6月15日 挙手
今日は、どうも、朝から体調がすぐれない。頭も痛いし、思うように体が動かない。1時間目が終わったら、一度保健室でも行こうか迷っていた。
1時間目は、総合の時間だった。前半は、来月行われる実力テストと三者面談について。そして、後半は、体育祭についての連絡。どうやら、今年は、7月20日にあるらしい。クラス委員長の、土井が前に出てきた主要な、応援合戦のリーダーを決めていた。
体育祭は、毎年、応援合戦、クラス対抗リレー、部活対抗リレー、騎馬戦がメインだ。私は、この中でも、応援合戦ぐらいしか関係ないからいいのだが、関わる人は、大変だろうなと勝手に思っていた。そんな私の思いとは、裏腹に、応援合戦の担当者が決まらない。どうやら、みんな、受験で、応援合戦なんかしてる暇なんてないといった様子だった。
しびれをきらした担任の山田先生は、土井の近くに行って、声を発した。「誰もやる人いないのか?」。なかなか立候補の手が挙がらない。私のいる国公立クラスは、リーダーになれる人がたくさんいた。男子では、サッカー部キャプテンの辰巳、陸上部キャプテンの藤平、委員長の土井。女子では、バスケ部キャプテンの高田、テニス部キャプテンの寺崎。
いつもクラスにいる中心人物がこういう時に手を挙げないのは本当に腹が立った。このクラスで最も嫌いなのが、高田と寺崎だ。高田は、周りからリーダーにおされるタイプ。寺崎は、自分から引っ張っていくタイプ。二人が嫌いな理由があるわけではない。たとできるだけのチカラがあるのに、しないヤツは、嫌いだった。
「なんで、手挙げないの?」。なんのために普段から騒いでるのよ。そんなことを考えているとさっきより、さらにイライラしてきた。しかし、この中にいる誰もが手を挙げない。私は、朝から体調が悪く、機嫌もよくない。この状況が続くくらいなら‥‥。私は、右手をスッとあげた。すると、教室の皆んなが私の方向を見つめた。私は、後先のことなんて、何も考えていなかった。でも、あんな何もしないやつに比べたら。
「新谷、やるのか?」。「いいですよ」。先生は、私の方を見つめた。すると、チャイムが鳴った。この続きは、明日行う説明を受けた。私は、ほとんど話を聞いていなかった。あまりにも、頭が痛かったので、真紀に話をして、保健室に向かった。
保健室に向かってる途中、さっきの挙手した重要性に気づいてしまった。ただ、もうひきかえせないし。頭が痛いだけでなく、何もしないクラスのやつに悶々としてしまっていた。




