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第三十章 スポーツ詐欺

ある日、亮太に啓子から着信があった。

亮太は、「啓子、どうしたのだ?何かあったのか?」と突然啓子から着信があったので、何かあったのかと心配していた。

啓子は、「陽子さん、父がプロのバスケットチームを三億で買い取ったら詐欺だったらしく、お金を振り込んだら、選手や監督、マネージャーなどのスタッフが、全員姿を消して携帯も繋がらないのよ。マンションも引き払われていて連絡が取れないのよ。それ以来、両親の仲が悪く、夫婦喧嘩が多くなり、家の中が暗い雰囲気なのよ。陽子さん、色々と事件に首を突っ込んで解決しているそうじゃないの。その詐欺グループを捕まえてよ。」と相談した。

亮太は、「それは無理よ。私の場合は、犯罪者が逃げる前に捕まえているのよ。もう逃げて、連絡が取れないのでしょう?どこにいるのかわからなければ捕まえようがないわよ。日本全国にネットワークを持つ警察に任せるしかないわね。」と断った。

啓子は、「そうなの?私、もう耐えられないわ。家を出て一人住まいするわ。」と詐欺師を捕まえるのは諦めた様子でした。

亮太は、「早まるな!啓子が家をでれば、両親は益々不仲になり離婚すればどうするんだよ。啓子の結婚にもひびくぞ。啓子がいるから離婚は思いとどまっているのだろう?」と説得した。

啓子は、「何故、私が犠牲にならなければいけないのよ。」と不愉快そうでした。

亮太は、「啓子の両親の事だろう。他人じゃないんだから、犠牲じゃなく親孝行だと考えろよ。泉やあかりにも相談するからもう少し我慢しろ。今度一度皆で会おう。」と相談に乗る約束をした。

    **********

翌日会社で亮太から話を聞いたあかりは、「私の父にも、卓球チーム買い取りの商談があったそうなのよ。父の話では、本当にプロなのかな?と疑問を抱くチームらしいけれども、鋭いスマッシュなどもきめているらしいのよ。プロの卓球チームだなんて聞いた事ないし、不安で、マネージャーの口がうまくて誤魔化されているような気がすると悩んでいたわ。啓子の話を聞くと心配だわ。陽子さん、オリンピック柔道の松木翔子選手のコーチでしょう?オリンピック選手村で卓球選手と交流などなかったの?卓球選手にそのチームを見てもらえないかしら。」と啓子の事を相談していたのに逆に相談された。

亮太は、「わかったわ。ひょっとすれば啓子の父親を騙した詐欺集団かもしれないわね。翔子に聞いてみるわ。」とあかりの父が詐欺被害に遭わないように協力しようとした。

数日後、亮太はあかりに、「翔子に聞くと、オリンピック卓球選手と選手村で知り合いになったそうだ。取り敢えず、そのチームが卓球している様子を動画撮影できないか?翔子を通じてオリンピック卓球選手に見て貰うよ。」と連絡した。

あかりは父に電話した。

「お父さん、卓球チームを買い取るのは待って。そのチームが卓球している様子を動画撮影できないかしら。」と父が啓子の父のように詐欺に遭わないように協力しようとしていた。

「そんな動画をどうするのだ?誰に見せるのだ?先日も卓球に詳しい知人に来てもらったが、マネージャーに丸めこまれた。」とあかりが何を考えているのか知りたそうでした。

あかりは、「私の知り合いがオリンピック卓球選手と知り合いなのよ。オリンピック卓球選手にみてもらうわ。」と説明した。

あかりの父は、「本当か?是非頼むよ。」と卓球チームに不信感を抱いていたので乗り気でした。

    **********

数日後、あかりから卓球チームの動画を受け取った亮太は、翔子に動画を渡して、「オリンピック卓球選手に見て貰い、参考意見を聞かせてくれ。」と依頼した。

数日後、翔子が、「卓球チームの動画の件ですが、確かに鋭いスマッシュなど決めていますが、スマッシュしやすいように返球しているそうよ。あれだったら誰だって鋭いスマッシュが可能だそうよ。腕前はプロどころか、小学生レベルのど素人らしいわよ。」と亮太に告げた。

亮太は慌ててあかりに電話して、翔子から聞いた事を説明して、卓球チームを買い取るのは辞めるように伝えた。

翌日あかりから電話があり、「マネージャーの口がうまくて、断れないどころか買い取らされそうなのよ。オリンピック卓球選手がど素人だと言っていると説得しても、オリンピック選手は練習で忙しく、そんな動画を見る時間はないだろう!誰だ!ここに連れてこい!名誉棄損で訴えてやると強気なのよ。陽子さん、一緒に卓球チームと会って。」と助けを求めた。

