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2021/05/27『雨』『砂漠』『星』

またしても投稿が日付を超えてしまいました。

申し訳ありません。

 雨は、あまり好きじゃない。

 荷物は濡れるし、頭は痛くなるし、靴に水が染みて足元が冷たくなるし、いいことなんてひとつもない。

 ――ああ、「好きじゃない」んじゃない。

「嫌い」なんだ。

 どうしたら、雨の中歩くこの時間を楽しめるようになるのだろう。いや、明るい気分にならなくてもいい。せめて、ちょっとくらいは憂鬱から脱却したい、ただそれだけだ。

 ……そうだ、砂漠を想像してみよう。

 水のない、砂の国。雨は滅多に降らない神の恵みで、とても貴重なもの。その国の人々は、雨が降ったらきっと、歓喜の舞を踊り始める――いや、だめだ。

 いくら空想をしたところで、それは自分のことではない。どこか遠くの世界のことだ。

 ならば、これはどうだろうか。

 ポケットからイヤホンを取り出し、装着する。そして、雨音をかき消さんばかりの音量で、好きなアーティストの歌う雨の曲、傘の曲といった、この天気に関わる歌を聴くのだ。多少は気分が上がるかもしれない。

 人気(ひとけ)のない夜道。少し鼻歌を歌いながら、好きな音楽を聴く。その間だけは、濡れた荷物も、頭の痛みも、足元の冷たさも、忘れることができた気がした。

 そして、曲が終わったとき。

 ふと、空を見上げると、雨はすっかり止んでいた。

 代わりにあったのは、満点の星空。空が雨で洗われたかのようで、雲ひとつない、眩しい夜空だった。

「……ああ、雨のいいところ、見つけたかもな」

 止んだ時に見上げる星が、普段よりも眩しく綺麗に見えること。

 これはきっと、雨がなければ見ることのできない世界。そんな、気がする。

 ――雨は、好きじゃない。

 けれど今は、雨を嫌いだとも言えなくなっている自分に、気がついた。

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