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2019/06/11『太陽』『しょっぱい』『夕陽』
いつまでも、飽きない。
僕はおひさまとかけっこをする。
毎日、する。
いろんなところを走る。
ある日は山の中。
ある日は川沿い。
ある日は街中。
そして今日は、海辺だ。
潮が満ちて引いていく。そんな生き物のような動きと共に、僕は走った。
波から逃げて、時々捕まって。
しょっぱい水が口の中に入ってきたけど、それは海水なのか汗なのか。
笑いながら、おひさまと戯れた。
僕が逃げると、おひさまは追いかけてくる。
僕は笑った。アハハと笑った。
おひさまも笑った。声は聞こえないけど笑っていた。
追いかけっこは、夕方まで続く。
声は聞こえないけど、おひさまは確かに言った。
「もう帰らなきゃ、おつきさまが待ってる」
海に沈んで帰っていくおひさまを、僕は見ていた。
「またね、おひさま!」
「また遊ぼうね」




