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バグってるせいか、だれがどれでなにで親友はいずこ

ちくたくちくたく


久々の授業。退屈すぎる。そして全然わからん。

やっぱり勉学なんてその場限りの付け焼き刃ということだ。

あれからなんとなく授業を受け。なんの進展もない。

おかしい。なにかが起きるはずなんだ。

勝手に持っていたカバンの中にはなぜか筆記用具と教科書とお弁当があった。

一体この筆記用具は誰が用意したのか、弁当は誰が作ったのか、この世界の俺の母親はどうなっているのか。

謎すぎる。


キーンコーンカーンコーン


昼休みを知らせるベルが鳴る。

みんなはお弁当を持ってきているようだ。



ぐーーーーーー


腹の音も鳴る。


ぐーーーーーー


2回目の腹の音が鳴る。

横を見ると、顔も真っ赤にしているボクっ娘がいた。


「あれ?お弁当は??」


「うーー。忘れたぁ。」


目をウルウルさせながらこちらを見ている。

こ、これはまさか!そういうイベントか!?


「もしよかったら、俺の弁当買うか?」


「え!?いいのぉ!?」


勢いよく俺の弁当を取り、ばくばく食べ始めた。


「うんうんおいひ〜!」


ほっぺに米粒をつけながら食べている。

逆に難しいだろ。やるな、もしやわざとか。


「ありがとぉ!命の恩人ー!朝トースト食べられなくて困ってたんだぁ!」


「お、おう。」


「あ!安心してね!ちゃんと半分こするからぁ。はむはむ。」



はんぶんこずつ食べるなんて、現実世界の俺じゃ考えられない!

なんかイチャイチャできている!

とかなんとか思っていたが冷静に考えると…


ん??


こ、これは!

人生初の間接…!?!?

いいのか!?


これは異世界。悪いはずがない。

ありがとう天使よ。うん、お前はもう天使として一人前でいいんじゃないかな。


ニヤニヤしながら女の子の方を見る。

そういえば鈴音すずおとという苗字は知っているが名前を知らない。


「あ、あのさ。鈴音すずおとって名前なんていうんだ?」


「ボク?ボクは木葉このはだよ!」


「あ、そう?じゃ、じゃあ、コノハっていっても良い…?」


これは現実じゃない!グイグイいけ!と心がいう。

名前を言うだけなのに耐性がなさすぎてめちゃくちゃ緊張する。


目の前のボクっ娘は米粒をつけながらキョトンとしている。グイグイいきすぎたのか?選択肢を見誤ったか!?


するとニコッと笑い返してくれた。


「じゃあ、ボクは君のことをなんて言えばいい?」


普通ならシンと呼んでくれというところだがガンガンいこうぜ!だ。


「あ、あ、アストっ…ぉ」


「アーアーアストォ?変な名前だね!」


萌えキャラか俺は。

うまく言葉にならず、ただただキモい自分。転生してもこれかい。しかしこのやり取り全てがムズムズする。


「ん〜長いからさぁ。あーくんっていうねっ」



アーーーーーッくんっ!!!

衝撃だった。

未だかつて女の子に愛称でよばれたことなどあっただろうかイヤナイ!

きっとこれから女の子がたくさんでるんだろうが、もう君に決めたコノハ!


「おう、あーくんでいいぜ。こ、コノハ!」


「うん、あーくん!ご飯のお礼にボクが君の友達になってあげるよ!ね!あーくん!」


なんだなんだあーくんといわれるたびに高鳴る心臓を知ってそんなに連呼するのか?

友達を恋人にするのが待ち遠しいぜ!


と、決意を決めた瞬間、ドアが開き大声が響き渡った。


「あーーーーーー!!」


そう俺はアー君。。。ん?いや誰だこの声。


ドアに立っていたのは、中性的で背の低い男がたっていた。

そいつはズカズカと教室に入り目の前までやってきた。


「シン!お前さいてーだな!!」



え?

だ、誰だこいつは…なぜ最低といわれなきゃならないんだ??一応返してみよう。


「な、何がだよ??」


「お前さ、シズクの気持ちぐらいわかってんだろ!?」


本当に誰だ!?説明書があるなら俺に誰か教えてほしい!

とにかく情報をあつめるぞ!