    **********

亮太は、「わかった。スケットを連れて行くよ。」とあかりを安心させた。

亮太は翔子に電話で事情を説明してオリンピック卓球選手に同行を求めた。

翔子は、「卓球選手も、卓球で詐欺だなんて冗談じゃないわ。と怒って、警察に通報していたわ。選手と警察に同行を求め、選手が正体を暴いたら、その場で逮捕してもらうわ。」と卓球選手に連絡していた。

亮太は卓球選手のスケジュールを、翔子を通じて確認して、あかりに電話して日程調整した。

警察では、先日もプロバスケットチーム買い取り詐欺があり警戒していた。今回、卓球チーム買い取り詐欺の疑いのあるチームがあり、その腕前をオリンピック卓球選手が見極めるとの事でしたので、刑事達が警官隊を引き連れて出動した。

当日卓球選手が見学に行くと、練習を中止にしてチーム買い取りの交渉だけにする可能性があり、警察の依頼で卓球選手は、帽子とサングラスとマスクで顔を隠して卓球チームの見学に行った。

あかりの父が卓球チームのマネージャーとチーム買い取りの商談をしていると卓球選手が、「この卓球チームのどこがプロなのよ。先程から見ていましたが、全くのど素人じゃないの。」と口を挟んだ。

マネージャーは、「先日からいちゃもんつけているのはお前か!選手の鋭いスマッシュを見ただろう!今日は弁護士も連れてきている。お前を名誉棄損罪で告訴する!」と卓球選手に向かってきた。

卓球選手は、「プロだというのだったら、私と試合しましょう。私に勝てたらプロだと認めるわ。」と挑戦した。

その結果、卓球チームの誰もが翔子が連れて来た卓球選手に、自慢の鋭いスマッシュも簡単に打ち返されて、手も足もでませんでした。

卓球チームのマネージャーは、「これはいかさまだ!俺達が勝てないように、ラケットか卓球台に何か仕掛けしただろう!私達は、あの有名なオリンピック卓球選手の鶴田志穂選手も認める卓球チームだぞ!」と焦っている様子でした。

卓球選手は、「こんなチーム、私は認めてないわよ。」と帽子とサングラスとマスクを外し、「人の名前を勝手に使わないで!」と睨んだ。

マネージャーは、「あっ!鶴田志穂選手!オリンピック卓球選手に動画を見て貰ったのは本当だったのか!」と卓球の件で交渉しても勝てる相手ではないと諦めた様子でした。

    **********

卓球チームの選手が、「私達はちゃんと修業してスマッシュ・・・」と言い訳しているとマネージャーが、「相手が悪い。鶴田志穂選手に一夜漬けのスマッシュは通用しない。現に、お前の自慢のスマッシュも、鶴田志穂選手に全て簡単に打ち返されたじゃないか。その他のはったりも通用しない。卓球で勝てる相手じゃない。」と諦めた様子でした。

一緒にきていた刑事達が、「はったりだと認めるのですね。鶴田選手、彼らはプロではないのですね。」と警察手帳を提示して確認した。

志穂は、「今の私との試合を見てもわかるでしょう?私から一点も取れなかったでしょう?プロどころかまったくのど素人です。卓球で詐欺だなんて許せないわ。必要でしたら裁判でも証言します!」と怒っている様子でした。

刑事は外で待機していた警官隊に合図して、卓球チームは全員連行された。

その後、あかりと父親は亮太に鶴田選手を紹介してもらい御礼していた。

「さすが、オリンピック金メダリストですね。詐欺を見破って頂いてありがとうござました。」と詐欺被害に遭わずに感謝している様子でした。

志穂は、「卓球を犯罪の道具にしようとしている人達がいると聞いて、許せなかったので協力させて頂きました。」と健全なスポーツ、卓球を汚されて立腹している様子でした。

    **********

翌日亮太は啓子に電話して、「啓子の父親を騙した詐欺集団をつかまえたかもしれない。警察が逮捕したので問い合わせて。」と連絡した。

啓子は、「無理だと言いながら、詐欺集団を捜してくれていたのね。ありがとう。さっそく父に伝えて確認してもらうわ。」とやはり陽子さんは頼りになると感謝している様子でした。

その結果、啓子の父を騙した詐欺集団だと判明した。

数日後、亮太は啓子に電話して、詐欺集団の事を聞いて安心していた。

「啓子、これで両親の仲も元に戻っただろう。よかったな。もう家を出るとか言わないよな。」と安心していた。

啓子は、「そうでもないわよ。」としょんぼりしている様子でした。

亮太は、「何故だ?」とその理由が理解できない様子でした。

啓子は、「確かに詐欺集団は逮捕されたけれども、お金は全額戻ってこないようなのよ。警察が詐欺集団の資産をすぐに凍結したけれども、詐欺に使う道具などを購入していて結構使ってしまっているようなのよ。」と説明した。

亮太は、「そうか。時間が解決してくれるまで待つしかないわね。啓子が両親の潤滑油になれば、離婚せずに何とか乗り越えられると信じているよ。」と啓子を励ました。


次回投稿予定日は、7月1日を予定しています。

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