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第三十一章 友二の復讐

ある日の昼食時、亮太は泉と職場の食堂で食事していた。

その時、テレビニュースで、京都で若い女性が殺害されたと報道していた。被害者は、浅井紀子さんだと顔写真がテレビで報道された。

亮太は、「あの被害者の女性、泉の友達じゃないか?学生時代、啓子のお見合いに乗り込んでつぶしたあの女性だ。」と泉に確認した。

泉も、「間違いないわ。紀子は京都に引っ越すから大丈夫だと油断していましたが、まさか、友二が犯人なの?」と自分の知り合いが殺害されて犯人に心当たりがあり絶句していた。

亮太が、「啓子の父親は資産家なので、あいつにその事を恨まれて殺されたのかな。だから血を見るから余計さ事をするなと、友二の性格を知った上で忠告しただろう。」と最悪の事態になったと感じて、もっと強く泉を止めるべきだったと後悔していた。

それを聞いた泉は心配になり、「亮太、京都府警で殺人事件を担当している刑事に知り合いがいるのでしょう?関係あるかどうかわかりませんが、耳にいれておいてよ。」と不安そうでした。

亮太は、「そうだな。もし関係あれば、啓子や泉も狙われる可能性があるな。」と泉に被害が及ばないように刑事に伝える事にした。

    **********

亮太は携帯ではなく広美の名刺を確認して、京都府警捜査一課三係に電話した。

「秋山陽子ですが、高木係長をお願いします。」と電話に出た刑事に伝えた。

刑事は、「係長は食事に出ていますが、どういった御用件でしょうか?」と亮太が電話してきた理由を確認した。

亮太は、「テレビニュースで、京都で浅井紀子さんが殺害されたと知りました。もし、その事件を担当しているのであれば、伝えておきたい事がありますので折り返しお電話お願いします。」と伝えて携帯番号を教えて電話を切った。

数分後、広美が食事から戻ってきて、「秋山陽子さんから、事件の事で伝えておきたい事があると電話がありました。」と刑事から聞いた。

広美は、「事件の事だったら、何故あなたが聞かなかったよ。」と不満そうに亮太に電話した。

    **********

広美は、「高木です。事件の事で、お電話頂いたそうですね。事件の事でしたら、私の携帯に連絡頂ければいいですよ。」と何故携帯ではなく三係に電話したのか不思議そうでした。

亮太は、「容疑者を尾行中だったりすると、携帯に連絡すると御迷惑だと思ったものですから。事件の事ですが、今から五年ほど前の事です。私の親友で資産家の娘が、ある男性とお見合いしました。その男性は女癖が悪いと聞いたので、その男性が以前付き合っていた浅井紀子さんは泉の知り合いなので、泉が頼んで、お見合いの席に乗り込んでお見合いをつぶしてもらったのよ。私の親友は資産家の娘なので、その事を恨まれて殺された可能性はないのかしら。」と心配していた。

広美は、「わかりました。明日、後藤という女性刑事に、マンションの防犯カメラの映像を持たせて東京に向かわせます。その男性が防犯カメラに映ってないかご確認願います。ちなみに、その男性の名前を教えて下さい。」とあらゆる可能性を確認しようとしていた。

亮太は、「古田友二です。それでは明日、お待ちしています。」と担当刑事が来るので安心して電話を切った。

    **********

広美から電話の内容を聞いた後藤刑事は、「そうですか。しかし、古田友二という氏名から顔写真を入手すれば、私でも確認可能です。東京まで出張する価値があるのですか?」と不思議そうでした。

広美は、「罪を犯そうとする時は、普通、帽子にサングラス、マスクなどで顔を隠すでしょう?知り合いでしたら、歩行の癖や腕などにホクロや傷などの身体的特徴を知っている可能性があり、個人の特定が可能な事があります。現に、犯行時刻前に顔を隠した怪しい人物がマンションに入って行く様子が確認されていますが、その男性の素性もマンションから出て行く様子も確認できていません。恐らく、返り血を浴びたなどの理由から着替えた可能性があります。被害者の交友関係や、その他の聞き込みでもその人物が特定できず、捜査は行き詰っています。最近のカメラは解像度がいいのでそれを期待しています。タブレットだと、簡単に拡大可能だから。もし、そのような特徴から特定すれば、その特徴を聞いてきて下さい。もし殺人犯がその古田友二でしたら、交友関係から名前が浮かんでこないのは当然です。」と指示した。

後藤刑事は、「東京に出張する刑事は、何故私なのですか?」と人選について確認した。

広美は、「最悪護衛の必要があれば、護衛するのは女性なので、女子トイレなどにも入れる女性刑事が都合いいのよ。被害者は、腕や足や腹部など、数か所刺し傷がありました。拷問された可能性があります。泉さんが、お見合いの一件に関係している事を聞き出した可能性は否定できません。」と後藤刑事を指名した理由を説明した。

    **********

マンションに戻った亮太は、泉に事情を説明して、「泉、明日京都の刑事が殺害現場のマンションの防犯カメラの映像を持って東京にくる。泉も一緒に古田友二が映ってないか確認して。」と依頼した。