「そ、それぐらいお前にいわれなくてもわかってるよ!」


全然わからんたのむ教えてくれ。


すると何かが落ちる音がした。


ガシャーー…コロコロ…


音の方を向くと、大人しそうな女の子が涙を浮かべながらたっている。その足元にはお弁当が見るも無残な姿で落ちていた。野菜が転がっている。


「アスト?な、なんで…私の、、お弁当。」


それだけ言い残して走って出て行く女の子。

「あ!シズク!はぁーーー、シン!お前まじでおぼえてろよ」


そう言い放った中性男はおそらくシズクという涙目な女の子を追って走っていった。

この状況、なんか読めた気がする。おそらく横でもさもさ食われているこの弁当は涙目の女の子が俺に作ってくれたものであろう。


そう考えていると周りの連中が小声でなにかいいだした。


「よりによって鈴音すずおととな。」


クスクス


「安倍さん可愛そう」


クスクス


「あいつたしかあれだろ?A組の安倍さんの…」


「え?あの転校生そうなの?まじかよー」


ザワザワ


なんだなんだ穏やかじゃないぞ。

え?コノハって嫌われてる設定なのか?

もしかして涙目の子と犬猿の仲とか?

そして転校生である俺は一体どんな関係なんだ?

これはコノハといるルートよりもおそらく追っていったほうが良さそうだ。


「コノハごめん!ちょっとなんかよくわかんないけど俺行かなきゃ!」


「う、うん?いってらっしゃいだよー」


そうして俺は走っておいかけた。

しかしどこにいけばいいんだ?

わからない。。


「おい天使!」


ポンっ


「どうした?」


「女の子を追いたい!居場所がわかるか?」


「なけなしの魔力でオートモードを一瞬だけ使ってやろう」


「なんだそんなことができるのか?!」


ほい!と指をかざすと、オートモードではなく選択肢が出現した。


●コノハが笑われてるのをかばう

●シズクとハジメを追う

●追うふりをして屋上にいく


なるほど!?オートモードとはこういうことか!?

そして二人の名前がわかったぞ!

涙目の子がシズクで、中性男がハジメか!

本来ならコノハルートでそのままハッピーエンドにいきたかったが、2つ目の追うやつで情報を手に入れるぞ!


選択肢した途端、体が動き始めた。


「おわ?おわわわわわ」


するとA組とかかれた教室についた。

そこには涙目の女の子の姿はなく、あの中性男が困った顔しながら立っていた。


教室に入るとまわりがまた小声でなにかいっている。


「あれだれだ?」

「C組の転校生じゃね?」

「なんでC組のクソがA組くんだよ」


めちゃくちゃアウェイな空気を感じる。

とにかく中性男にあやまるところからはじめよう。


「シン!お前なんでA組に!」


「えっとハジメ…?さっきはごめん!」


「は?…なんでお前に気安く名前言われなきゃなんないの?」


しくった!なんて呼ぶべきなんだ?


「あ、いや??ちょっと混乱しててさ!むしろ今!この状況だとなんて言ったらいいかな!?ハジメ様とか??」


冗談めかしていってみる!さぁ、こい名前!


「様とかいらないキモい。いつもどおり久野くのでいい」


クノね!?


「そうだなクノ!ごめんな!そんでもってえっと、、」


シズクと言って大丈夫か?それとも安倍か?安倍さんか?どれだ。えーい、賭けだ!


「安倍はどこ?」


「は?」


中性男ことクノの雰囲気が変わった。

次の瞬間、首を片手でしめあげられ持ち上げられた。


「ッ!!?ガッ…ウッ」


この細腕のどこにこんな力が?そしてまずい死にそうだ。


「ねぇ、おちょくってんの?こっちこい」


そうクノが言うと俺を持ち上げたままベランダまできた。

まさか落とす気か?やめてくれここ3階だぞ。死ぬだろ!?


そう思ったのも束の間、俺を片手で持ち上げたまま飛び降りた。

やばいやばいやばい、これは無理だ死ぬ!!

しかしなんでこいつまで飛び降りてんだ!?


ザッ!!


「フングゥゥ!???」


締め上げられた首が地上に降りた負荷によりさらに閉まる。


ドサッ!!


