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2019/05/23『受難』『ロマン』『憤怒』
ふたりの、ひとがいた。
ふたりには、ロマンがあった。
それがどんなものか、ほかのひとは、しらない。
あるとき、ふたりは、かべにぶつかった。
ひとりは、ロマンをすてた。
かべにぶつかって、もう、これ以上はかたれなくて。
でも、もうひとりは、まだロマンをかたった。
ロマンをすてたひとは、おこった。
どうしてなのか。
どうして、まだロマンをかたれるのか。
それが、どうしても、わからなくて。
ロマンをかたるひとは、わらった。
かべは、のりこえるために、あるものだ。