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2020/10/18『暴力』『砂漠』『天災』

 雷が、鳴っている。

 風が吹き荒れ、雨が降り、水が地下に流れ、地下鉄を止めて、人を混乱へと突き落とす。

 天災は知らせているのだ。『なにか』の存在と、その怒りを。

 きっと『なにか』は、私に暴力をふるうなりなんなりして、直接危害を与えたかったに違いない。

 けれど、それができないから、間接的に私を苦しめるのだ。私に関係のない人――それも数え切れないほど沢山の人を混乱させることで、私が思い通りに動けないようにしているのだ。そして、あわよくば私も混乱させようとしている。

 ――それだけはいけない。

 私は冷静でいなければならない。

 一度目を閉じ、深呼吸をする。

 突然立ち止まった私に苛立ったのか、誰かが舌打ちをした。けれど、そんなのに構ってはいられない。

 息を深く吐いて、自然と深く吸い込んで。

 音が、感覚が、遠のいていく。

 目の前に浮かび上がるのは、風ひとつ吹かない、静かな夜の砂漠。丸い月が浮かび、のんびりとラクダが歩いている。そんな場所に、私は立っている。

 息を深く吐いて、自然と深く吸い込んで。

 砂漠の静かさを、取り込んで。

 ――目を開ける。

 人々は『なにか』のせいで起きた雷雨に惑わされている。強風に煽られ、混乱し続けている。

 けれど、私はその渦には呑まれない。


 心の中で、『なにか』にこう告げてみた。


 ――そんなのに、私は惑わされないから。

 あなたたちの思い通りになんか、なってあげない。

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