「ゲッホ!ゴホゴホゴホ!」


地面に叩きつけられた。酸素がうまい。自分の首が変な方向にまがってないか確認する。よし大丈夫そうだ。


クノとかいう中性男は俺を見下ろしながら冷ややかな目で言った。


「お前さ…誰?」


「え??」


誰?とはなんだ。俺は俺だ。


「俺はシン アストだよ!なにいってんだ!?」


「シンだったら、俺のこと名前で絶対呼ばないし、シズクの作った弁当を食わせるわけもないし、ましてやシズクのことを安倍なんて言わない。それに。」


「そ、それに?」


「お前の気が朝と違う」


気!?なにいってるんだ?


シュピッ!!!


俺の顔の前に定規がつきつけられる。


「誰?なりすましてんのはあきらかなんだよ。シンをどこへやった。言え。」


まさか…まさかこれは異世界転生ではなく、正確には…。


「3秒数える。答えなきゃ殺す」


定規で!?

いや不可能な話じゃない3階から飛び降りられる脚力。

片手で俺を持ち上げられる腕力。

気がどうとかいってるし全然ありえる。

あわてて俺は弁解にはいる。


「ご、ごめん!!!クノ!!クノのいうとおりなんだ!でも違うんだ!!」


「あ?」


「俺は!!」


異世界転生のことを全部話した。さらに今回は転生ではなく、おそらく入れ替えが起こっているであろうことも。

俺の推理が正しければ、現実世界のほうにこっちのアストがいってそうだという推測も。


全てを説明し終わったあと、クノは怪訝そうな顔をしている。


「信じられないんだけど」


「ですよね…はは」


そりゃそうだ。でもどうしたらいいかわからない。


「一応聞くけどどうやったらシンは元にもどるわけ?」


「えっと…た、多分俺がこの世界をクリア…つまり…恋が成就したら…」


「は?…はぁぁ??」


クノは冗談でしょとでもいいたげだ。そりゃそうだ。


「じゃあお前さ。いますぐ鈴音すずおととキスでもしてこいよ」


「え!?そりゃむりだよ!順序があるだろ!?」


そういうとクノはポカンとしている。


「ほんとにお前なにもしらないんだな?鈴音すずおとのことも…つまりこの界隈のやつじゃないのはたしかか」


お?なんかよくわからないけど信じはじめてくれている!?


「ああ!ほんとなんだよ!そして俺に害はない!雑魚だ!残念ながらな!」


「自分で言ってて悲しくないか?」


「悲しい!!だからこそ!クノに助けてほしい!たのむ!このことを知ってるのはこの世界でお前だけなんだ!」


っていうか普通はそんな設定にもならないはずなんだ。やっぱりちょっとばぐってんだよなほんと。あの天使やっぱ半人前だ。


懇願するとクノは一息ついてやらしい笑顔になった。


「わかった。一先ず信用してやる。ただし、条件がある。シズクには手を出すな。あいつは俺が守る。」


お?よくわからんが攻略対象からはずせばいいんだな!?

俺にはたとえ周囲から嫌われていても鈴音すずおとがいる!


「おう!ありがとうな、クノ!仲良くしようぜ!」


クノはきっと親友ポジションなんだろう。

ありがとう親友よ。おそらくこれだけ強いんだ。

悪友にもなりそうだ。

思えばどんなギャルゲーにも友達ポジションは存在する。俺の存在はばれてしまったがそれはこいつが友達だからだ。シズクを選ぶルートさえ入らなければ敵対することもない。


熱い握手をかわす。


これから末長くよろしくな!友よ!


座り込んでいた俺を立たそうとしてくれたその瞬間、靴紐を踏んでつんのめった。


「おわ!?おわわわ??」


「は?」


バターン!!


クノに覆い被さるように倒れた。

あれ?

なんだろう。やわらかい。今まで感じたことのないやわらかさだ。そしてなんだろう甘い香りがする。

そうまるで女の子のような香り。



これってもしや。


ガバッと起き上がり距離を取る。

俺の想像が正しければクノは…。


ジッとクノのほうをみると

クノはクノでめちゃくちゃ赤面している。


「クノ…えっと…」


「うるさい!」


腕を組みながら女の子座りをしている赤面するクノ。

男の制服を着ているがこれはもしかしなくても。


「それ以上なんか言ったら殺す…」


グッバイ親友。

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