泉は、「私はただの同級生よ。古田友二は亮太の悪友でしょう?バイクでよく走っていたじゃないの。私を巻き込まないでよ。」と逃げ腰でした。

亮太は、「俺は死んだ事になっている。泉が紀子に、お見合いの席に乗り込むように依頼した時から、もう巻き込まれているよ。泉が襲われる可能性は否定できない。刑事と一緒のほうが安全だよ。武器も持っているだろうしね。それに、女は細かい事によく気が付くから頼むよ。」と泉を守る為に、泉を一人にさせたくない様子でした。

泉は、「私が紀子にあんな事を頼まなければ紀子も殺されずに済んだのね。」と責任を感じている様子でした。

亮太は、「まだ、そうだと決まってない。だから、それをはっきりさせたい。もし、そうであれば、紀子さんの口から泉や啓子の母の事を聞いた可能性があり、二人とも危険だ。」と泉を守ろうとしていた。

    **********

翌日後藤刑事が東京駅に到着すると、予め連絡を受けていた亮太と泉が迎えに来ていた。

亮太は、泉を古田友二と酒井紀子の同級生で、お見合いをつぶすように紀子に頼んだのは泉だと紹介して、防犯カメラの映像なので喫茶店ではなく、秋山邸に後藤刑事を連れてきた。

応接室で防犯カメラの映像を確認していると、泉が古田友二に気付いた。

泉は、「後藤刑事、この男性の右手を拡大できませんか。」と依頼した。

泉は、拡大された映像を見て、「この男性の右手の痣、古田友二と同じです。身長、体格、歩き方も似ています。断言できませんが、この男性が古田友二の可能性が高いです。」と告げた。

    **********

後藤刑事は、古田友二がマンションから出て行く様子が確認されてないと告げて、泉が確認すると、泉が古田友二を発見した。

後藤刑事は、泉から詳しい話を聞いて、広美に電話した。

「古田友二の同級生の泉さんが、死亡推定時刻直前に、マンションに入り、死亡推定時刻直後に、マンションから出て行く、古田友二らしき人物を発見しました。」と報告した。

広美は、「古田友二がマンションから出て行く様子を、何故、今まで発見できなかったの?」と不愉快そうでした。

後藤刑事は、「殺害時、返り血を浴びたようで着替えていました。女性物の服でしたので気付きませんでした。まさか古田友二がスカート履いているとは夢にも思いませんでした。泉さんが被害者の服を着ている古田友二を特徴から発見しました。その服のシミは、泉さんがつけた為、はっきりと覚えていました。被害者の服に間違いないと証言しました。被害者は、この時間には既に殺害されていて、体格からも、被害者ではなく殺人犯の可能性が高いです。」と報告した。

広美は、「了解しました。古田友二もスカートを履いて逃亡するとは考えたわね。啓子さんの母親と泉さんには、護衛をつけるように地元警察に依頼します。護衛が到着するまで、そのまま泉さんの護衛をして下さい。」と指示した。

    **********

泉がデパートに買い物に出かけたので、亮太と後藤刑事も同行した。

亮太は店内で古田友二に気付いて、後藤刑事と泉を店内にある鏡の前に誘導した。

亮太は、「後藤刑事、泉、振り向かずに鏡で後ろの電気製品売り場を見て下さい。」と古田友二が、マンションの防犯カメラに映った時と同じ帽子とサングラスで顔を隠している事を伝えた。

後藤刑事は携帯で広美に、銀座のデパートで、古田友二らしき人物を発見した事を伝えた。

広美から知らせを聞いた、地元警察が到着した。

京都で発生した事件なので、担当者がいなくて、制服警官に急行させた。

制服警官に気付いた古田友二は、泉を襲って逃亡しようとした。

古田友二らしき人物が、刃物を持って泉に急接近してきた。

後藤刑事が気付いて、警棒で刃物を叩き落として阻止した。

警察官が護衛していると直感して、近くに陳列していた商品を後藤刑事に投げて、近くにいた子どもを、駆け付けた制服警察官のほうへ突き飛ばして、警察官が子どもを救出している間に逃亡した。

子どもは軽傷で、泉も無事でしたがマスコミは、私服警官ではなく制服警官に急行させた為に犯人に気付かれて、けが人まで出したのは警察の大失態だとして報道した。

大恥かいた警視庁は、これ以上の失態は許されないとして、捜査一課の優秀な女性刑事に泉の護衛を担当させた。

    **********

後藤刑事は広美の指示で、護衛を警視庁の女性刑事と交代して、後藤刑事が叩き落とした、古田友二が所持していたナイフを持って、DNA鑑定の為京都にもどった。

後藤刑事が叩き落とした刃物から酒井紀子さんのDNAが検出され、形状からも酒井紀子さん殺害の凶器だと断定され、犯行は古田友二の犯行だと断定して全国に指名手配して古田友二の行方を追った。

友二は、泉が警察に護衛されていると知り、自分の事が警察にばれたと判断して、しばらく大人しく隠れていた。


次回投稿予定日は、7月4日を予定しています。

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