2021/01/21『魔法』『天災』『科学』
『宗教と科学って相性が悪いと思ってる日本人のなんと多いことか、とわたしは思っているんですよ』
パソコンの画面越しに、その非常勤講師は言う。
『日本人は相互理解って言葉が好きですけど、今のままでは相互理解なんてできません。その理由はもう散々話しましたが、日本人には宗教についての理解がないからです』
「それには大いに賛同しますよ」
マイクがミュートになっていることを確認して、呟いた。対面授業じゃ決してできない。もしかしたら、深く頷くことでこっそり同意していたかもしれないけれど。
ひとつ、ため息。
オンライン授業にももう慣れたもので、画面越しにみる先生のざらついた顔も、たまに途切れる声も、まあ仕方ないと思えるくらいにはなっていた。
リアルタイムで顔を合わせて、先生方と、友達と話せる。チャットでのやりとりも、ボタンでの意思表示も簡単。こちらが顔を見せるか、声を聞かせるかも、クリックひとつで決められる。ミュートやカメラオフ機能は便利なものだ。こっそり寝てたってバレやしないんだから。
これなら、もし今天災が起きても、ネット環境さえあればどこでも講義ができるってことだ。大学に行かなくてもいいんだから。
本当に、魔法みたいな技術だ。科学があってよかったと思う。
――でも、なぁ。
また、ひとつため息。
友達や先生と直接会えないなんて、やっぱり寂しい。対面とは、何かが違う。
今のところ大学は、春から対面授業に戻すと言っている。でも、この状況ではどうなるかは分からない。
「春になったら、みんなに会えるのかな」
画面越しの講義を聞き流しながら、呟いた。
2021/01/22 0:26
一部重複表現を削除し、表記揺れを修正しました。




