SIDEほのか:囁き
一人ぼっちの帰り道がこんなに長いんだなって、
一人で帰るようになってそう気づいた。
じっと下を向いて、俯いて歩く。
しょうちゃんに別れようと言われて・・・
本当につらかった。
私がしたことでしょうちゃんを傷つけていたんだって今では反省している。
・・・どうしてよしくんの誘いに乗ってしまったんだろう。
よしくんに身体を許すことなんてしなければ、
今でもしょうちゃんの隣にいれたのに・・・
よしくんとの行為はドキドキして、
気持ちよかったけど・・・今振り返れば、それだけだった。
一緒にいて心が落ち着いたり、あたたかなきもちになるのは、しょうちゃんだった。
居なくなって気づいた、私は、バカだ。
お父さんにも、お母さんにも、まだしょうちゃんと別れたことは言ってない
言ったらきっと、どうして別れたかって聞かれちゃう・・・
どうしよう・・・どうしたらしょうちゃんとまた付き合えるのかな・・・
・・・でも最近、しょうちゃんと明日菜ちゃんがなんだか仲が良い。
どうして?私がしょうちゃんの事を好きなの知ってるはずなのに、
なんでしょうちゃんに近づくの?
しょうちゃんも・・・明日菜ちゃんより私の方がかわいいのに、なんで?
それにしょうちゃんに近づこうとすると、
テツくんがじっとこちらを見てくるその眼差しが怖い。
どうして?もう私は反省したのに・・・。
こんなに頑張ってるのに、みんなみんな、私に冷たい。
元に戻りたい。
いつもしょうちゃんが隣にいるころにもどりたい。
よしくんに出会う前に戻りたい。
スマホの音が鳴る。
視れば、また、よしくんからのメッセージだ。
最近はずっと無視している。
ここでまた誘いに乗ったら、しょうちゃんであっても次は許してくれないと、思う
「やぁ、ほのかちゃん」
声に顔を上げると、そこに居たのはよしくんだった。
「全然返事がないから、心配になってきちゃった♪・・・元気ないね、大丈夫?」
そういって、私の様子を心配そうに覗うよしくん・・・実際に会うと、やっぱりカッコいい。でも・・・それだけ、よしくんは、、違う、違う、そう、自分に言い聞かせる。
思わず、ふいっ、と顔をそむけると、よしくんはへぇー、と薄く笑った。
「本当は俺にまた・・・抱かれたくなったんじゃない?」
そう言って笑うよしくんは、いつもと違ってなんだか酷薄に見えて、怖い。
「・・・私、もうよしくんとそういうこと、しないからっ・・・」
嘘だ。本当はよしくんをみただけで、ドキドキする。したい、という気持ちはある。
けど、我慢しなきゃ・・・
「-----そっか。わかった。早く元気になってね。また、何かあったら連絡してよ」
そういってよしくんはあっさりと引き下がると、私に背中を向けた。
あっ、とつい背中に声をかけてしまう。
「あっ、でもほのかちゃん・・・君の大好きな幼馴染のしょうちゃん、
最近お団子頭の女の子とすっごく仲が良いみたいだけど、
喧嘩でもしたの?・・・・もしかして、しょうちゃん寝取られちゃったのかなぁ?」
「ち、違う・・・!しょうちゃんは、私の事を好き、なんだもん!
他の女の子に浮気したりしないんだから!」
「ふーん。・・・これは独り言なんだけど、
俺あのお団子ちゃんちょっと気になってるんだよね。
もしほのかちゃんがしょうちゃんと元鞘に戻りたいときに、
俺がお団子ちゃんと付き合えば・・・そう、協力し合えば・・・
win-winなんじゃないかなぁ?」
「-----かえって!」
そういって声を上げると、肩越しに振り返ってにやっ、と嗤った後で、よしくんは去って行った。
そんはずない。
そんなわけない。
私の方が可愛いんだ!
私の方がしょうちゃんを好きなんだから、
しょうちゃんが他の女の子と、
明日菜ちゃんと付き合うはずなんてないんだ。
今は友達だけど、いずれはまた恋人になって、元通りになるんだから----!
大丈夫、大丈夫・・・。大丈夫。




