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2024/03/20『魔王』『王国』『薬』

 とあるところに、大きな王国があった。

 その王国は、たくさんの農作物が取れ、肉や魚も豊富、様々な技術力も高い、誰もがうらやむようなところ。軍事力も当然のように高く、他の国から侵攻があったとしてもびくともしない、本当に強大な国だった。

 その国力の高さを欲しがった者がいた。


 それは、魔王。


 魔王はどうすればこの王国を手に入れられるかを考えた。

 この国の良さは、この王国の民があってこそ。民一人一人が技術を持ち、知恵を持つから、この国は魅力的なのだ。民を殺してしまっては、意味がない。

 考えて考えて、魔王はこんな噂を王国に流すことにした。


「――今の国王は、実は魔王が成り代わった姿らしい。本当の国王は、地下の牢に幽閉されているんだとか」


 魔王の、その一言。たった一言が。

 毒薬のように、じわじわと王国をむしばんでいった。


 最初は馬鹿げた噂話だと聞き流す人も多かった。

 けれど、様々な形で、様々なところから噂を流し続け、途中からはその噂話に洗脳のための魔法を混ぜるようにし、無意識に耳にする噂話から王国の民の認識を変えていって。

 いつの間にか、民は皆、国王を倒すべきだと考え、声をあげるようになっていった。

 魔王はその機を見計らって、よくいる善良な人間の姿に化けて王城の地下牢に自ら幽閉されに行き。


「――ああ、本当の国王様! あなた様を助けに参りました!」


 国を壊すことなく、魔王はひとつの王国を手に入れたのだった。

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