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2019/06/04『高層』『空白』『窓』

 一体、何日間ここにいるのだろう。

 全てが白い空間に閉じ込められ、気が狂いそうだ。いや、それすら通り過ぎて、もう何も感じない。

 唯一、壁にぽっかりと空いただけの窓の、その外も全て白くて、何も動くものはない。

 日付の感覚などもうない。時を刻むことも、もう忘れた。

 何も食べず、何も飲まなかった。なのに、飢えも乾きも何もなかった。

 もう、何も分からなかった。

 自分が何者であるかも、もう忘れてしまった。

 自分の名前、性別、年……もう何も分からない。

 まるで知識も心もえぐり取られ、それらがあったところには空白しか無いかのようだ。

 ふと、ぽっかりと空いた窓が目に入った。

 外を覗くと、ここはかなり高い場所のようだった。白ばかりだからそう見えるのか、本当にそうなのか、もはやそれも分からない。

 吸い込まれるように、身を乗り出し、落ちた。


 生きることに飽き、飛び降り自殺をしようとした子が一命を取り留め、目を覚ました時、その子は何も覚えていなかったという。

 自分の名前も性別も、年も。

 そして、感情さえも——。

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