2020/10/11『畑』『リアル』『天邪鬼』
なんともいえない、不思議な夢だったと思う。
目が覚めてから、その記憶がまだリアルなうちに、消えないうちに、私はスマホを立ち上げてメモアプリを開いた。
もちろん、見たものを記録するために。
男が畑に行った。カカシに声をかけていた。
「元気してるか、あまのじゃく?」
声をかけられたカカシは不機嫌そうに男を叩く。
「あんたは気楽でいいよな、オレにカラスを押しつけときゃ楽だからってよ」
「相変わらずあまのじゃくは天邪鬼だな。知ってるぞ? お前が昔からずっと『この仕事を誇りに思ってる』ってこと」
「思ってねえからな!?」
カカシの罵声と、男の笑い声。
畑にはハロウィンのカボチャや、お盆のきゅうり(馬)やナス(牛)、冬至の風呂に入れられた柚子なんかがなっている。
「ハロウィンかぼちゃはそろそろシーズンが来るからなぁ。大きく育ってくれよ〜」
「あー、めんどくさい! もうカラスにでもなんにでも喰われちまえ!」
なんだかんだで楽しそうな二人。
……やっぱり、天邪鬼なカカシ(しかも名前が「あまのじゃく」って……そのまんまじゃないか)が喋ったり、ハロウィンのカボチャや馬のきゅうり、牛のナスなんかがなっている畑があるなんておかしいよな、とは思う。
けれど、夢を見ている時はそれを不思議とは思わないし、現実だと認めてしまう。何者かが私の記憶を改変して「普通」を根底から変えてしまうような、そんな感じ。
だから、眠っている間の私は、夢を「夢」として認めないのだ。きっと。
「……なんて考えてる今が、本当は夢だったりして」
ぽつんと呟いて、あり得ないかと笑い飛ばして。
私はもぞもぞと、布団の中から這い出した。




