SIDEこころ:こころのココロ(前)
「サヨコーーーーーーーー!!」
足に炎を纏ませながら2人に分身したギャレン君のドロップキックが、
悪い人たちに指令を出していた人------九尺って呼ばれてたみたいだけど------に命中して、打倒していた。
幼馴染をひどい目にあわされた仇だって、
今日のギャレンくんは燃えていたけど凄く強かったなぁ。
「----ハート様ァ!後は雑魚ばかりだ!ここは俺たちに任せて村正サンのトコに行ってくれ!」
「汚物の掃除は俺たちで十分だぜぇ!」
口々にそう言ってくれる皆に、後を任せて正吉くんたちのところへと走り出す。
皆大丈夫かなぁ、怪我してないかな・・・心配だよぉ。
ピロリン、とメッセージの着信音が鳴ったので見ると、
結構上のフロアにいてピンチみたい・・・はわわ、いそがなきゃ!
正面玄関の前では大きな人がキョウスケくんや赤い髪の男の子を踏みつぶしていたけど、丁度村雨君が到着して救けに入っていた。
すれ違いざまに村雨くんが無言で頷いたので、その横を走り抜けてそのまま壁に飛びつく。
--------村正を頼むぞ山茶花!
そんな声が背中にかけられたので、任せて!と返事して壁をよじ登る。
よいしょ、よいしょ。
割れた窓から中をのぞいたら、可愛い女の子・・・じゃない、テツくんだ!
なんで女の子の滑降してるんだろう?でもテツくんが、大きくて怖そうな人にがっちり捕まえられている。あっ、村正君もぼろぼろだ!
・・・もう許さないんだから!
思いきり握りこぶしを壁にたたきつけると、壁が吹き飛んだのでとうっ!と部屋に飛び込んで着地。
「正吉くん、皆、もう大丈夫。・・・私が来たよ!」
そう言って立ち上がって、にっこりと正吉君達に笑った後、きっ!という表情をして大きい人に歩いていく。
うぅ、私より大きい・・・ちょっと怖い。
でも、ここでこの人を私がやっつけないと、
正吉君や、テツくんや、明日菜ちゃんや、何でここにいるのか不思議だけど知立先生が、きっと酷い目にあわされちゃう。
そんなの、絶対だめだよ!
「その手を離して。私が相手だよ!」
そう言って指さして叫ぶと、ニヤリと笑ったあと、
テツくんを放り投げて拳を構えてきた。
--------絶対に、まけられない!
「何だァ?そいつもツブせ、ヒグマァ!」
なんかアイドルっぽい人が指示を出すと、大きい人が拳を振りかぶりながら突進してきた。
ヒグマっていうんだこの人、迫力も、速度も、凄い。
こちらも負けじとぱんち!
ヒグマさんの拳が私の顔に、私の拳がヒグマさんのお腹に入った。
ううう、痛い、いたいよう・・・
こんなに痛いパンチは初めてだよ・・・
でも、私のパンチも入ったはずなのに、全然効いてない様子。
うぅん、おかしいなぁ・・・。
でも、引くわけにはいかないんだからっ!
お互いに一歩も譲らず、パンチの応酬。
「関東拳!」
頭にパンチをすると、同じように返される。
「関西拳!」
鳩尾にパンチをしても、同じように返される。
ぶって、ぶたれて、何発も何発も打ち合っても、
ヒグマさんはよろめきもしない。
どれも私の必殺のパンチなのに・・・!
「中部拳!」
両腕でガードされて、お返しに、とばかりにキックが飛んでくる
全身が痛くて、悲鳴を上げている。
けど、頑張らなきゃ!
フレーフレー、わたし。がんばれがんばれ、わたし。
少し後ろに下がって距離を取ると、ヒグマさんがこちらに走ってきた。
打撃がダメなら、これならどうかなっ?
右手をくの字にしてヒグマさんの首をひっかける。
「ココロボンバー!!」
綺麗に入ったよ正吉くん!
ヒグマさんは地面に倒れている。青天だぁ!
・・・あれぇ?
技は決まった筈なのに、何でもないように起き上がってくる。
はわわ、この人痛くないのかなぁ・・・私だったら泣いちゃうよぉ
あんまり人に使っちゃだめだよっておじいちゃん・・・お師匠様から言われた技を、
使うしかないかも。
立ち上がってのしのし歩いてくるヒグマさんに、頭からぶつかっていく。
組み付くと、何度も拳が飛んできて、痛い。
でもここで躊躇しちゃダメなんだ!
「ああああああああっ!」
ヒグマさんを逆さに持ち上げて肩にのせて、首を肩にのせる。
股裂きしながら両足を手で持って、跳びながらお尻から着地する。
「ココロバスター!!」
首、背骨、股の3点同時攻撃が、完全に入った手ごたえ!
やったよ正吉君!
立ち上がって正吉君の方を見る
「危ない、こころちゃん!!」
えっ、という声を上げて振り向くと、立ち上がったヒグマさんがいて、目の前が真っ暗になった。
・・・顔を殴られたんだ。
どうして?これだけ技も入ってるのにまだ平気なの?!
ごしごしと目をこすりながら開いた視界には、
何事もなかったかのように立っているヒグマさんがいた。
・・・そんな、ありえないよぉ・・・
「ギャハハハ!俺のヒグマは誰にも負けない!世界で一番強いんだからなぁっ!」
何か・・・何か手はないかなぁ。こんな所で負けられないんだから!
ヒグマさんの攻撃を受けながら、
意識が遠のかないように頑張って踏みとどまりながら、
ぼんやりと、昔の事を思い出していた




