6月12日 トンネル
私は、学校が休みということもあり、朝から図書館に行っていた。私のクラスは、国公立クラスで、頭がいい人が集まっていた。だいたい30人くらいだが、学力は、下から数えた方が早いだろう。
クラスの上位は、高田、寺崎、沢田、土井あたり。一方、下位には、藤平、中沢、定本たちがいるだろうと勝手に考えていた。少しずつ、進路に合わせて、勉強も始めないといけない時期に入ってきた。下位にいた藤平や中沢は、国公立クラスにいるが、私立大学にシフトすることを噂で聞いていた。
私の進路希望は、地方の国立大学。ホントは、横浜や大阪などの大学にも行きたいが、今からでは、絶対に無理だ。私は、国立大学に加えて、私立大学も2つほど考えていた。ただ、どちらかに比重を置くかどうかに迷っていた。将来、就きたい仕事がない私にとって、進路先は大きな選択だ。
私の問題は、勉強ではない。物事に対するモチベーションのなさだ。勉強と部活も遊びも全部めんどくさがってしまう。何に対してもモチベーションが上がらないので、何となくして何となくの結果しか残らない。そんな状況は、理解してるが、"まぁ、いっか"と思ってしまう。
くよくよ悩んでしまうよりかは、いいのだろう。ただ突き抜けるには、何かが足りなかった。"突き抜ける"って何だろう?ふと、私の中で疑問が浮かんだ。私の周りで言えば、高田真波や下田那奈がそれにあたるのだろう。彼女たちと私との差。それは、、、、、。
その先を言ってしまえば、この先、努力できなくなる。認めたくなくなると思うだろう。ただ、"突き抜けていない" が必死に今の現状を変えようともがいている者もいた。蒼井真紀や山川楓だろう。真紀は、自分に何か足りなくて毎日もがいていた。考えないでいいほど、考える。そして、余計、苦しくなる。楓もそう。いなくなった那奈の帰りをずっと待っている。側から見れば、惨めでかわいそうに映る。ただ、私からすれば、二人とも出口のないトンネルを一歩ずつ歩いている様だった。
トンネルの出口にいる高田や那奈。トンネルの中にいる真紀や楓。おそらく、私は、トンネルの入口から、みんなの状況を見ている人だった。出口にいる人たちに憧れて、出口にたどり着かない人を蔑む。そんなことを考えている自分が嫌になっていた。これから先、トンネルの出口に行けないくてもいい。でも、トンネルと入口でずっと立っている人にはなりたくなかった。




