2019/12/11『伝説』『真実』『理想』
日付は超えましたが、書き始めたのは日付通りの日なのでお許しください。
遥か昔、一人の魔法使いがいた。
その魔法使いは自分の力を示そうと、それを身につけていれば永遠に生きることができるという、強大な力を持ったペンダントを作り上げたという。
残念なことに、そのペンダントは壊れ、この世には残っていない——。
そんな伝説を父親から聞いた王子は、永遠の命を手に入れるため、魔法を極めることにした。そんなペンダントを作れるほど、優れた魔法使いになろう、と。
幸い、彼が住んでいるのはお城の中。その図書館は、一番多くの書物がある。そのため、魔法の勉強なら十分にできるのであった。
しかし、王子が王になるほどの年月が経っても、ペンダントは作ることができなかった。
世界一の魔法使い、賢き王だと崇められるようになったとしても。
魔法使いは、一人悩んだ。
どうしたら、ペンダントを作ることができるのだろう?
何度も何度も、試した。そして、失敗した。
ある日、伝説を教えた元王が病を得て、亡くなりそうになった。
看病していた魔法使いは、そのとき、聞きたくないうわ言を、聞いてしまった。
——王子よ、すまない。あの伝説は、嘘なのだ。
——永遠の命は、存在しない……。
魔法使いの理想が、壊れた瞬間だった。




