22.
ほのかが走り去ってから帰宅すると、珍しく親父がいた。
ソフトモヒカンに、眼鏡でスーツ。
どこにでもいそうなサラリーマンだ。
「ふゥン。遅かったじゃないか正吉」
「あぁ、ただいま父さん」
リビングでくつろいでいる父さんに、声をかけると、そうだ正吉、と呼び止められた。
「今しがたほのかちゃんが泣きながら走り去っていかなかったか?何かあったのか」
あぁ、父さんにも聞こえていたのか。
なら隠しても仕方がない、と俺もリビングのソファにこしかけ、
今日までの事を話した。
「驚いたな・・・そんな事になっていたのか。rれれれ冷静になれ正吉。
-----よく頑張ったな」
珍しく父さんに労われた。
「人生は長い。そういう付き合う、別れるという事もある。
・・・俺と藤島の、ほのかちゃんの両親との間の事は子供のお前が気にするな。
何があっても俺はお前の味方だ。お前は俺の息子なんだからな」
「そっか・・・ありがと、父さん」
俺も若い頃は色々あった---幼馴染を寝取られたが、そのお陰で母さんに出会った、と。
幼馴染を寝取られるところまで俺に似るとはな、なんて笑う父さんに、
思わず笑ってしまった。・・・まじかよ初耳だぞ。
幼馴染ってのは寝取られるもんだ、
だが幼馴染でなければ寝取られないから安心だぞ、
母さんもそうだったという親父が冗談めいて言うが微妙に笑えないぞ親父ィ。
「でも今日のほのかの様子はなんか変だった。
・・・あいつ情緒不安定になってるような気がする」
「藤島にはそれとなく、娘の様子をよく見ろと言っておく。
俺から正吉と別れたことも言っておこう・・・だがあいつは娘に甘いのが心配だな」
あまりお前につきまとったりするようなら、
俺が直接藤島に話をしに行く、と言ってくれる父さんが頼もしい。
「立ち上がれ正吉、お前はここで終わるような決闘者ではない!」
「俺は決闘者じゃないぞ」
「おっと、つい若いころの癖がな・・・だがな正吉、お前の踏み記したロード、それが未来となるのだ」
「何を言ってるのかよくわかりませんね」
「ふゥん・・・いずれお前にもわかるときがくる、いずれな」
「厨二病はわかりたくないなぁ」
残念ながら俺は父さんと違って厨二病じゃないんだよね。
でも父さんと話せて少し気が楽になったかな




