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2019/12/16『少女』『黄色』『学校』
黄色いリボンが、目の前で揺れる。
茶色い髪の毛が、一緒になびいている。
透明な滴が、ゆっくりと零れていく。
黒曜石の煌めきを宿す目が、見える。
黄色いノースリーブの、ワンピース。
白い肌、桜貝のような爪。裸足で立っている。
「——同じ色」
その声は、透明な川のせせらぎ。
「——そっか、あなたが」
その子の顔が見える。
「あなたが——」
滴が散る。
笑っている。
「——新しい、お友達」
視界に焼き付く、黄色。
「おいでよ、こっちに」
学校の屋上、その縁が、僕の立っている場所。
そのほんの少しだけ向こうで、手招く女の子。
今行くよ。飛び降りて君に会いに行くよ。
——落ちる。
——誰かが手を引いてくれている。
「やっと会えたね」
君が僕の手を引いて笑っている。
見下ろすとそこで、僕は死んでいる。
「はじめまして、よろしくね」
「はじめまして、こちらこそ」
いつまでも、君は滴を零し続ける。
そして二人で、笑い続ける。
いつの間にか、僕の服も黄色くなっていた。




