2020/09/28『ロボット』『サバンナ』『王国』
広大なサバンナの周りを塀が覆い、その入り口にはがっしりとした門がある。何故って、この中にある王国におかしな者が入らないようにするためだ。
『おい、そこのお前、止まれ』
一人の男が中に入ろうとしたとき入り口を塞いだのは、ぎこちない動きをする二台のロボットだ。
『入国許可証はあるか』
『はい、ここに』
男は空っぽの手を差し出した。ロボットは男の手から透明な入国許可証を奪うと、それをじっくりと眺めた。
『……確かに。よし、入っていいぞ』
ロボットは道を開け、男は王国へと入っていく。
『しめしめ、偽物の入国許可証で中に入れたぞ』
「――ちょっと待って、ストップ!」
ふと、そんな声が降ってきて。
おもちゃのブロックでできたロボットは、操る者の手を失い、何も言わずに地に伏した。
「え? なあに?」
さっきとは違う声が降ってくると同時に、おもちゃのブロックの男も地面にばたりと倒れる。
そして。
「ねえ、男の人は食べ物を運ぶ人じゃなかったの?」
「そうだけど、入国許可証を落としちゃったんだよ」
「ええ?! そんなのありなの!?」
「別にいいじゃん。そっちだってこの間、猫のぬいぐるみを出してきて『ネコ怪獣だー」って言って街をめちゃめちゃにしたんだし。それに比べたらよっぽどマシだよ?」
「うぐっ……そうだけど……」
おもちゃのブロックでできたサバンナの王国を放置して、二人の子供は言い争うのであった。




