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2022/02/24『勇者』『暴食』『魔法』

　勇者なんていない。

　皆、自分のことだけを見て、自分のためだけに行動しているだけ。

　偽りの事実に惑わされて、操り人形のように踊らされているだけ。

　彼らには、そうではないと否定できるだけの確信があるだろうか。勇気と、意志があるのだろうか。

　君には。

　そして、私には。

　なぜそうなったのかは、分からない。

　けれど、根源にあるのは欲なのかもしれなかった。

　どんな形で質(たち)なのか。それは、確かではない。

　けれど、いつだって『それ』は、利己的な心から生まれるもの。そういうものだと、歴史が証明してきている。

　食べたいものをなんでも喰らい尽くす、暴食者のように。

　他者の幸福を奪ってまで、幸せでいたい人たちがいるのだろう。いや、誰かの幸せを奪うことに快楽を覚える人たちなのかもしれない。

　真実など分からない。想像しかできない。他者の心など知り得ない。

　けれど、ひとつ分かることがあるとするならば。

　相手のことを考えない関係性の先に、未来はない。

　都合のいい魔法なんて存在しない。

　けれど、人の心を利用し、捻じ曲げて、前へ倣わせる手法ならある。

　都合や耳馴染みの良い言葉だけを囁きかけ、惑わすこともまた、可能である。

　必要な情報を遮断し、人々に目隠しをした状態で歩かせることだって。

　そんな中で、私たちにはなにが出来る？

　正しいと思った道が本当に正しいと、誰が証明できる？

　惑わされず、自分の足で前に進めるか？

　他者に手を差し伸べる心を忘れずにいられるのだろうか？

　――その答えはきっと、遠くない未来に。