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最強は一度目に

ベランダから落とされ、それを追って飛んできたクノという展開を面白がり、野次馬が集まってきた。


「おいお前、ばらしたらほんとに首をきるぞ」


殺意のある小声、かつ、涙目で目の前の男装した女が言ってきた。


「も、、もちろん。その代わり俺のことも手伝ってくれないか?」


俺のことを唯一知ってるやつとして、女であれ友達ポジションは必要だ。


「手伝う?いったい何をだ」


「さっきいったとおりこの世界のことがわからないんだ」


そんなことを言っているとさらに人が集まってきた。


ガヤガヤ


するとクノが俺の首根っこを掴んだ。


「ちっ、場所を変えるぞ」


シュンッ


そういうとまた一瞬で視界が変わり、屋上にいた。

首にジーがかかる。


「いぎぃ!?いててて、はなしてぇぇ」


ドサッ


「で?何を聞きたいニセシン」


「ニセシンだともろばれるから、一応シンじゃだめかな…?」


そこから俺は俺の身に起こったことを話した。


「するとお前は二回死んでるのか。すごい能力だな。」


「はは…まぁもうこの世界では死ねないらしいんだけどね…。あ!そういやさ、クノもすごいよな!?あれもなんかの能力なのか?」


並外れた身体能力。この世界の違和感。なにせあの天使には必ずバグがある。もしかすると…


「シンの顔にいちいち説明するのが気持ち悪いな。俺は忍者だ」


忍者!?クノが忍者!?はっ!!!まさか!?だからそんな名前なのか!?

クノハジメ!

くノ一!!

なぜ気がつかなかった俺!


「クノが忍者なら俺はなんだったんだ!?」


「お前の能力はテイマーだ」


「て、テイマー?」


「そうだ。モンスターを手なずけていた」


「モンスターを手なずけ…えっと、そもそもこの世界にモンスターはいるの?」


「何馬鹿なことを言っている。この街の外は魔王軍の配下がずらりだろ」


「なにいいいいいいい!?!?」


その話を聞き、取り乱す俺。やっぱりだクソ!

ギャルゲーの学園ものにそんなバトルジャンルいらねーんだよ!アホ天使めぇ!


「やだやだやだやだ死にたくないぃぃ!!!」


クノにすがりつく。


ボゴォッ


「離れろ変態!!」


赤面しながらクノは俺の腹に一発くらわした。


「ご、ごめん…ぐふ」


「死にたくないなら街の外に行ってモンスターでも手なずけとけ」


「や、やり方をおしえてもらえると…」


「そんなの忍者の俺が知るはずないだろ。知ってる情報としては、紋章が契約の証なのと、その契約は出会って体が触れていれば血の契約だかなんだかで呼び出せるとかなんとか」


「結局どうやればいいんだぁぁ」



するといきなり天候が悪くなり、雷鳴が轟きはじめた。

しばらくすると遠くの方で謎の光が見えた。


ズガガァァァンンン!!


光の後には凄まじい音がした。驚く俺とクノ。この世界の住人でもなにやらこれは異常事態らしい。

それと同時に勢いよく屋上のドアが開いた。


「ここだよねぇ!?はじめちゃぁん!」


そこにいたのは鈴音すずおとだった。

おお、俺のヒロインが俺を探しに。。いや違う。


「はじめちゃん??」


「うるさい!コノハ!ちゃんはやめろ!」


「な、なぁこの鈴音すずおとコノハも何かの能力者なのか?」


小声で聞くと小声で教えてくれるクノ。


「やつは柔拳の使い手。俺の気をおってきたんだろ。それはそうと…


なんだコノハ!!なにがあった!?」


「えっとねえっとね!今シズクちゃんは街の外にいるみたいなんだけど、同じ場所に凶悪な気を感じるんだよぉ!」


「なにぃ!?」


「モンスターじゃないよぉこれ!多分魔王軍の幹部だよぉ」


「くっ…!待ってろシズク!」


シュンッ


目の前でクノが消え去った。

呆然としてる俺に鈴音が声をかける。


「アーくんも!いったほうがいいとおもうな!」


そ、そういうイベントなのか?これ???

でもどうやって…


「こ、このは!行き方がわからない!」


「そうなの?、じゃあつれてってあげる!痛くないから安心してね!」


そういうと俺の胸に手をあてる鈴音。

女の子に触られている!?


ドクンドクン


心臓が脈打つ。なんだろう?この音をコノハはきいてるんだろうか?気の変化とかわかるんだろうか。ならば、今俺がコノハに対している感情がバレている気がする。

でもそれでもいい。わかってもらえたほうが告白しなくてすむし。ああ、そうだよコノハ!俺は!


「えいっ」


ドヒューーーーーーーーーーーーー


コノハが俺に胸をあてた状態で足をドンと踏むと俺の体は物凄い勢いで飛んでいた。


「え??ええええええ??????」


しばらく飛んでいると何やらバリバリ戦っているところへめがけ、飛んでいるのがわかった。

そしてそこにはクノとシズクという子がいた。


「クノォォオ!!キャッチしてくれーーー!!しぬぅぅぅ!!」


ボン!


