40.ビデオレター
画面に映るのはどこか病院の病室。
ベッドから身を起こし、こちらを見ているほのかの姿がある-------
正吉君、色々と迷惑をかけてごめんね。
このビデオは、私からの最後の、お別れのメッセージです
あの日言えなかった言葉を伝えさせてください
今までずっと一緒にいてくれてありがとう
私の甘さが、考えの足りなさが、自分勝手さが、たくさんの人を傷つけました
謝ってすむことではないけれど、本当にごめんなさい
お父さんに、はじめて怒られました。
その後で、一から家族をやり直そう、
傍にいるからと抱きしめられて、
家族三人で泣きました。
私たちは正吉君のいないどこか遠くへいきます。
本当に欲しかったものも、
思い描いていた未来も、
全部この手の中にあったのに、
私はそれを、自分の愚かさゆえにすべて捨ててしまいました。
そのことで、他の誰かを恨んだりはしていません
ただただ私が弱くて、馬鹿で、自分の事しか考えていなくて、
そして正吉君なら何をしても許してくれると----心の底で馬鹿にしていたからです。
だから無理かもしれないけど、
正吉君はもう、私のことで自分の事を責めたりしないで下さい
これは幼馴染だった私からの最後のお願いです
正直に言うと、正吉君のいない未来を生きていくのは辛いです。
・・・怖いです。
朝起きるたびに、多羅篠との事は夢だったらって思って、後悔しています。
正吉くんの彼女のままで居て、いつか結婚して、子供を産み育ててという幻に思いをはせて、哀しくなります。
もう隣に正吉君がいないのが、どうしようもなく切ないです。
そして正吉君が私ではない他の誰かのものになるんだと思うと、
涙が止まりません。
これから先を正吉君と一緒に歩いていける、私ではない誰かが・・・
羨ましくて、妬ましくて、苦しくて、そんな自分の卑しさを恥じます。
でもそれは人の気持ちを考えずに自分の好き勝手にしてきた私自身への、罰。
全部受け止めて、私は、これから先の人生を生きていきます。
どうか、もう、私のことで悩んだり、苦しんだり、迷ったりしないでください。
これから先の私のことは私自身の責任で、向き合っていきます。
正吉君には、私が居なくても、きっと楽しい毎日があります。
私は-----ずっとそばにいたから、正吉くんが優しくて、かっこよくて、魅力的な人だって知っているから。
正吉君、本当はね・・・正吉君ってすごくモテてたんだよ。
でも、私がいたから皆、正吉君の事をあきらめてたんだ。
だからきっとこれから先、正吉君には私よりもっと素敵な恋人が、
ずっと一緒に隣にいる誰かが、出来ると思います。
私が言うべきことではないけれど、正吉君が幸せになることをいの・・・いのっ・・・いのっ、ウッ、ヒッ、いの、いのって・・・祈っています・・・!
スンッ、スンッ、だから、これでお別れです。
----------それじゃあねしょうちゃん
元気で暮らしてね!
明日菜とお幸せに
そういうとほのかは右手で敬礼をし、その数秒後に画面は暗転した。




