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2020/10/23『黒』『机』『路地裏』

 夕方に開店し、朝方に閉まる。そんな、路地裏にある占い屋は、今日も来客数が少ない。

 それでいい、と占い師は思っていた。

 なんとか食べていけるだけの、細々と生きていけるだけのお金さえあれば、それでいいと。

 真っ黒なテーブルクロスを敷いた机。その上に置かれたのは、水晶玉にトランプ、タロットカードに虫眼鏡。長年使っていた相棒たちは、よく使い込まれていて独特の艶めきがあった。

「さて、今日はどんなお客さんがやってくるのかな。切実な悩みを抱えた人かな。それとも――」

 花の香りがするお香を焚きながら、占い師は笑う。

「――人ではない『もの』たちかな。路地裏は闇に繋がっているから、死に近い場所でもあるんだよね。そんな場所にはどうしたって、妖の類が集まるもんだよ。表通りは、あまりに眩しすぎるから」

 占いも、あんまり明るいところとは相性がよくない――占い師は、そう考えていた。

「あの……すみません、占い屋さんって、ここで合ってますか?」

 か細い声が、入り口から聞こえてきた。

「そうですよ。さ、中へどうぞ」

 占い師の長い夜が、今、始まる。

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