目の前に鬼が現れ、俺を掴んだ。


「ひぃぃぃ!!??食われるぅぅ」


「落ち着いてアスト。それ私の式神っ」


とても凛とした声、声だけで美少女とわかる。

声の主はシズクだった。

それにしても式神?シズクはそういう設定なのか!

しかしでかい鬼だ。これを従えられるなんてシズクはクノ以上に強いのでは…。

そう思っていた瞬間。


ドガガァァォ!!


でかい鬼は腹にどでかい穴をあけられ、倒れた。そして紙に戻った。


「グヘェ、いたたたた。。」


「くっ、まずいな…シズク。なにか策はあるか」


「ごめんねハジメ…巻き込んじゃって…」


「シズクが街を飛び出したのも全部お前のせいだからなシン!この状況お前がなんとかしろよな。ったく」


そうつっかかるクノ。その目線の先には、禍々しい鎧を着た、いかにも強そうなやつと後ろには千を超えるドクロの騎士たちがいた。絶対モブの騎士だと確信できるが一番前のボスっぽいやつはやばそうだ。

そしてそのボスらしきやつが口を開いた。


「またもやちょうどいい獲物が1人きたナ。いつも街は結界に守られてる。貴様らを人質にとれば、この街を滅ぼせそうだナ。だがそれも1人で十分だクックック」


どうしよう。周りを見回すとクレーターだらけだ。なんか勝てそうな気配もない。死んだら終わる。逃げたい。


「おい天使ぃぃぃ!!」


ポンッ


しかし天使はそこにはいない。あるのは謎の手紙。開くと

今魔力がきれてるから休ませろ。

と書いてあった。

ふざけんなよ!!今しにそうなんだぞこのやろぉぉぉ!


すると強そうなやつが左手を掲げた。

その掌の上に紫色の炎のようなものが現れ、ぐんぐんでかくなっていく。なんか大技っぽい。

2人ぐらいは殺そうってことかよ。やばい。


「おいクノ!どうにかなんねーかよ!お前強いんだろ!?」


「ああ、俺とシズクはA組だ。モンスターなどには負けやしない…だが、相手が魔王軍幹部クラスでは時間稼ぎしか…。お手上げだ。」


震えるクノ。そして意を決したようにシズクに顔を向けた。


「全身全霊のチャクラをもってあの技を少しでも食い止める。その間にシズクだけでも逃げてくれ」


「だめだよハジメ!ハジメを置いて逃げるなんてできないよ」


「いいからっ!」


な、なんかめちゃくちゃ佳境なのに蚊帳の外な俺。

現実世界でもゲームでも俺はやはりだめなのか?

なんでこうなる?俺にできることはなんだ?無価値でいいのか?そんなはずはないだろッッ



パァァァ…


自分への怒りで震える手をみると、手の甲に謎の紋章がうかびあがった。


「おいシン!それは召喚士の紋章だ!お前が出会って体が触れてさえいれば!誰か寄せられるかもしれない!はっ、そうだ


先生をよべ!」


え?担任の先生?そんなに強いの??


「担任なんだから触れているだろ!?」


たしかに握手はした。あれ?まって、つまりさっきコノハにも触れられたからコノハも呼べるのか?


そんなことを考えていると敵の幹部が紫色の球体を打ち込んできた。


「詠唱に時間がかかるのがたまにきずだが、チリ一つのこさん。死ねええええええ!」


「はやく先生を!!!!」


いや、違う。先生じゃない。コノハでもない。俺が会った中でもっとも強いやつ。俺が身をもって知ったやつが1人いた。


そう


その名は


「でてこおおおおおい!!ゾンビィィィィ!!!」


ピカーーーーーーーー


手の甲に光りが集まる


ドガガァァーーーーーーーー!!!!!


それは、クノとシズクと俺の目の前に現れた。


煙が晴れると、立っている


ゾンビ。


「なにぃ!?我が最強の技をうけとめた!?!?」


「カユ…」


ぽりぽりとかいている。とてもかゆそうだ。


次の瞬間!ゾンビは幹部の懐にはいりこんだ。


シュバババババ!!!!


ゾンビが高速で手を動かしたが残像しかみえない。

それは魔王軍幹部もおなじようだった。


「き、貴様…今なにかしたナ!?」


バタバタバタバタバタバタ!!


後ろに控えていた千の兵士たちが倒れていく。


「いったいなにをしたあぁぁぁ…ぉおおお????」


ゾンビに攻撃しようとした幹部は動きを止め、メキメキ音を立てながらまるくなっていった。


「ぎゃぁぁぁぁ…ガッ…」


バキバキべキッ


「お、おいシン、なんなんだこいつは…」


「うそでしょ…すごすぎ…」


クノもシズクもあんぐりしている。そりゃそうだ強いに決まっている。なにせこいつはおそらく。




「マタオレ…ナンカヤッチャイマシタ…?」




俺をかつて殺した。


オレツエーーーーできる最強のゾンビなのだから。

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