2020/09/12『空白』『時間』『甘い』
時間の経過というものはやっぱり、早いのか遅いのかよく分からない。
好きな作家さんのトークイベントが行われた『一時間』という時間は一瞬で、いつまでも終わってほしくないと思った。
親に叱られる『十五分』という時間はねちねちと長く続き、早く終わってほしいと思った。
他にも、『十年前』にあった、脳に鮮明に焼き付いた出来事も、今となってはもっと遠くにある記憶のようにも感じるし、もっと最近にあった記憶のようにも感じる。
……まあ、あくまでも私が覚えているのは『印象的な出来事』や『ここ最近の出来事』だけで、実際の私の記憶は空白だらけなのだけど。
けれど、私がそれなりの年数を生きてきたことは確かなのだ。ただ、その『それなりの年数』が『長い』のか『短い』のか、そんなことは分からないけれど。
今日は、ちょっとだけ特別な日。
『それなりの年数』を生きる中で見つけた、家族や友人が贈ってくる言葉に、笑って「ありがとう」と答えながら。
そして何本ものロウソクを吹き消して、甘くておいしいケーキを口にしながら。
私は私に、そっと心の中で囁くのだ。
「誕生日おめでとう」




