20.
今日も変わりなく授業が終わり、放課後どうするかな・・・と考えていたら明日菜に声をかけられた。
「村正ァ!・・・今日は久しぶりに対戦、しない?」
明日菜のそんな提案に、そうだなぁ・・・帰ってもやる事ないしなぁ、とショッピングモールまで足を伸ばすことにした。
少し遠い距離にはゲームセンターがありそこを明日菜は提案してきたが、
そこまで行くのが大変だからショッピングモールでいいだと、と移動する。
ショッピングモールの対戦台でオンライン対戦を小一時間程遊んだだろうか。
今日はこの間程散々な結末じゃないぞ・・・よしよし。
「むむむ、今日はやるな村正ァ!」
「なんか今日は調子いいみたいだわ、やぁってやるぜ!」
そういえばこの間ここにきたばかりなのに、今では随分昔のように感じる。
ここに明日菜と来てほのかの浮気をみかけたのが事の始まりだったんだよなぁ・・・
「はい隙ありー」
しまった、考え事していた隙にフルコンボくらってる。
うおおおおだからジョインジョインバンシィで台バンシィ使うなって--------!
思ったよりガッツリやったなー、と
思う存分対戦をした後、疲れたのでフードコートに移動してジュースを飲んでいた。
そういえばタピオカジュース屋が無くなっているな、この間はあったのに。
・・・このショッピングモールにくるとどうしてもあの時の事が思い浮かんでしまう。
そんな俺の表情に、明日菜が申し訳なさそうな顔をして謝ってきた。
「・・・ごめん村正。なんか逆効果だったみたいで・・・」
明日菜なりの気分転換で誘ってくれたんだろうというのはわかっていた。
「いや、ここにしようっていったのは俺だし、ごめんな。大丈夫、大丈夫」
そんな俺の様子に、本当に?という様子で黙ってじっとこちらを見つめてくる明日菜。
「本当は大丈夫じゃなかったんだと思う。けど明日菜や、テツくんや、村雨や、こころちゃん・・・皆がいてくれて、時々俺を背中を押したりしてくれて、おかげで俺はこうして元気でいられるんだ。だからみんなに感謝してる。だから大丈夫!」
そう言って、んーっ、と背伸びをした後で、息を吐けばスッキリとした気分だ。
すぐに吹っ切るのは無理でも、あとは時間が癒していってくれるだろう
「そっか。良かった」
そう言って笑う明日菜の笑顔に、俺もつられて笑う。
・・・そうだ、確かにほのかに裏切られて哀しい思いもしたし、凹んだけれど、
俺にはこうして愉快な友達がいるんだ。
だから俺は全部を無くしたわけじゃない。
「よし、家まで送るよ明日菜」
「ありありい。あ、ご飯うちで食べてく?今日は兄貴もいたし」
おっとそれは魅力的な提案だな、
明日菜の家のご飯はとっても美味しいし、ついでに兄貴と久しぶりに組手もできるじゃないか
「それじゃ今日はお邪魔させてもらおうかな、サンキュー」
そう言って2人分の荷物を手に、立ち上がる。
ちらり、とラブホテルの方を見たが、
・・・うん、大丈夫だ。
いつまでもほのかにこだわっていても、しょうがないもんない。
「ちゃっかり荷物持ってくれるところポイント高いぞ村正ァ!アスニカポイントあげる」
「久しぶりにもらったなそれ」
そう言って、明日菜と笑いながら帰り道についた。
その日はご飯までの間を久我斗兄貴と組み合って汗だくになり、
明日菜と明日菜のお母さんの用意してくれたご飯をお腹いっぱい食べた。
あまりに汗ずくで汚なかったからか、風呂に入っていきなさい、と
明日菜のお母さんにすすめられたのでお風呂に入ってると明日菜が入ってきたりした。
暫く見つめ合った後、悲鳴をあげて風呂場のドアを閉めていく明日菜と、
「馬鹿兄貴ィィァァァ村正が入ってるじゃないぃぃぃ」「だから入れっていったんだよウボァ」と、明日菜と兄貴の声が聞こえたり。
・・・やっぱり明日菜ってすごい、えちえちだよなぁ。
水着の時もそうだったが不意に目に焼き付いた明日菜の裸に、ドキドキしてしまうのであった。
健全な青少年だからね、仕方ないよね!
そんなこんながありつつ賑やかに過ごした後に、俺は家に帰るのであった。
「-----------しょうちゃん」
そして俺の家の近くの電信柱の影、そいつは立っていた。




