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SIDE隣町:決着

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「げふっ・・・」

鋼の狼、キョウスケの全力の一撃が、俺の鳩尾にねじ込まれている。

胃液を吐きだし、崩れ落ちる。

互いの技を出し切った。

俺もモード麒麟まで全て使い切り、

キョウスケも切り札を切った。

全力だ

全力を出し切って、負けた。

・・・妙なのは、初見の筈の俺の技をすべてキョウスケが、

俺とキョウスケは初めて闘ったはずだというのに----

まるで見たことがあるようにことごとく見切っていたことだが・・・負けは負けだ。

「クソッ、-----俺の負けだ」

そう言いながら、立ち上がる。

「ハァッ・・・ハァッ・・・そこのライフルの女がビルの中にいた雑魚はあらかた掃除した。

もう中には誰も残ってねえ。

外に出てる連中で全部だ・・・あのお団子頭の女のところへ行くんだな」

呼吸を整えつつ、案内してやる、というと怪訝そうな顔をする。

まぁ、そうだよな。倒されたらあっさり掌返して案内するなんて言えばな。


-----クソッ、古谷野・・・あの女の言う通りだった。

こんな所で燻ってないで、さっさとお前に挑めばよかったぜ

こうして全力で殴り合うと、こんな所で意固地になっていた自分がどれだけ馬鹿でしょうもない奴だったのかと感じる。

・・・賢者タイムってやつか、これがな。

「一つだけ教えろキョウスケ。なぜ俺の技を見切れた?」

「・・・お前の使っている技はうちの部長の友人・・・まぁ、俺の先輩の技だからな」



「えっ?」

「えっ?」


俺の間の抜けた声に、キョウスケが驚いて返す。


「あぁ?お前の先輩って・・・ライフゲインの兄貴なのか?」

「ライフゲイン・・・?それは知らないがお前の技は村正先輩の技だろ。

俺もそれを喰らって負けた・・・そもそもなんでお前先輩と同じ技を使ってるんだ?」


------嘘だろ

じゃあ、俺はいったい何のためにこんな所にいたんだよ

自分の馬鹿さに、間抜けさに、惨めさに、情けなくて泣きそうになる。

俺はこんな所でいったい何をやっていたんだ・・・

「ここに捕まえられているのはその村正先輩と仲のいい人だ。今村正先輩もこっちに向かっているはずだ」

村正先輩。それが、ライフゲインの兄貴の名前。俺は助けられたばかりでなく、また迷惑をかけちまっていた。

あの時、デートの間にわざわざ俺を助けに来てくれた時のように。

・・・今度は多羅篠のクズ野郎に兄貴の女が攫われたってのに加担してしまっていた。

俺は最低だ。アホだ。

ゴミだ、どうしようもないカスだ。

-------でもせめて、兄貴のために何かしなきゃ、このままじゃ兄貴に申し訳ねぇ

「・・・自分の頭の悪さが嫌になる・・・クソッ、多羅篠が帰ってくる前に行くぞ!」

全身が痛むが、もうそんな事を言ってる場合じゃない。

キョウスケと金髪の女はそんな俺の様子に驚いていたが、俺に敵意はないというのを察したのだろうか。俺について走り出した。このままエントランスに入ってから階段に移動して一気に駆け上がれば女のところまで一直線だ。


「おいおい、負けたらあっさり裏切るってかぁ、アクセルゥゥゥ」

「何っ----ガッ」


エントランスに入ろうとしたところで、奥から突進してきた巨大な何かのタックルを喰らい、吹き飛ばされる。

俺の少し後ろにいたキョウスケが受け止めてくれたようだが、キョウスケとの戦いのダメージに加えてこのダメージは致命的だ。

--------いつ倒れてもおかしくはない。


「裏切り者はいたぶってからケツの中かき混ぜてやらないとなぁ、エェ?」

姿を現したのは、上半身裸にハーフパンツのスタイル、そして身体に氷のタトゥーを施した色白の巨漢だ。

身長は3m近いだろうか、全身の筋肉量が俺たちとは比べ物にならない。

「俺はシロクマ。多羅篠様の最強の護衛にして完成した人間兵器よ。

お前らまとめて俺の玩具にしてやるぜ」


「・・・俺がお前らに加担したゴミなのは変わらねぇ。

だが、捕らわれてるのが兄貴の女だってわかったからには死んでもこのデカブツを止めてやる!!」

「------共闘、ということでいいんだなアクセル?」

「あぁ。--------どのみち俺はもうすぐダメージ動けなくなる。

それまでに身体ぶつけてでもあいつを倒す!」

そんな俺の答えに、フッとキョウスケが笑った気がした。

「そうか------俺も分の悪い賭けは嫌いじゃない」


・・・・あぁ、やっぱり俺はバカだ。

古谷野が言ったとおりだ。

正面からコイツに挑みに行って、全力でぶつかって。

そうしたらきっと、コイツと好敵手に・・・友になれただろうに。


その後悔はもう、今更してもどうしようもない。

このあとで捕まるのは俺の罰だが、

今は------このデカブツをなんとかしなくては。

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