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2019/4/10 『理想』『黒』『しょっぱい』
真夜中。昨日と今日の狭間で。
私は独り、自分の世界をたゆたっていた。
耳から脳に送り込まれる幸福。
閉ざされた瞳。
抱きしめる宝物。
包み込むぬくもり。
今この時が、一番幸せだった。
朝。自分に光が当たるこの時。
私は独り、ベッドの中で震えていた。
耳から脳に送り込まれる苦痛。
閉ざされた扉。
抱きしめる孤独。
包み込む不安。
今この時が、一番嫌いだった。
昼間。理想と現実の狭間で。
私は独り、自分の世界に閉じ込められた。
聞こえないのに聞こえるのは何故。
私は何も話していない。
家の中には誰もいない。
私を責める声。
今この時が、一番辛かった。
分かってる。理想と現実の狭間で。
私は独り、自分の世界に閉じこもるだけ。
自分で自分のことを責めている。
自分の声と親の声で。
外に出られない私を責めて。
情けなくって縮こまる。
今口の中がしょっぱいのも、気の所為だ。