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同居人の神様と妖精  作者: あるみす
2/2

仲直り

2話

  いきなり神様に命を狙われてる宣言された私は生唾を飲み込みながらルウさんやチトさんのお話を待った。


「神様…ってのはチトさん達の事なの?」

「んー難しい……。ねぇ、ルウ?どう説明したらいいの?」

「チト様…まぁ、説明しづらさも分からないでもないですが…。心奈さん、今から言うのは紛れもない事実ですので心して聞いてくださいね?」


  ルウさんは私の手のひらにちょこんと降り立つと真剣な面持ちで話し始めた。


「以前心奈さんが事故に合われたことがあったと思います。」

「うん、ルウさん達が助けてくれたって言ってたやつだよね?」

「はい。実はあの事故、神様によって引き起こされた『あらかじめ決められた事故』だったんです」


  私が全く分からないという顔をして小首を傾げると、ルウさんは分かりやすく噛み砕いてくれる。


「つまり、心奈さんは神様によって勝手に決められた所謂『死亡リスト』に名前が書き加えられてしまった為にあの事故が引き起こったんですよ」

「ちょ、ちょっと待って!神様ってルウさん達とはまた違う神様ってこと?と言うかなんで私そんなリストに名前書かれちゃってるの!?」


「心奈が命を狙われてるのは妾達とはまた違う派閥の神様なの。妾達のお母さんは神楽って神様」

「じゃ、じゃあチトさん達はいい神様って事だよね?なんでそんなに辛そうな顔をしてるの?」


  チトさんやルウさんは見るからに辛そうな表情をしていて、こっちまで心苦しくなってくる。


「心奈をよく思ってないのは戦争派の神。未来の地球で戦争を起こすために邪魔な存在だった心奈を殺しちゃおうって思ってる神様も一定数いるの」

「……なんでそんな大層な物に巻き込まれてるのかな…私」


  今まで普通な人生を送っていた私が急にそんな大きな争いに巻き込まれたこと自体不思議で仕方ない。


「それは、心奈さんが優しすぎたからです!」

「……へ?」

「心奈さんはあったばかりの私達に良くしてくれた所か同居まであっさり受け入れてくれちゃいましたし…。普通なら断られてもおかしくないんですよ!いえ、寧ろ突き放す方が正しいんです!」

「ルウさん…?」

「で、でも…心奈さんの心…温かいんです。いつまでも一緒に居たくなるような不思議な温かさを感じるんです」


  ルウさんは思わず金色の目をうるうると潤ませながら、素直な気持ちを話してくれる。


「私は心奈さんが好きです。まだ会って間もないですけど…。心奈さんと一緒に居たいんです!」

「私も…一緒に居たいんだよ?」

「でも…、でも!私達がスパイだとしても同じことが言えますか!?」


  そこでルウさんの涙腺は決壊し、大粒の涙が落ちていく。


「スパイ?……どういう事なの?」

「わたっ、私達はっ…敵対する神に弱みを握られて心奈さんのスパイをさせられてたんです」

「ルウさん…」

「それが…騙してたって事なのね…?」

「はい…本当にごめんなさい…」

「妾からも……謝ります。」


  チトさんとルウさんは頭を小さく下げて、嗚咽を小さく漏らしながら謝ってくれた。


「……二人共、大丈夫。私はなんとも思って無いよ?」

「なんで…許せるんですか?心奈さんの優しい心につけ込んで騙してたんですよ?」

「んー、確かに命を狙われるのは怖いし、まだ死にたく無いけど、それ以上に二人が好きだからかな?」


  私の本心はいつだって変わらない。

  信じたいと思った人を信じて、人の事を許せる人になりたいの。おじいちゃんとの約束だもん。


「私は二人がそんなに悪い人だとは思えないよ。それに、自分からスパイだって教えてくれたしね、だから怒ってないよ?」

「うっ……えぐっ…心奈…さん…ありがとうございます…」

「もう、泣かないの!打ち明けてくれてありがとね?」


  ルウさんを手のひらに乗せ、涙を指先で拭ってあげてふわふわの髪の毛を優しく撫でてあげる。

  チトさんも見るとうずうずしたような表情でこちらをみていた。


「チトさんもおいで?」

「!!」


  チトさんはまるで子猫のように体をすり寄せてくる。絹のように透き通って輝く髪の毛が実に気持ちがいい。それに、高い体温もほっと落ち着く心地良さだ。チトさんも尻尾を嬉しそうにゆらゆらと振っている。


「心奈、妾達一つ決めたことがあるの」

「ん?どうしたの?」

「もし、心奈が許してくれるなら…今度こそ心奈の命を守る為に一緒に居させて欲しいの!」


  私は考えるまでもなくぎゅっと抱きしめて即答した。


「私も、二人と離れ離れは嫌だな…。自分の身の安全とかよりも二人と一緒に居たい」

「っ!!心奈っ!ありがとっ!」


「心奈さん、そうとなれば私たちも全力で心奈さんをお守りしますね!神楽様もそれで許して下さりましたし、今後とも改めてよろしくお願いします」

「うん、こっちこそよろしくね!」




  電車の中で泣きながら抱きしめあってる私達。人がいないことが幸いだったよ。

  でも、より一層私たちの間は縮まったと思う。少し不安もあるけど、今後の生活が私は楽しみで仕方なかった。




よろしくお願いします

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