぎて最後まで食べるのが難しかった。
たしか、あの日もそうだった。8年前の小学4年生の頃を思い出していた。私が学校から帰ってきたら、お母さんが楽しそうにかき氷を削っていた。私は、玄関先ですぐにランドセルをおろして、お母さんのところへ駆け寄った。
母は、私には目もくれず、一生懸命、かき氷機を回していた。私は、その光景を今でも覚えていた。お母さんが一生懸命かき氷機を回す姿は、私が泣いている姿をさすってくれるのと同じように思えた。背中をささってもらえると、なぜか元気になれた。また、頑張ろうって思える。
他のお母さんも同じかもしれないが私にとっては特別な存在だった。お母さんは、私の頭をさすりながら、完成を待っているように言われた。あの頃のかき氷のサイズはとても大きく感じた。目の前にある皿と同じサイズなんて。私は、食べていたアイスの棒を袋の中に入れこんだ。
私は、そろそろ宿題をしないといけないと思いながらも、この1時間動かないでいた。土曜日ということもあり、ホントにごろごろしている生活だった。そう言えば、あのかき氷機って、、、、、、。私は、お母さんが亡くなってから、かき氷を食べていなかった。
思い立ったかのように、台所へと歩きはじめた。確かこの奥にあったはず。料理器具を出して、探していく。あれもこれも違う。探していたかき氷機が見つからない。すると、目の前に薄緑色の機械が発見した。これだ。一気に気分も高揚していた。
取り出してみると、袋で頑丈に守られていた。セロハンテープを1枚1枚とるが、なかなか全部は剥がれない。袋は、何重にもなっていた。こんなに貼られているとは思わなかったな。亡くなったお母さんがこんなことをするなんて考えられないし、やっぱりお父さんかなぁ。
でも、なんでこんなに頑丈に袋で守っているのだろうか?もう使うわけでもないのに。もしかしたら、私に見つからないようにしたのかもしれない。昔から、ずっとお母さんの前ではかき氷と言い続けていたし。でも、それが本当ならお父さんに申し訳ないことをしていた。私は、これ以上あけることをやめることにした。




