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追想4.

母さんが事故で亡くなったのは秋ももう迫る中学三年の夏だった。

花火大会が目前に迫り、毎年そうしているように、

今年もほのかと観に行こうかと話をしていた時だった、。

珍しくかかってきた父さんからの電話に驚き、スマホを取り落とす。

元々仕事で家を空けがちな両親だが、

離れていても家族は繋がっている、という母さんの言葉に、

俺は家族の愛情を感じていた。


まるで眠っているだけのような母さんと、顔を涙でグシャグシャにして泣きはらした父さんと。

葬式にはほのかとその両親もきてくれていた。

なんだか実感がなく、母さんが亡くなったのが嘘みたいに思えて、

呆然としている間に葬式は進み、

あれよあれよといううちに母さんは小さな箱の大きさになってしまった。

父さんは泣き崩れて受け取れず、

俺はそれを代わりに受け取った。

どうすればいいのかな・・・と迷いつつ母さんのお骨を持ち、移動する。

途中で、ほのかのお父さんが、「つらいだろうから預かるよ」

と俺からお骨を預かり、父についていてあげるようにと促す。言葉に甘えて、

「これ・・・母さんです」

とお骨を渡して、父さんに寄り添った。

お骨を受け取るとき、ほのかのお父さんが何とも言えない表情をしていた。


そのまま葬儀はつつがなく終わり、

俺はしばらく学校を休んだ。

父さんだけは、それでも仕事が溜まっているから・・・

と、最低限の休みだけ取って、

仕事へと戻っていった。

俺には母さんがいなくなった悲しみを振り切とうとしているかのようにみえた。

明日菜や久我斗兄貴や、こころちゃん、クラスの皆や、

小学生の時同級生だったギャレンくんやサヨちゃん。

たくさんの友達が心配してきてくれたのでお礼を言った。

そんなある日の夜、遠くで花火があがる音が聞こえ、

縁側に出ると遠くに小さく花火が見えた。

そのまま腰かけつつ、、今日はほのかと約束していた花火大会の日だったんだな・・・と、

ほのかに悪い事をしちゃったな、と申し訳ない気持ちになっていた。

今年は一緒に花火観に行けない、ごめんとだけ返すことが出来て良かった。


「------しょうちゃん」


声をかけられて振り向くと、庭先には今思い浮かべた俺の幼馴染のほのかがいた。

黒い髪を結い上げ、朝顔の柄が可愛らしい浴衣を着た姿で、こちらを優しい目で見ている。

「どうしたんだよ、もう花火はじまっちゃってるぞ。こんな所にいていいのか?」

そう、ぼんやりと呟くと、ほのかはこちらに歩いてきて、俺の隣に腰を下ろした。

「ほのか?」

「・・・私の居場所は、いつもここだから」

そういって、こちらの肩に体重をあずけてくるほのか。

「・・・ありがとう、ほのか」

そう、心からの感謝を伝える。

「ねぇ、しょうちゃん。わたし、これからもずっとしょうちゃんと一緒にいたいな」

ポツリ、と零すほのかのをみると、耳まで真っ赤になっている。

ぎゅ、とこちらの手の上に掌をかさねるほのか。

「・・・俺も。俺も、ずっと一緒がいい。これまでみたいに、これからもずっと、大人になっても、ほのかと一緒にいたい」

精一杯の勇気で、ほのかに応える。

「しょうちゃん・・・」

顔をあげたほのかの潤んだ瞳の真ん中に俺がいる。

「ほのか----------」


遠くに花火の音が聞こえる、

2人だけの時間。

俺とほのかの影がゆっくりと重なる。


はじめてのキスは、少しだけしょっぱくて、リンゴ飴の味がした。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] りんご飴の味…夏祭りは誰と行ってたんですかね。 [一言] 色々スルーし過ぎでは?村正! 正吉君がほのかを見てる様で全く見てない件。 それだけ信頼してたって事なんでしょうけど。
[気になる点] これってアレじゃんね、良い話風に書いてるけど間男との夏祭りデートをこなしてから来たともとれるやつじゃんね。
[気になる点] ネトラレへの憤りや悲しみ、いわゆる脳を破壊されるという状態に至らす為に過去回想してる筈なのに、ネタをブッコミ過ぎて読者をどういう感情に導きたいのか測りかねます
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